FXニュース:日銀追加利上げ慎重姿勢
2025年12月22日
東西FXニュース – 2025年12月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米欧英債券利回り上昇
- 為替介入警戒感は抵抗に
- 米主要株価三指数が続伸
- 日経平均株高リスクオン
- 日10年債利回り2.1%台
- ユーロ円史上最高値続伸
- 欧米クリスマス前調整も
今日2025年12月22日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の157円67銭付近から、円の安値でドルの高値の157円23銭付近の値幅約44銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円44銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円78銭付近の前東京終値比で約66銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策会合が国内政策金利をこれまでの0.50%程度から0.75%程度へと市場予想通りの0.25%の小幅利上げを決定したが、見通しが実現すれば追加利上げ方向の継続は示唆したものの利上げ後も金融緩和的な状況が続くことや、日銀の植田和男総裁の要人発言では今後の追加利上げペースや中立金利のターミナルレートについての具体的な言及が特になく、利上げに慎重なハト派寄りとの市場予想から主要通貨に対する円安が進行した。
債券市場では、日本政府の高市早苗政権の積極財政の国債増発への警戒感などもあり上昇していた新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が日銀の利上げ路線継続を受けて2%台で上昇したが、欧米国債にも売りが波及して連れ高になったことでは、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利や英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利は4%台で上昇しており、米国長期金利が4.15%台に乗せた債券利回りの金利差トレードの影響などもあって先週金曜日の夜19時48分頃にドルは円相場で一時157円40銭付近と、157円台での上昇を見せたほか、欧州ユーロも円相場で184円台で上昇して1999年のユーロ制定以来の史上最高値続伸に向けており、英国ポンドも円相場で210円台後半に上昇していた外貨影響の円安も対ドル円相場に波及していた、ただし、欧州市場のニュースでは、欧州ユーロ圏と隣接する地域もある地理的に近いウクライナ情勢について、クリスマスに向けた停戦期待が高まっていたが、ロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領も、「ロシアが尊重されるなら、ウクライナの後に戦争はもう起きない」として、「ウクライナでの戦争を平和的に終わらせる用意と意思がある」と主張したことも、地政学リスク警戒感の緩和に伴う欧州ユーロの円相場での上昇に影響を与えていた一方で、まだ具体的なロシア政府のウクライナ停戦合意がないと指摘されたことや、欧州のフランス政府が2026年の仏予算案について仏上下院合同委員会が妥協案を取りまとめることができなかったことから年内成立に向けて緊急立法の公算が高まったという仏政治懸念のニュースもあったことは、欧州ユーロが世界的に流動性の高い安全資産のドルに対して売られた時間の外貨影響が波及したほか、欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-indeX / German stock index) が一時反落した時間に低リスク通貨の円が買い戻される抵抗もやや混ざった。
その影響から、欧州英国市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時157円24銭付近であった。
また、主要通貨への円安進行を受けて、先週金曜日の夜23時台のニュースでは、日本政府の片山さつき財務相の円安牽制発言が話題になり、「為替動向は、一方向で急激な動きで憂慮している」として、「為替相場の行き過ぎた動きには適切に対応する」と述べたことから、週末の海外市場が狙われやすい日本政府の為替介入への警戒感が市場で意識された影響では利益確定や持ち高調整の円買いも入り、先週金曜日の夜23時13分頃にドルは円相場で一時156円93銭付近に反落し、この日の米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、前東京終値レベルの156円台への円相場の反発を受けて、為替介入への警戒感が緩和されたことや、先ほども乗せていたが実際の介入は起きなかった157円台から今年1月にすでに記録済みの一時158円87銭付近の今年最大の円安ドル高のレベルまでは実弾の為替介入は入らないという市場の見解があり、再びドルは円相場で157円台反発した。
米国ニューヨーク株式市場でも、同市場からは翌週にあたる今週のクリスマスを前にしたトレードの影響もあり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃ってプラス圏に上昇して続伸に向けており、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られやすかったことが為替相場に影響を与えていた。
ただし、米国市場で深夜24時に発表された最新米国経済指標は、11月米国中古住宅販売件数が、年率換算件数は前回の410万件と前回上方修正の411万件と市場予想の415万件に対し413万件と前回よりは増加したものの市場予想以下で、前月比も前回の1.2%は前回1.5%に上方修正されていたが市場予想の1.2%を下回る0.5%であったほか、12月米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値も前回速報値の53.3と市場予想の53.5を下回る52.9に下方修正されたことはやや抵抗となった。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、クリスマストレードの影響もあって米国主要株価三指数が揃ってプラス圏に上昇後の堅調な推移を続けて続伸の高値の終値に向ける中で、安全資産の米国債売りの影響を受けた債券利回り低下時の利回りの上昇により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は午前3時55分頃には一時4.159%付近と更に上昇したため、債券利回りの金利差トレードのドル買いが起きていた。
また、欧米のクリスマスのホリデー週を前にした週末の米国市場の終盤では、利益確定やポジション調整などのドルの買い戻しも入りやすくなっており、米国ニューヨーク外国為替市場が終値に向かう午前6時55分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時157円78銭付近と、この日の米国における円の安値でドルの高値を記録した。
このため、先週金曜日の夜22時頃から先週土曜日の朝6時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の安値でドルの高値の156円93銭付近から、円の高値でドルの安値の157円78銭付近の値幅約85銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のニューヨーク終値は157円75銭付近と、前営業日同時刻の155円55銭付近の前ニューヨーク終値比で約2円20銭の大幅な円安ドル高をつけて週末を迎えた。
週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、欧州ユーロが円相場で184円台後半のこの時点での史上最高値を続伸し更なる上昇に向けていたことでは、対ドルでも欧州ユーロが買われた時間があったため、外貨影響の対ドル円相場に波及したほか、日本政府の円安牽制発言に対する為替介入への警戒感も燻る中で、今朝7時59分頃にドルは円相場で一時157円43銭付近に下押ししていたため、続いて今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時157円64銭付近となり、今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価がプラス圏に大幅上昇して始まった株価影響の低リスク通貨の円売りと、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入っていた今朝9時38分頃の対ドル円相場の一時157円67銭付近が今日の日本市場における円の安値でドルの高値となり、対ドルの円相場は先週末の下げ幅の縮小に向け始めた。
