FXニュース:感謝祭前の米長期金利低下時のドル売り影響

2022年11月23日
FXニュース:米株上昇時のリスクオンの安全資産売りも影響

 

東西FXニュース – 2022年11月23日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米株上昇時のリスクオンの安全資産売りも影響
  • 沙原油増産否定で対ドルの産油国通貨が反発
  • 今夜の英経済指標が市場予想以上でポンド買いも
  • 新RBNZが市場予想通りの0.75%の大幅利上げ

今日2022年11月23日水曜日の日本の東京外国為替市場は勤労感謝の日の祝日休場でしたが、海外FX市場は通常営業で、今日の日本市場の該当時間の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値の141円51銭前後から高値の140円91銭前後の値動き幅約60銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間には141円16〜17銭付近で、昨日17時の141円83〜85銭付近の前東京終値と比較すると、約68銭の円高ドル安であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、明日木曜の米国の感謝祭 (Thanksgivind Day) の祝日と、翌金曜のブラックフライデー (Black Fridayとは、感謝祭の翌金曜にクリスマスのプレゼントを買い始めるセールで黒字決算になる「黒字の金曜日」のこと) を控えており、ホリデームードで米主要株価が上昇し、リスクオンで安全資産のドルが売られてユーロやポンドなどが買われたほか、米ニューヨーク債権市場でも安全資産の米10年債が売られて利回りが指標となる米長期金利が前日終値の3.82%付近から3.75%台付近に低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いが起きた。

日本時間で昨夜24時に発表された最新の米国経済指標の11月の米リッチモンド連銀製造業指数が前回の-10と市場予想の-8に対して-9で、前回よりはやや改善したもの市場予想には届かなかったことも、ドル売りの一因となった。

また、サウジアラビアがOPECプラスの原油増産報道を否定したことで、対ドルで産油国通貨が一時反発したことも、ドル安として他の外貨や主要通貨に影響が波及していた。そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円15~25銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約90銭の円高ドル安であった。

その後に今日の日本の東京外国為替市場時間に相当する世界FX市場が始まったが、今日の日本市場は勤労感謝の日 (Labor Thanksgiving Day) の祝日休場で、今朝は日本と時間帯の近いアジア・オセアニア市場などの値動きが中心となった。

今朝の日本時間9時頃には、米長期金利低下の影響でドルが今日の市場安値圏の一時140円91銭付近になったために、そこからは安値のドル買いや買い戻しが始まり、ドル円は再び141円台になった。

今朝10時には、オーストラリアの豪ドルやニュージーランドの新ドルのオセアニア市場でニュージーランド準備銀行 (RBNZ) の新政策金利が発表され、市場予想通りの0.75%の大幅利上げが決定された。今までの利上げ分と合わせると4.25%に金利が上昇したことで、今日はニュージーランドドルが円などの外貨に対して買われて上昇し、豪ドルもつられるように円相場で上昇した。高金利通貨のドルに対してよりも低金利通貨の円に対しての買いの方が目立ったために、ドル円相場ではややドル上昇に繋がった。

昼頃には、ドル円にはドルの買い戻しもあったことで、141円台中盤付近で推移し、午後には一時141円51銭付近の今日の日本市場該当時間の円の安値でドルの高値を記録した。

夕方になり、欧州英国市場が本格的に参入すると、リスクオンのユーロ買いやオセアニア通貨買いのドル売りで、外貨に対するドル安が一時進行した影響がドル円相場にも波及し、141円台前半に円相場でもドルが下げた辺りで、今夜17時の日本の東京外国為替市場の終値相当時間の141円16〜17銭付近の前東京終値比で約68銭の円高ドル安をつけた。

ただし、今夜その後の欧州英国市場では、欧州ユーロ圏の最新の経済指標の発表後の反応などで再び安全資産のドル買い抵抗も入っており、19時半前にはドル円は再び141円台中盤になっている。

今夜この後にも、最新の米国経済指標の発表予定があり、世界のFXトレーダー達が注目している。今夜のスケジュールは日本時間21時に米MBA住宅ローン申請指数、22時半に前週分の米新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数、10月の米耐久財受注、23時45分には米連邦準備制度理事会 (FRB) が注視していることで有名な重要度の高い最新11月の総合・サービス部門・製造業の米購買担当者景気指数 (PMI) の速報値が発表予定で、深夜24時には10月の米新築住宅販売件数と11月ミシガン大学消費者態度指数の確報値も発表される予定である。

