FXニュース:米長期金利3.2%台で日米金利差拡大の円安が141円台に

2022年9月06日
FXニュース:米長期金利3.2%台で日米金利差拡大の円安が141円台に

 

東西FXニュース – 2022年9月6日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 欧州景気懸念の欧州中央銀行(ECB)も今週大幅利上げ予想が
  • 英新首相決定と英国中央銀行(BoE)大幅利上げ予想の円安ポンド高
  • 豪準備銀行が今日新政策金利を0.50%利上げし2.35%に決定

今日2022年9月6日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が141円73銭前後から高値140円25銭前後の値動き幅約1円48銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は141円57〜58銭前後で、前日同時刻の前東京終値の140円56〜58銭前後と比較すると、約1円の大幅な円安ドル高であった。1998年8月以来の約24年ぶりの円安ドル高記録を今日も更新した。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場は米国祝日の労働者の日(日本の勤労感謝の日の様なレイバー・デー)で休場であったものの同市場時間の欧州英国外国為替市場と世界FX市場で、ロシア国営のガスプロムが欧州主要国ドイツへの天然ガス供給パイプのノルドストリーム1の停止を無期限に延長したことで、欧州景気懸念のリスク回避のユーロ売りと世界的に流動性の高い安全資産のドル買いが起き、主要外貨へのドル上昇の影響が円相場にも波及したことなどから、ドル円が23時頃に140円66銭付近に上昇し、その後は利益確定売りや持ち高調整の一時抵抗は入ったものの、今朝6時頃の米国ニューヨーク市場終値相当時間のドル円の為替相場が140円60銭付近に上昇していた。

また、石油輸出国機構(OPEC)とロシアを含む非加盟主要産油国で構成されるOPECプラスが、来月10月の原油生産量を今月よりも減産することを閣僚協議で決定したことで、コモディティの原油先物価格が上昇し、貿易コストの増加から日本の貿易赤字が悪化する懸念から、リスク回避時の安全資産には低リスク通貨の円よりもドルが好んで買われたことも影響した。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、市場開始前の8時半に日本の最新経済指標の7月全世帯家計調査・消費支出が発表され、前回の3.5%と市場予想の4.7%に対して3.4%で、前回と予想以下であった。また、同時発表の厚生労働省の7月の毎月勤労統計調査でも、賃金の実質水準を算出する指標となる物価の総合指数は7月に3.1%上昇していた一方で、実質的な現金給与総額が前年同月比で1.3%減少しており、エネルギーや食品の価格上昇率に4ヶ月連続で賃上げが追いつかなかったことで、実質的な給与額が目減り計算したことを示すデータとなった。これらの輸入品の価格上昇の一因には原油高などの他にも急速な円安の影響もあるために、発表直後の市場開始時には一時的に安値の円を持ち高調整で買う動きも出たことから、今朝9時過ぎに今日の日本市場の円の高値でドルの安値の140円25銭付近を記録した。

今朝10時頃の仲値決済でも、今日は輸出企業のドル売り円買いが優勢で、輸入企業の実需のドル売り円買いや同時間帯のアジアやオセアニアなどの世界市場でのドル売りと相殺し、午前中のドル円の為替相場は140円台前半から中盤付近の横ばいに近い値動きになった。

また日本市場では投資系などが、今夜から連休明けの米国市場が再開予定のために、今夜発表予定の最新米国経済指標を控えての持ち高調整なども進めており、ドルが再び前日比の高値圏に行くとイベント前のドルを高値圏で売り、安値の円を買う調整の動きもあった。

しかし、午後になると、今日はオーストラリアの中央銀行にあたる豪準備銀行(RBA)が新政策金利を通常の倍の0.50%利上げし、年率2.35%にすることを決定したことが世界のFXニュースになり、今週には欧州中央銀行(ECB)の新政策金利の発表予定もあり、今月は米国や英国などでも大幅利上げが予想されていることなどから、金利抑制の日本銀行(日銀、BoJ)との金融政策との方向性の違いなどから、日本との金利差の拡大予想で主要通貨に対して円が売られて、対ドルでも円相場が下落した。

また、午後に時差で朝の欧州英国市場が参入すると、米長期金利が3.2%台の高利回りで堅調に推移していたことでも、日米金利差拡大によるドル買い円売りの勢いが強まり、加えての原油高による日本の貿易赤字拡大予想による円のリスク売りなども加わり、再びドルが大幅に上昇し、円相場が下落して15時頃から141円台になり、円安ドル高が進行した。

