FXニュース:最新の米国経済指標が強弱入り混じる方向性の乏しい内容に

2022年9月16日
FXニュース:最新の米国経済指標が強弱入り混じる方向性の乏しい内容に

 

東西FXニュース – 2022年9月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が3.45%付近に上昇推移時の日米金利差拡大と低下時の反発
  • 日米株価大幅下落でリスク回避の為替買いと日本の為替介入警戒も
  • 来週の日米英瑞の新政策金利決定会合を控えた持ち高調整の抵抗が

今日2022年9月16日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が143円69銭前後から高値142円83銭前後の値動き幅約86銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は143円44〜46銭前後で、前日同時刻の前東京終値と比較すると、約12銭の円高ドル安であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場で発表された最新の米国経済指標が強弱入り混じる結果で、来週に予定されている米国と英国とスイスの新政策金利決定会合を控えた持ち高調整が入った。来週の9月20日から21日までの米国連邦公開市場委員会(FOMC)での米新政策金利の発表に続き、22日には日本銀行(日銀、BoJ)政策委員会も金融政策決定会合の内容を公表する予定である。また、今日の日本市場では再び日本政府による円安牽制があり、為替介入警戒時のドル売りと円の買い戻しがあったことも影響した。

市場の動きの解説では、昨日の東西FXニュースでもお知らせしていた通り、昨夜は最新の米国経済指標が多数発表され、日本時間21時半頃に速報があった重要度高めの8月の米小売売上高の前月比は、前回の0.0%と前回改定の-0.4%と市場予想の-0.1%に対して0.3%増のプラス圏に改善していたが、自動車と部品を除くコアベースが改定0%付近の前回と市場予想以下に対して-0.3%のマイナス圏に転じるというプラスマイナスの結果であった。

同時発表の9月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数は前回-31.3と市場予想の-13.0に対して-1.5に改善していたが、9月の米フィラデルフィア連銀景況指数は前回6.2と市場予想の2.4〜2.8に対して-9.9に悪化しており、連銀系の景気指数も地域によって強弱が入り混じる結果になった。

ただし、同時発表の前週分の米新規失業保険申請件数は、前回の22.2万件と前回改定21.8万件と市場予想の22.6万件に対して21.3万件に改善されており、米雇用市場は堅調で、今後の米利上げ継続予想に影響を与える様な景気懸念要因は特に見られなかった。

その後の22時15分に発表された8月の米鉱工業生産の前月比は、前回の0.6%と前回改定の0.5%と市場予想の0.1%に対して-0.2%でマイナスに転じ、米設備稼働率も前回の80.3%と前回改定の80.2%と市場予想の80.3%に対して80.0%に弱含んだが、続いて23時に発表された7月の米企業在庫の前月比は、前回の1.4%に対してほぼ市場予想通りの0.6%であった。

米経済指標は強弱が入り混じるというやや方向性を欠いた結果ではあったものの、米景気懸念を特に強める内容ではなかったことから、来週の米国連邦公開市場委員会(FOMC)での米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想への影響はなく、一方で日本銀行(日銀)は金利抑制の大規模緩和金融政策を継続する予想が優勢で、日米金利差拡大予想で米債券市場の米10年債の利回りが指標となる米長期金利が前日終値の3.40%から更に上昇シフトした3.45%付近で推移したことからは、日米金利差拡大によるドル買い円売りが入った。

その傍らで、米金利上昇を見据えた企業への貸付ローン金利上昇などによる業績悪化への警戒で、米ニューヨーク株式市場では株価三指数が大幅下落したことから、リスク回避と米ドルのイベントを来週に控えた持ち高調整では低リスク通貨の円が買われる抵抗もあり、ドル円は売り買いの交錯で一時は荒波の横ばいに近い動きをニューヨーク市場で形成した。

ただし、米長期金利が前日比で高水準であったことからは円安要因の日米金利差拡大予想がやや優勢であったために、円の安値の143円73銭から高値の143円16銭の値動きで、今朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場の終値のドル円相場は143円45~55銭付近で、前日同時刻比で約35銭の円安ドル高であった。

しかし、その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝のニュースで日本政府が円安牽制を再び強めたことから、為替介入への警戒によるドル売り円買いと、来週のイベントに向けての持ち高調整で高値圏のドル売りと安値圏での円の買い戻しが優勢になった。