先週金曜日の夜の日本政府の片山さつき財務相の円安牽制発言に続き、今朝は三村淳財務官も為替について、「一方向で急激な動きに憂慮している」と、「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と円安牽制発言を続けており、木原誠二内閣官房副長官も、「足元の為替市場では、一方向かつ急激な動きも見られ憂慮している」と、「為替市場での投機的な動きも含めた行き過ぎた動きについては、必要に応じて適切な対応を取る」と、複数の政府関係者が立て続けに為替介入への警戒感を高める円安牽制発言をしたことから円の買い戻しが入り、今朝11時18分頃に対ドル円相場は一時157円23銭付近と、今日の日本市場における円の高値でドルの安値を記録した。
また、国内債券市場では、先週から2%台での上昇を見せていた新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利の上昇が続き、正午12時53分頃に一時2.102%付近と2.1%台にも上昇し、1999年2月以来の高利回りを記録した一方で、時間外の米国債券取引では正午12時46分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.174%付近に上昇していた。
今日の日経平均株価は前営業日比で一時1083円67銭高の5万590円88銭付近の市場高値を記録後も、上昇幅の縮小がやや限定的で大幅高の推移を続けており、日米株価上昇に伴う低リスク通貨の円売りは抵抗となり、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が5万402円39銭の終値をつけて前営業日比895円18銭高の+1.81%で大引けすると、ドルは円相場で157円台前半から中盤付近に反発し、夕方からの欧州市場参入後の午後16時57分頃の対ドル円相場は一時157円56銭付近となり、クリスマスのホリデー週に向けた自国通貨の買い戻しの影響もあり、欧州ユーロが円相場で史上最高値を再び続伸し、英国ポンドは円相場で211円台と今年最大の円安ポンド高となった外貨影響も対ドル円相場に波及した。
このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円44銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円78銭付近の前東京終値比では約66銭の円安ドル高になっていた。
今夜の米国市場では、今週の欧米のクリスマス・ホリデー時期を控えて市場参加者が減る中で、今夜は特に注目度の高い最新米国経済指標の発表予定はないものの米国債の入札予定などはあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、27時に米国2年債入札を控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、ウクライナ情勢や中東などの世界情勢に加え、世界の政治・経済の最新ニュースやドナルド・トランプ米国大統領や高市早苗首相などを含めた要人発言などのファンダメンタルズ分析は、世界市場での最新経済指標データやテクニカル分析と共に引き続き世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は184円68銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の183円57銭付近の前東京終値比で約1円11銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の次回の欧州金利維持据え置き予想が優勢で経済先行きに上方修正があったことに対し、日銀の植田和男総裁が今後の利上げを急がない慎重なハト派姿勢を見せた影響などがあり、日米株価上昇時の低リスク通貨の円売りでも買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが円相場で上昇しており、今夜その後の欧州市場でもユーロ円は今夜18時頃に一時184円93銭付近と、1999年のユーロ制定以来の史上最大の円安ユーロ高を更に続伸している。
経済圏が近い欧州ユーロと連れ高になりやすく、主要通貨の中でも高金利通貨にあたる英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は211円17銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の209円56銭付近の前東京終値比では約1円61銭の大幅な円安ポンド高であった。
なお、今日の夕方16時に最新英国重要経済指標の7〜9月第3四半期英国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値の発表があったが、前期比は前回速報値と市場予想通りの0.1%で、前年同期比も前回と市場予想一致の1.3%の横ばいであった。
先週の英国中央銀行イングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) のタカ派寄りの3.75%への英国小幅利下げを決定後に、英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が今後の追加利下げに慎重になる市場予想が高まり、今夜も英国10年債の利回りが市場となる英国長期金利は一時4.545%付近と4.5%台で上昇しており、日英金利差トレードも為替相場に影響を与えている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1730ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1708ドル付近の前東京終値比で約0.22セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる欧州ユーロ買いの影響や、欧州ユーロが円相場で史上最高値を続伸している外貨影響の波及などがあり、キリスト教国の多い欧州市場でホリデー前の欧州ユーロの買い戻しが世界的に流動性の高い主要取引通貨の対ドルで入っていたことなどもユーロドルの為替相場に影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月12月22日の日本時間(JST / Japan Standard Time) の20時38分(チャート画像の時間帯は英国冬時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時38分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も2025年11月2日から米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST-14) になっており、欧米のサマータイム終了後の日本時間との時差調整があったことには注意が必要である。
| 通貨ペア | JST 20:38の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
| ドル/円 | 157.41 〜 157.42 | +0.64 (円安) |
| ユーロ/円 | 184.65 〜 184.66 | +1.09 (円安) |
| ユーロ/ドル | 1.1729 〜 1.1731 | +0.0023 (ドル安) |
| 英ポンド/円 | 211.45 〜 211.51 | +1.95 (円安) |
| スイスフラン/円 | 198.34 〜 198.40 | +1.34 (円安) |
| 豪ドル/円 | 104.50 〜 104.54 | +1.02 (円安) |
注意:
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