日本の夕方が朝市場の英国ロンドン市場でも、昨夜の新英国首相決定時の政治不安解消の英ポンド買いに続き、今日は英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も今月の会合で大幅利上げを継続する予想が優勢で、その一方で記録的なインフレの物価高の中でのローン金利上昇などの英国景気懸念も高まっており、英ポンドの持ち高調整売りで安全資産のドルが買われた今朝の英国市場でドルが上昇した時には円相場にもドル高が波及した。

英国の新首相はエリザベス(英国女王と同じ名前なので愛称のリズと呼ばれることが多い)トラス外相に決定したが、リズ・トラス外相は既に10.1%を超えている英国の高インフレで生活苦の国民のための減税や増税プランの据え置きなどを主張しており、住宅ローン金利なども上昇させる英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げの独自性を一時的に制限して政府が関与する動きなども進めたいと発言していたことがあり、万一の関与前に大幅値上げがされる可能性などが一部で話題になり、その際のリスク回避の英ポンド売りでは、世界的に流動性が高く、また最近は金利上昇で英国と競合しており投資に有利な安全資産の米国のドルが買われていた影響で、円相場でもドルが上昇に拍車をかけた。

そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の終値は、141円57〜58銭前後で、前日同時刻の前東京終値比較で約1円の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国ニューヨーク市場では、連休明けの最新の米国経済指標の発表が予定されており、為替相場の値動きへの影響の可能性がある。日本時間22時45分からは8月のサービス部門と総合の米購買担当者景気指数(PMI)の改定値の発表と、23時には8月の米ISM非製造業景況指数の速報が予定されている。

今日のユーロは、先述の通り、欧州エネルギー問題での景気懸念のユーロ売りの影響があり、昨夜の欧州英国市場ではユーロドルが一時0.9876ドル付近の2002年12月以来のユーロ安ドル高を記録していた。

また昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、同市場で発表された最新の欧州ユーロ圏の経済指標の小売売上高や8月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)の改定値などが市場予想以下であったことも、欧州景気懸念によるユーロ売りを先行させ、一時は円高ユーロ安であった。

しかし、欧州はロシアからのエネルギー不足分を他国から輸入する代替プランなどもあり、また今日の日本市場では今週の欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ予想が強まっており、日欧金利差拡大予想では安値のユーロが買われたことで、円安ユーロ高に転じた。ドルなどの外貨に対する円安もユーロ円に波及し、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円の為替相場の終値は141円19~20銭付近で、前日同時刻比で約1円88銭の大幅な円安ユーロ高になった。今日の日本市場では、一時141円40銭付近の円安ユーロ高も記録した。

昨夜の記録的なユーロ安ドル高の反動で、今日は高値のドルの利益確定売りでユーロが買い戻されたこともあり、ユーロドルも17時の今日の東京外国為替市場のユーロドルの終値は0.9972~0.9973ドル付近で、前日同時刻比で約0.62セントのユーロ高ドル安だった。

英ポンドは、今日の東京外国為替市場の17時の終値は163円95銭〜164円1銭付近で、前日同時刻比で約2円5銭の大幅な円安ポンド高になった。

前述の通り、昨夜に英国与党の保守党(トーリー)新党首のリズ・トラス外相が選出され、今夜エリザベス女王からボリス・ジョンソンの後任の英国の新首相に任命され、サッチャー元首相とメイ前首相に続く英史上3人目の女性首相となる。

英国政治不安の減退からポンドが買われた影響で、安全資産のドルに対しては景気懸念などで売られる機会もあったものの、原油高騰時には低リスク通貨としての価値が下がる円に対してはポンド買いが継続し、英国中央銀行(BoE)の利上げ継続予想での日英金利差拡大予想も相まって、大幅な円安ポンド高へと進行した。

また、今日発表された8月建設業購買担当者景気指数(PMI)も、前回の48.9%と市場予想の48.0%に対して49.2%に増加しており、ポンド買いの一因となった。

今日の豪ドルは、オーストラリア中央銀行の豪準備銀行(RBA)が新政策金利を通常の倍の0.50%利上げをして2.35%にしたことから、日豪金利差拡大の円売り豪ドル買いで17時の今日の東京外国為替市場の豪ドルの円相場の終値は96円11〜15銭で、前日同時刻比で約57銭の円安豪ドル高であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月6日の日本時間(JST)19時23分(英国夏時間(GMT+1)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 141.63 〜 141.64 +1.06(円安)
ユーロ/円 0.9946 〜 0.9947 +1.56(円安)
ユーロ/ドル 0.9933 〜 0.9935 +0.0036(ドル安)
英ポンド/円 164.20 〜 164.26 +2.30(円安)
スイスフラン/円 144.45 〜 144.51 +1.03(円安)
豪ドル/円 96.08 〜 96.12 +0.54(円安)


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