FXニュース:米消費者物価指数(CPI)が市場予想以上の上昇で円安ドル高に

2022年9月14日
FXニュース:米消費者物価指数(CPI)が市場予想以上の上昇で円安ドル高に

 

東西FXニュース – 2022年9月14日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米インフレ継続で米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ長期化予想
  • 米長期金利が一時3.46%台の日米金利差拡大と日米株価下落時の通貨買いも
  • 日本銀行が金利抑制の指し値オペと為替介入に備えレートチェックを実施

今日2022年9月14日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円84銭前後から高値143円29銭前後の値動き幅約1円55銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は143円29〜31銭前後で、前日同時刻の前東京終値と比較すると、約1円4銭の円安ドル高であった。また、今日の早朝7時台には、一時144円96銭付近の円安ドル高も記録した。

原因は、昨日の東西FXニュースでも予告していた通り、最新の米国重要経済指標の8月の米国消費者物価指数(CPI)が昨夜21時半に発表され、市場予想を超えた上昇率であったために、米国物価指数のインフレ率はまだピークアウトせずに継続上昇している傾向を示したデータであったことから、「今後の利上げはデータ次第」の米連邦準備理事会(FRB)の米インフレ対策の大幅利上げも継続して長期化する予想が強まり、また利上げ加速の可能性などもあることから、発表直後にドル買いが起き、発表前はイベント前の買い控えで141円台後半だったドル円が、一時144円台後半に高騰したことが今日の市場にも影響した。

世界市場の動きとしては、昨夜21時半に開場中であった欧州英国市場と米国ニューヨーク外国為替市場で前述の8月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、前月比は前回の0%と市場予想のマイナス0.1%に対してプラス0.1%に上昇し、前年同月比では前回の8.5%よりは米国のガソリン高が落ち着いてきたことではやや鈍化したものの市場予想の8.0〜8.1%に対して8.3%の上昇率で、いずれも市場予想以上の上昇率で米インフレ継続を示すデータとなり、インフレ抑制のための米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続の長期化と利上げ加速予想などの日米金利差拡大予想で、円安ドル高が再燃した。

エネルギーと食品を除くCPIコア指数も、前月比が前回の0.3%と市場予想の0.2%を上回る0.6%で、前年比でも前回の5.9%と市場予想の6.0〜6.1%を上回る6.3%で、市場予想以上に強いインフレ圧が、多項目に渡って継続していることを示す結果となった。

米連邦準備理事会(FRB)はインフレ対策で通常の3倍の0.75%の大幅利上げを継続する予想が優勢であったが、この市場予測値以上に強いインフレ圧に対応するためには今後の利上げ幅を加速する可能性も出てきたことから、日米金利差拡大予想のドル買い円売りが加速した。

米長期金利も上昇し、一時3.46%台の約3カ月ぶりの高水準になり、金利抑制の日本銀行(日銀)との金融政策の方向性の違いもあり、日米金利差拡大によるドル買い円売りが起きた。米債券市場では政策金利の動きに敏感と考えられている米2年物国債の利回りも急上昇し、一時3.7%台のおよそ15年ぶりの高水準を記録した。

米国のインフレ継続は、企業の販売収益に影響を与える個人消費停滞懸念や、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速で企業などへの貸付ローン金利上昇にも繋がるという警戒感もあり、米CPI発表後の米国ニューヨーク株式市場では株式市場がプレマーケットから急落し、ダウ工業株30種(DJI)平均は一時1000ドル以上も暴落し、金利上昇に敏感なハイテクやIT株を中心にナスダック(NASDAQ)総合株価指数も一時3%以上の下落幅となり、米株売りのドルの買い戻しや、株安時のリスク回避で上昇トレンドのFXの外国為替証拠金取引のドルクロスが買われたことでもドルが円を含めた主要通貨に対して上昇した。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では円の高値でドルの安値の141円61銭付近から円の安値でドルの高値の144円67銭付近の値動きをし、今朝6時のニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は144円55~65銭付近で、前日同時刻比で約1円80銭の大幅な円安ドル高だった。