また、日本時間の朝の取引で米国債が買われたことなどで米長期金利が一時低下したことも、日米金利差縮小時の円買いドル売りを後押ししたことで、円相場が上昇した。

今朝10時頃の仲値決済でも日本の輸出企業のドル売り円買いがあり、10時過ぎには一時142円83銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、輸入実需の円買いも入り、また世界市場では日米金利差拡大予想のドル買い円売りも継続していたために、今日の市場安値からはドルが買われて再び上昇し、11時までには143円台に戻し、抵抗を交えながらも15時台まではドルが上昇した。

午後15時台には時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、143円69銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録したことから、日本政府と日銀の為替介入への警戒もあり、再び高値圏のドルの利益確定売りと安値の円の持ち高調整買いの調整が入った。

また、15時15分に今日の日経平均株価が27,567円65銭の前日比308円26銭減の大幅下落で大引けしたことから、日本の株安時のリスク回避でも低リスク通貨の円が買われた。

また、来週のイベント以前にも、日本と英国では来週月曜の19日が休場予定で、今週末は三連休であるために、連休前の持ち高調整もあった。日本市場では9月19日は敬老の日で、英国市場では19日は英国女王の国葬のための休日になった。

そのため、17時の今日の東京外国為替市場の終値は143円44〜46銭付近で、前日同時刻比で約12銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間で23時に9月の米ミシガン大学消費者態度指数と、明朝未明5時に7月の対米証券投資が予定されており、また来週には前述の日米英瑞の政策金利決定会合を控えていることから、今後の為替相場の値動きへの影響の可能性と相場予想で、世界のFX投資家達が注目している。

一方、ユーロ円の今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は142円83~85銭付近で、前日同時刻比で約40銭の円高ユーロ安だった。ドル円の影響もユーロ円に波及した。

ユーロドルは17時の今日の東京外国為替市場の終値でも0.9956~0.957ドルのパリティ(等価)割れで、前日同時刻比で約0.21セントのユーロ安ドル高であった。

原因は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ予想の継続から、ユーロ売りドル買いが優勢であった。ただし、インフレ対策で欧州中央銀行(ECB)も積極的な利上げ継続予想が出ており、ユーロ買いドル売りの抵抗も入っていた。

その後の欧州市場では今夜17時半に欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言があり、また18時には最新の欧州経済指標の8月の欧消費者物価指数(HICP)が発表され、前年同月比の改定値は前回と市場予想と同じ9.1%の横ばいだった。HICPコア指数の前年同月比の改定値も前回と市場予想通りの4.3%であった。

英ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は163円12〜18銭付近で、前日同時刻比では約1円38銭の大幅な円高ポンド安になった。

原因は、今日の午後15時に発表された最新の英国経済指標の8月の英小売売上高は、記録的な英国インフレと景気不安の影響が顕著で、前月比が前回の0.3%と前回改定の0.4%と市場予想の-0.5%に対して-1.6%に大幅に悪化しており、前年同月比も前回の-3.4%と前回改定の-3.2%と市場予想の-4.2%に対して-5.4%で、自動車を除く小売売上高も前回と市場予想よりも悪化が目立ち、英国景気懸念のポンド売りの安全資産のドルや低リスク通貨の円買いの影響が出ており、欧州市場でもドルに対してのポンド安が記録的な域に入った。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は95円76〜80銭付近で、前日同時刻比で約36銭の円高豪ドル安であった。

原因は、今日の日本市場でリスク市場に弱い豪ドルは安全資産の米ドルに対して一時0.6688米ドル付近の約2ヶ月ぶりの安値を記録し、前述の米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続で米株式相場が下落した影響で、リスク資産価格に連動しがちなハイベータ通貨の豪ドルが、ドルに続く安全資産の低リスク通貨の円に対しても弱含んだ影響が見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月16日の日本時間(JST)19時30分(英国夏時間(GMT+1)11時30分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:30の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 143.24 〜 143.26 -0.32(円高)
ユーロ/円 142.92 〜 142.93 -0.31(円高)
ユーロ/ドル 0.9976 〜 0.9977 -0.0001(ドル高)
英ポンド/円 163.14 〜 163.20 -1.36(円高)
スイスフラン/円 148.79 〜 148.85 -0.42(円高)
豪ドル/円 95.69 〜 95.73 -0.43(円高)


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