FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)利上げ加速予想減退のドル売り継続

2022年7月19日
FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)利上げ加速予想減退のドル売り継続

 

東西FXニュース – 2022年7月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米NAHB住宅市場指数悪化で利上げ加速による米景気懸念も影響
  • 欧州株高時のリスクオンのユーロ買いと安全資産のドルと円売り波及
  • 21日の欧州中央銀行(ECB)理事会前の持ち高調整のユーロ買いも
  • 英国中央銀行(BoE)にも通常の倍の0.5%の利上げ加速予想が浮上

今日2022年7月19日火曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が138円39銭前後から高値137円71銭前後の値動き幅約68銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は137円73〜74銭前後であった。連休前の先週には一時139円38銭の1998年以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録を更新した後なので、前営業日の東京終値比では今日は約1円18銭の大幅な円高ドル安であった。また、その後に時差で朝の欧州英国市場でも、19時7分頃には137円54銭付近にドルが売られて円が買われていた。

原因はまず、日本市場は昨日が祝日休場であったため、世界市場のトレンド参加が連休明けの今日になったが、昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、昨日の世界市場にも影響を及ぼしていた先週末の米国ニューヨーク市場で発表の米経済指標により、米連邦準備理事会(FRB)が来週に開催予定の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1%の通常の4倍の大幅な利上げ加速をするのではないかという市場予想が減退しており、0.75%の利上げ幅継続予想が優勢になり、先週に一時は記録的な円安ドル高になった際のドル買い加速要因であったFRBの積極的な利上げ加速予想が減退したことで、米長期金利も一時下落し、円安要因の日米金利差拡大予想も減退し、ドル売りの円買いが継続したことが影響した。

先週末発表の米ミシガン大学の消費者の期待インフレ率の低下でも来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%の大幅利上げ観測は減退していたが、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場で発表された最新の米経済指標の7月の全米ホームビルダー協会(NAHB)米住宅市場指数の前月比も前回の67と予想の66に対して55で、前回よりも12ポイント低下し急速に悪化していたことで、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げによる米景気減退懸念が再燃したことも、今日は更なるドル売りの要因になった。

また、先週には一時は139円台の約24年ぶり円安ドル高の記録を更新した後であったために、大きな流れの円安での高値圏のドルの利益確定売りの円買いに加えて、原油先物価格がまだ世界景気懸念で100ドル以下に留まっていたことでも、原油高は日本の貿易赤字リスクと考えられているために、安値圏の低リスク通貨の円には持ち高調整での買いが入りやすくなっていた。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速予想減退のドル売りは、円だけでなく、それまでドル高であった他の主要通貨に対しても、利益確定のドル売りや持ち高調整の買い戻しなどが起きており、外貨に対するドル売りも円相場に波及した。昨夜の欧州市場でも、欧州株高によるリスクオンのドル売りのユーロの買い戻しなどが起きていた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク市場でも、対ドルの円は一時137円97銭付近に買われ、上昇し始めていた。その流れを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ加速予想が減退したことでのドル売り円買いが優勢で、円相場が上昇した。

今朝10時頃の仲値決済でも、輸入実需のドル買いよりも輸出企業によるドル売りの円買いの方が優勢で、日本市場の午前から円相場は上昇しており、午後に欧州英国市場が参入すると、更にドル売りの影響が顕著になった。

今日の午後には米長期金利の指標となる米10年債の利回りも2.96%台に低下したことで、今日の円の高値の137円71銭を記録し、その後に137円73〜74銭付近の前東京終値比で約1円18銭の円高ドル安で今夜17時の東京終値をつけた。

今夜この後の21時半にも、米国の最新経済指標の米住宅着工件数や米建築許可件数の6月分が発表予定で、前回は-13.6pipsものドル円の値動きがあったために、世界のFX投資家達が注目している。

