FXニュース:米国GDP速報値が市場予想以上
2023年1月27日
東西FXニュース – 2023年01月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米国経済指標を受けて景気懸念が緩和
- 来週の米FOMCを控えた持ち高調整も
- 東京のインフレ率では日銀再修正圧が
- 日銀が金利抑制の共通担保オペを通知
今日2023年1月27日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値130円27銭前後から高値129円50銭前後の値幅約77銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は129円93~95銭付近で、前日17時の前東京終値比で約46銭の円安ドル高であった。
今日の値動きの原因はまず、昨夜22時半の米国ニューヨーク外国為替市場時間に発表された最新の米国重要経済指標の前年10~12月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) の速報値の前期比年率が、前回の3.2%の上昇率ほどではなかったものの市場予想の2.6%を超える2.9%の上昇率で、米国景気懸念が緩和されて景気好感によるドル買いの一因となった。
同時発表の米国実質GDP個人消費の前期比年率の速報値は、前回の2.3%と市場予想の2.8%に対して2.1%で、米国のインフレ感による消費者の買い控えが想定以上に継続していることを示しており、米国実質GDPのGDPデフレータの速報値は前回の4.4%と市場予想の3.2%に対し3.5%で、米国実質GDPのPCEコアデフレーターの前期比年率の速報値は、前回の4.7%と市場予想の3.8~4.0%に対してほぼ市場予想通りの3.9%であった。
同じく発表された前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の19.0万件と市場予想の20.5万件に対し18.6万件に改善され、米国失業保険継続受給者数も前回の164.7万人と市場予想の165.9万人に対して167.5万人に改善し、堅調な米雇用市場データを示したことも米国景気好感に繋がり、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国の新政策金利の発表を控えた米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続の抵抗要素が減退したことなどで米長期金利が上昇したことでも、日米金利差拡大による円売りドル買い要因となった。
昨夜24時には先月12月の米国新築住宅販売件数の前月比も発表され、前回の5.8%と前回修正の0.7%と市場予想の-4.4%に対して2.3%に上昇しており、年率換算件数でも市場予想よりも良かったことなどから、米利上げによる住宅ローン金利上昇の影響が、市場予想に反して米国景気に悪影響を与えていないという観測で、米利上げ減速予想はあっても利上げは継続される可能性もあることなどから、前日の北米カナダ銀行の利上げ減速とその後の利上げ停止の見通しの影響で売られたドルが、米長期金利上昇に併せて買い戻されるというような値動きもあった。
ただし、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国利上げ幅の市場予想値は、フェッド・ウォッチ・ツール (CME FedWatch Tool) で今朝も0.25%への利上げ減速の市場予想が98.1%と優勢で、0.5%の大幅利上げの市場予想は僅か1.9%に低下していたことなどでは、米利上げ減速予想とイベント前リスクもあり、ドル上昇時には利益確定売りなどの抵抗が入りやすくなり、来週の米国の新政策金利の結果が分かるまでのドルの買い控えや持ち高調整もあったことでは、130円62銭付近のドルの市場高値からは円相場が反発した。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の値動きは円の高値129円69銭前後から安値130円62銭前後の値幅約93銭で、今朝7時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の終値は130円15~25銭付近で、前日同時刻比で約65銭の円安ドル高であった。
今朝8時頃のアジア・オセアニア市場では、中国はまだ大型連休中であるが、祝日明けのオーストラリア市場などで、来週の米国新政策金利発表前の米ドルのイベントリスクによる持ち高調整や、昨日の対日経済審査声明で国際通貨基金 (IMF) が日銀に大規模緩和金融政策の修正提案をしたというニュースがあったこともあり、130円台のドルの高値感から円買いドル売りが入り始めた。
また、今朝8時半には日本の最新経済指標である1月の東京都区部消費者物価指数 (CPI) の生鮮食料品除く前年同月比が発表され、前回の4.0%と市場予想の4.2%に対して4.3%に上昇し、1981年5月以来の上昇率の大きさを記録したことから、日本銀行 (日銀 / BoJ) に東京のインフレ加速による大規模緩和金融政策の再修正圧がかかったことが意識された円買いドル売りも加わり、8時には円相場で130円台前半だったドルは9時前までに129円台後半に下げ、昨夜の米国掲載指標による上昇幅を縮めていた。
今朝9時からの日本の東京外国為替市場は129円台後半の今日の日本市場の円の高値でドルの安値圏から始まり、今朝9時55分の仲値決済に向けては、今日は月末が近い週末であることなどから日本の輸出企業による円買いドル売りが優勢で、10時前に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時129円50銭付近を記録した。
ただし、そこからは米国トレンドを継承した米景気好感のドル買いと、米長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いでドルが再び上昇し、また、イベントリスクの持ち高調整や利益確定売りなどではやや横ばいに近い動きになった。
しかし、午後になり、日本銀行 (日銀 / BoJ) が公開市場操作の5年物の共通担保資金供給オペレーション(共通担保オペ)を来週火曜日の1月31日に再び実施する予告を通知したことから、日銀の金利抑制姿勢による日米金利差拡大予想で円売りドル買いが優勢になり、円相場が再び130円台へと下落し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値の一時130円27銭前後を記録した。
ただし、午後からの欧州英国市場の参入では、130円台のドルの高値圏からはイベントリスクのドルの持ち高調整や利益確定売りや買い控えなどの抵抗も入ったため、ドルは再び129円台後半に円相場での上昇幅を縮めた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は129円93~95銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約46銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも世界のFXトレーダーや投資家達が値動き予想で注目している最新の米国重要経済指標の発表予定があり、日本時間で22時半に先月12月の米国個人所得、米国個人消費支出 (PCE) 、米PCEデフレーター、米PCEコア・デフレーターなどが発表される予定で、深夜24時には米国住宅販売保留指数と、米国ミシガン大消費者信頼感指数の確報値の発表予定もあり、発表イベント時の為替相場の値動きへの影響には注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円27~30銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約10銭の円高ユーロ安であった。
今日の夕方16時45分に欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の1月仏消費者信頼感指数が発表されたが、前回の82と市場予想の83に対して80に減少していた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0874~1.0875ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.45セントのユーロ安ドル高であった。
原因は、好調だった米国経済指標の発表を受けて、米長期金利上昇時に欧州ユーロに対してもドルが上昇したことなどが影響していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円80~86銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約86銭の円高ポンド安であった。
昨夜の英国ロンドン外国為替市場から今朝早朝までの米国市場では英国ポンドが上昇していたが、今朝のアジア・オセアニア市場や今日の日本市場では英国景気懸念などにより利益確定の英ポンド売りが優勢に転じ、世界的に流動性の高い安全資産の米ドルには今日はイベント前リスクがあるために、ドルに続く安全資産の低リスク通貨の円が買われていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月27日の日本時間(JST)20時7分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時7分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:07の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 129.76 〜 129.78 | +0.29 (円安) |
ユーロ/円 | 141.32 〜 141.34 | -0.05 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0889 〜 1.0891 | -0.0030 (ドル高) |
英ポンド/円 | 160.63 〜 160.69 | -1.03 (円高) |
スイスフラン/円 | 140.97 〜 141.03 | -0.58 (円高) |
豪ドル/円 | 92.30 〜 92.34 | -0.39 (円高) |
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