FXニュース:日米金利差拡大で一時131円台の円安ドル高から今日は調整等も
2022年4月29日東西FXニュース – 2022年4月29日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 来週利上げ予想の米連邦準備理事会(FRB)と金利抑制の日銀の政策の違い
- ユーロ安全資産のドルの高値売り調整と欧州経済指標でユーロ買い戻しも
- 日銀の大規模緩和継続と毎営業日指し値オペの金利抑制で英ポンドや豪ドルも
今日2022年4月29日の東京外国為替市場は「昭和の日」の祝日休場であるが、海外FX等の世界市場は通常営業で、対ドルの円相場の為替レートは昨夜から今朝未明までのニューヨーク市場で一時131円25銭の安値をつけた後に、利益確定の高値でのドル売りや持ち高調整などで徐々に戻し、今日の9時から17時頃までの東京外為取引時間相当の円の為替相場は、安値130円95銭前後から17時直後には欧州市場で高値129円77銭前後までの値動き幅も含めると値幅1円18銭程で、今夜17時の東京終値には130円 2〜4銭前後で、大幅な円安ドル高であった前日と比べると今日は利益確定のドル売りや調整による反発で東京終値前日比では84銭の円高ドル安方向の一時反発となっていた。
しかし、その後の今夜18時に時差で朝10時の英国ロンドン市場では、時差で1時間先の欧州本土市場の朝の高値での利益確定ドル売りサージで一時129円台にまで下がったドルの安値での買い戻しが始まり、再び130円台の円安ドル高方向への動きも出てきていた。
原因は、昨日の日銀の大規模緩和金融政策継続と日本の長期債金利抑制の毎営業日指し値オペ発表で日米金利差の円安要因が強まり、昨日の東京外為時間に130円台の円安ドル高に達した後も、日銀の金利抑制姿勢継続は国際ニュースでロンドンやニューヨーク市場などにも伝わったため、日本時間で昨夜の欧州市場と昨夜から今朝未明までのニューヨーク市場でも、前回の利上げに続き来週の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で積極的な金融引き締めの期待と利上げが予想されている米連邦準備理事会(FRB)と、日本の円安要因の金利抑制の大規模緩和金融政策と公開市場操作の指し値オペを続ける日銀との金融政策の方向性の違いで、日米金利差拡大予想によるドル買い円売りが優勢で、今朝未明までのニューヨーク市場で一時は131円25銭の20年ぶりの131円台の円安ドル高に達し、記録的な高値でのドルの利益確定売りや調整が今日は活発であった。しかし、大きな流れでは円安要因が大きく、調整後には再び円安ドル高が進む可能性も含んでいる。
今朝未明のニューヨーク市場での終値は130円75~85銭で、前日比2円35銭円安ドル高で、その後の今日の東京市場時間は日本が祝日休場で日本の大企業などのまとまった仲値決済が行われなかった為に円需要の流動性が少ないので海外投資系の価格変動の影響を受けやすく、今日平日営業で日本と時間帯の近いアジアやオセアニアなどの海外市場から午前中の高値圏でのドルの利益確定売りや調整などが入り、午後に時差で朝の欧州市場が参入してきて同様に利益確定売りや調整を始めるまでは、トレンドの方向性が乏しい時間帯もあった。しかし、大きな流れとしては日銀が円安要因の金利抑制姿勢を続けることから円安ドル高が進んでおり、海外では利益確定や調整の一時反発と見做している専門家が多い。
今日は利益確定ドル売りや、連休明けの円需要を見込んでの安値でのリスクオン円買い投資や持ち高調整などもあり、今日の円相場は今朝の未明のニューヨークの131円台から、東京時間に130円台後半から130円台前半へと徐々に戻していた。
ただし、先述した来週のFRBのFOMCでは、米国のインフレ対策で前回も利上げのあった米利上げ率の加速が予想されており、また来月より量的引き締め(QT)を開始すると予測されている。日銀が金利抑制姿勢の大規模金融緩和政策継続を決めたことで、日米金利差拡大予想が強まり、再び円安ドル高が進む可能性も指摘されている。