また、今後の為替相場に影響を与える可能性の高い米利上げ予想材料として、日本時間で明日未明4時に発表予定の前回の米連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨もFXトレーダーや投資家達に注目されている。

米国では明日の夜からの市場が祝日で週末に近いポジション調整なども入る可能性があるために、今夜の重要経済指標の発表時や発表後の値動きには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の日本の東京外国為替市場の終値相当時間のユーロ円は145円98〜99銭付近で、前日同時刻比で約53銭の円安ユーロ高であった。ユーロドルも、今夜17時には1.0341〜1.0342ドル付近で、前日同時刻比で約0.39セントのユーロ高ドル安のユーロ高相場であった。原因は、昨夜の欧州英国市場でリスクオンのユーロ高であった影響が、今日の日本市場の相当時間にも継続していた。

また、ユーロドルに対しては、前述の米国市場での米長期金利低下時の米欧金利差縮小時のドル売りユーロ買いの影響もあったが、欧州中央銀行 (ECB) にも今後の利上げ減速予想によるユーロ売りドル買いの抵抗も入っていた。

ただし、欧州ユーロ圏のドイツ連銀のナーゲル総裁は昨夜、「来月12月の欧州中央銀行 (ECB) 理事会での利上げ幅を事前に言う事は、時期尚早である」と発言しており、リトアニア中銀のシムカス総裁も、「次回12月のECB会合では、0.50%または0.75%の利上げの可能性がいずれもある」と発言していたが、「利上げは必要に応じて、来年3月以降も継続」と長期化についても示唆していた。

しかし、日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和継続予想のある円に対しては、欧州ユーロの利上げ自体は継続予想であるために、円安要因となっていた。

また、昨夜深夜24時に発表された欧州ユーロ圏の11月の欧消費者信頼感の速報値は、前回の-27.6〜-27.5と市場予想の-26.0に対して-23.9に改善されたことも、ドルや円に対するユーロ買いの一因となった。

今夜17時15分に欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の11月の仏購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の発表があり、サービス部門は前回の51.7と市場予想の50.6に対して49.4だったが、製造業は前回の47.2と市場予想の47.0に対して49.1であった。

17時半には同じくドイツの最新経済指標の11月の独購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の発表もあり、サービス部門が前回の46.5と市場予想の46.2に対して46.4で、製造業が前回の45.1と市場予想の45.0に対して46.7であった。

18時には欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の11月の欧購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の発表もあり、サービス部門が前回の48.6と市場予想の48.0に対して48.6で、製造業は前回の46.4と市場予想の46.0に対して47.3であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の終値相当時間のポンド円相場は168円2〜8銭付近で、前日同時刻比では約18銭の円安ポンド高であった。昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、リスクオンの欧州ユーロ上昇につられるような形で元欧州連合 (EU) のポンドも安全資産のドルや円に対して上昇した影響が見られた。

また、低金利通貨の円に対しては、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) にも利上げ継続予想があり、日英金利差拡大予想による円安要因があった。

今夜18時半には英国の最新経済指標の11月の英購買担当者景気指数 (PMI)の速報値も発表され、サービス部門は前回の48.8と市場予想の48.0に対して48.8で、製造業は前回の46.2と市場予想の45.8に対して46.2で、前回と横ばい圏ではあるが、市場予想以上であった事はでポンドが買われて、発表後の英国市場ではさらに円安ポンド高が進んだ。

豪ドルは、前述の今日のオセアニア通貨のニュージーランドドルの0.75%の大幅利上げと共にリスクオンで買われた影響があり、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の終値相当時間の豪ドル円相場は94円6〜10銭付近で、前日同時刻比で約22銭の円安豪ドル高であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月23日の日本時間(JST)20時29分(英国時間(GMT)11時29分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:29の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 141.47 〜 141.48 -0.37 (円高)
ユーロ/円 145.96 〜 145.98 +0.51 (円安)
ユーロ/ドル 1.0316 〜 1.0318 +0.0014 (円安)
英ポンド/円 168.79 〜 168.85 +0.95 (円安)
スイスフラン/円 148.60 〜 148.66 +0.29 (円安)
豪ドル/円 93.94 〜 93.98 +0.10 (円安)
ニュージーランドドル/円 87.21 〜 87.25 +0.33 (円安)


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