そのトレンドを受けて、今朝7時台の世界市場では東西FXでも扱うスプレッドなしのゼロスプレッドの海外FXでは一時144円96〜97銭付近にドルが高騰を続け、またスプレッドが上乗せされている日本国内銀行系では、今朝早朝に三菱UFJなどで一時145円25銭のドル円の為替レートになっており、高値のドルの利益確定売りの一時抵抗が起きた。

今朝8時台の朝のニュースでは、日本政府の財務省の神田真人財務官が急速な円安が進んだ今日の円相場について「急激であり憂慮している。あらゆるオプションを排除せずに適切な対応をしたい」と円安牽制の発言をしたことでは、一時144円30銭台に下げる抵抗が入ったものの、今日の日本の東京外国為替市場でも、米消費者物価指数(CPI)の発表を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げ継続と長期化をする予想が強まり、今朝は日米金利差拡大予想の円売りドル買いが起き、午前中は144円台の円安ドル高であった。

今日の10時前の仲値決済に向けては、輸出企業から高値のドル売りの円買いの抵抗が入り、また今朝は米株安の影響もあり、日経株価指数も一時800円超安に急落したため、円の買い戻しで10時前に一時144円8銭付近の抵抗も入ったが、輸入実需のドル買いや日米金利差拡大予想のドル買いで10時台には一時144円84銭付近に再びドルが上昇した。

今日は日本銀行(日銀)よる日本国債利回りの金利抑制をする恒例の国債買い入れの公開市場操作の指し値オペも実施され、残存期間が5年超で10年以下の国債の買い入れ予定額が8月末公表のオペ運営方針の時よりも500億円増えた5500億円に増額されており、日銀は大規模緩和策を維持する姿勢が改めて意識され、来週20〜21日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)でも大幅利上げ継続予想の米連邦準備理事会(FRB)との日米の金融政策の方向性の違いが明確になった。

一方で、お昼のニュースでも日本政府の松野博一官房長官や財務省の神田真人財務官などの通貨当局関係者からは円安牽制の口先介入が続いており、日本銀行(日銀)にもプレッシャーがあったのか、午後になると、日銀が為替介入に備えて市場参加者に相場水準を尋ねるレートチェックを実施したことが市場関係者達の発言から明らかになり、FXニュースになったことでは日本政府と日銀の為替介入への警戒感から143円台になる円安抵抗が起きた。欧州英国市場からも為替介入警戒売りが入った。

そのため、17時の今日の東京外国為替市場の終値は143円29〜31銭前後で、前日同時刻比で約1円4銭の円安ドル高であった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表があり、日本時間20時に米MBA住宅ローン申請指数と、21時半に8月米卸売物価指数が予定されている。

今日のユーロ円は、17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値が143円7~10銭付近で、前日同時刻比で約1円26銭の円高ユーロ安だった。今日の日本市場では、午後の日銀のレートチェックのニュースによる為替介入の警戒から、ユーロ売り円買いが優勢になったことが影響した。

ユーロドルの17時の今日の東京外国為替市場の終値は、日欧金利差拡大予想のドル上昇により0.9983~0.9984ドルの再度のパリティ(等価)割れになり、前日同時刻比では約1.63セントのユーロ安ドル高になった。欧州経済研究センター(ZEW)が昨夕発表した9月の欧州ユーロ圏のドイツ景気予測指数が前月より低下し、2008年10月以来の低水準となったことも、欧州景気懸念によるユーロ売りに影響していた。

今日の英ポンドは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は165円13〜19銭付近で、前日同時刻比では約95銭の円高ポンド安であった。今日の午後15時に発表された最新の英国経済指標の8月の英国消費者物価指数(CPI)と小売物価指数は、ほぼ市場予想通りか下げたものもあり、日米と比較すると日英金利差拡大予想を更に強めるほどのデータではなかったことなどが影響した。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月14日の日本時間(JST)19時21分(英国夏時間(GMT+1)11時21分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 143.06 〜 143.07 +0.81(円安)
ユーロ/円 143.32 〜 143.34 -1.01(円高)
ユーロ/ドル 1.0017 〜 1.0019 -0.0129(ドル高)
英ポンド/円 165.43 〜 165.49 -0.65(円高)
スイスフラン/円 148.91 〜 148.97 -1.34(円高)
豪ドル/円 96.42 〜 96.46 -0.85(円高)


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