ユーロは、今日の東京外国為替市場で一時141円16銭付近の今日の高値に上昇したほか、今夜17時の東京終値は141円3~5銭で、前営業日比で約1円73銭の円安ユーロ高であった。今日のユーロは先週に一時は等価割れをしていた対ドルでも大きく上昇し、一時1.0253ドル付近の今日の高値を記録した後、17時には1.0239~1.0240ドルで、前営業日比で約2.11セントの大幅なドル安ユーロ高で今日の東京終値をつけた。

原因は、今日の最新ニュースでロイター通信が、欧州中央銀行(ECB)理事会が今週21日の会合では0.25%または0.5%の利上げを議論するという関係者証言があったと報道し、市場では0.25%以上の0.5%の利上げ幅加速予想が浮上したことで、ユーロ買いが起きた。

また、昨夜の欧州英国市場でも、先述の米FRB利上げ加速予想の減退でユーロが対ドルで上昇しており、欧州ユーロ圏の主要株価指数上昇時のリスクオンでもユーロ買いに対しての安全資産のドル売りや低リスク通貨の円売りが優勢になっていた。

先週には一時は等価割れの記録的なユーロ安であった対ドルでは、今週の欧州中央銀行(ECB)理事会のイベントを前に、今日は特に高値圏でのドルの利益確定売りや持ち高調整のユーロ買いも入りやすくなっており、今日の午後に米長期金利が低下していた時にも、ドル売りで円だけでなくユーロも買われていた。

今夜18時に速報で発表された最新の欧州経済指標の欧州ユーロ圏の6月消費者物価指数(HICP)は、コア指数共に前回と予想と同じ横ばい圏であった。

英ポンドは、今夜この後の日本時間の深夜にも英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)のベイリー総裁の発言を控えているが、昨日の英国ロンドン市場で英利上げ加速予想が浮上してきており、米FRBの利上げ加速減退でドルが売られる一方で、ポンド買いが優勢になった。

イングランド銀行(BoE)は来月8月の金融政策委員会で、通常の倍の0.5%の利上げ加速をするという市場予想が拡大しており、ポンド買いが円相場にも波及した。

また今日の午後15時に発表された最新の英国経済指標の英雇用統計6月分では、失業率が前回の4%から3.9%に減少し、失業保険申請数も減少していたことから、英景気懸念がやや後退したことも今日のポンド買い要因になった。

ただし、英国では昨日と今日は40度を超えると予想されている記録的な猛暑のヒートウェーブ(熱波)で、異常気象の赤色警報(日本政府の緊急事態宣言に近い)が首都ロンドンにも今夜も発令中で、昨日のヒートウェーブでもロンドン郊外のルートン空港の滑走路が熱で溶けて飛行機が大量欠航し、電気系故障懸念から電車が欠便するなどの非常事態も起きている。そのため、潜在的な英景気懸念もあり、今日の円相場では大幅なポンド高にはならなかったが、今夜17時の東京終値では、165円29〜35銭の前営業日比で約22銭の円安ポンド高であった。

オーストラリアの豪ドルは、今日発表された7月の豪準備銀行(RBA)議事要旨に、豪労働市場や現在のインフレの状況を念頭におくと、豪金利水準はまだ極めて低いという内容があったことから豪利上げ継続予想が強まり、買われる機会があった。また、豪準備銀行(RBA)のブロック副総裁のタカ派発言でも豪ドルがドルや円に対して買われて上昇し、今夜17時の東京終値は、94円73〜77銭の前営業日比で約64銭の円安豪ドル高であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月19日の日本時間(JST)19時7分(英国夏時間(GMT+1)11時7分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:07の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 137.54 〜 137.55 -1.37(円高)
ユーロ/円 141.09 〜 141.10 +1.79(円安)
ユーロ/ドル 1.0257 〜 1.0258 +0.0229(ドル安)
英ポンド/円 165.46 〜 165.52 +0.39(円安)
スイスフラン/円 142.03 〜 142.09 +0.71(円安)
豪ドル/円 94.89 〜 94.93 +0.80(円安)


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