昨夜に発表された米国の重要経済指標の1〜3月期の四半期実質国内総生産(GDP、速報値) は前回が6.9%で予想1.1%に対して結果-1.4%の予想以下で、米景気不安でドルが売られる場面もあったが、ほぼ同時発表の同時期のGDP個人消費・速報値 (前期比年率)も前回2.5%と予想3.5%に対して2.7%で米国の記録的なインフレの影響が伺え、来週に開催されるFOMCでのインフレ抑制の為の金融政策に期待が強まり、その後に米長期金利も上昇したために再びドルが買われて、131円25銭付近の高値を更新した経緯がある。
ウクライナ危機の長期深刻化により、先日ロシア国営ガスプロムがポーランドなどの欧州の一部への天然ガス供給を停止した欧州エネルギー問題で、昨日はリスク回避でユーロが売られて安全資産のドルが買われていたが、今日はドルが記録的な高値になった為に利益確定目的でドルを売る反発の動きがあり、今日17時頃のユーロ対ドルは1.0560〜1.0564ドルで前日比0.62セントのユーロ高ドル安であった。
ユーロ対円も、ユーロ対ドルの上昇の波及で一時は137円64銭付近まで上昇したが、ドル対円が今日の利益確定ドル売りと調整下げた影響で、137円台前半に戻す時間もあり、今日17時の東京終値には137円39〜41銭で前日比2銭の円高ユーロ安であった。
しかし、その後、今夜18時頃に発表された欧州の景気経済指数では、ドイツや欧州の1〜3月期国内総生産(GDP)の速報値に市場予想よりも良い結果が多かったため、欧州市場を中心にドルや外貨に対するユーロの買い戻しが起きた影響で、今夜19時頃には137円79〜81銭で前日比0.38円の円安ユーロ高に市場反転した。ウクライナ危機の原油高による貿易リスク増加で、低リスク通貨として買われていた円が売られたことも影響した。
日銀の金利抑制姿勢で日英金利差も拡大しており、今日は再び円に対して英国ポンドが買われており、今日17時の東京終値付近には、163円33〜39銭で前日比28銭の円安ポンド高であった。ただし、日本時間の17時過ぎに時差で朝の英国では、ロシア産エネルギー依存率は少ないが、冷戦以来の規模と言われる8000人の英軍兵士をウクライナに近い東欧に送り、対露演習を開始することが朝のトップニュースになり、18時頃まで英ポンドが一時的に売られる反発の時間帯もあったが、その後は18時から19時に欧州景気関係もあって大きく買われて上昇し、円安ポンド高のトレンドを持続していた。
オーストラリアの豪ドルも、今日は1〜3月期の消費者物価指数などが上昇しており、来週5月3日の豪準備銀行理事会(RBA)でも利上げ予想が強まっていることで海外の投資家達に買われており、今夜17時の東京終値の円相場では93円8〜12銭で前日比18銭の円安豪ドル高であった。
今夜はこの後にも日本時間で21時半頃から、米国の景気経済指数の3月の個人消費支出(PCEデフレーター)などが発表される予定で、結果によっては今後の為替の値動きに影響を与えるので、ニュースには注意が必要である。
今日の東西F Xニュース執筆終了時の2022年4月29日の日本時間(JST)19時25分(英国夏時間(GMT+1)11時25分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:25の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 130.27 〜 130.29 | -0.59(円高) |
ユーロ/円 | 137.69 〜 137.71 | +0.28(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0567 〜 1.0569 | +0.0069(ドル安) |
英ポンド/円 | 163.61 〜 163.67 | +0.56(円安) |
スイスフラン/円 | 134.26 〜 134.32 | -0.36(円高) |
豪ドル/円 | 93.29 〜 93.33 | +0.39(円安) |
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