FXニュース:日銀利上げ政府容認観測
2025年12月04日
東西FXニュース – 2025年12月04日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米ADP雇用報告が下振れ
- 米ISM非製造業景況堅調
- 米ISMも雇用項目は軟調
- 米利下げ予想利回り低下
- 日10年債利回り1.935%
- 日米主要株価指数は続伸
今日2025年12月4日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の155円2銭付近から、円の安値でドルの高値の155円54銭付近の値幅約52銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円22銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円69銭付近の前東京終値比で約47銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、時間外の米国債券取引で米国利下げ予想の影響を受けて昨夜17時前後には一時4.074%付近に低下していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、昨夜17時9分頃の一時4.077%付近から昨夜18時台の一時4.086%付近へと反発を見せたことを受けては、昨夜17時19分頃にドルは円相場で一時155円76銭付近に買い戻されていた。
しかし、昨夜17時台から18時にかけて欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、フランスとドイツと欧州ユーロ圏総合の11月サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値の市場予想以上の上方修正が相次いだほか、昨夜18時30分の英国の11月サービス部門のPMIも上振れしたため、欧州ユーロや英国ポンドに対するドル売りの外貨影響が対ドル円相場に波及し、ドルは円相場で反落した。
また、来週12月9〜10日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ予想は市場で確定値と考えられている70%を超える推移を続けていたが、昨夜の米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FewWatch) ツールでは米国小幅利下げ予想値は以前の87%台付近から一時89.2%付近に更に上昇した時間があったため米国長期金利が反落し、昨夜21時31分頃の一時4.059%付近に向けて急落した債券利回りの金利差トレードを受けたドル売りが起きた影響では、昨夜21時2分頃と41分頃にドルは円相場で一時155円36銭付近に下落したが、二度目の安値を下抜けしなかったテクニカル分析的なダブルボトム (Double bottom / 二番底) からはやや買い戻しも混ざり、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時155円42銭付近であった。
米国市場では最新米国重要経済指標の発表があり、米国労働省労働統計局 (BLS / Bureau of Labor Statistics) の11月米国雇用統計は政府閉鎖時の影響で12月5日の予定が12月16日に延期され、来週12月9〜10日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) までに公表できない予定のため、市場では民間の米国オートマチック・データ・プロセッシング社 (ADP / Automatic Data Processing Inc.) と米国スタンフォード大学デジタル経済研究所の共同作成の11月米国ADP (Automatic Data Processing Inc. / オートマチック・データ・プロセッシング社) 雇用統計が注目されていたが、昨夜22時15分に発表されたその11月米国ADP雇用統計は、前月比は前回の4.2万人から前回4.7万人に上方修正されたものの、市場予想の1.0万人を想定外に下回る−3.2万人のマイナス圏に下振れしたため、発表時の昨夜22時15分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時155円22銭付近に瞬時の下押しを見せた。
ただし、昨夜22時20分頃にも一時4.059%付近に再下落を見せた米国長期金利が再反発したことではドルも円相場で小幅に反発したが、続いて昨夜22時30分に以前の米国政府の一部機関閉鎖中に延期されていたデータの発表もあり、9月米国輸入物価指数の前月比は前回の0.3%が前回0.1%に下方修正された上で市場予想の0.1%を下回る0.0%に鈍化し、9月米国輸出物価指数も同様であったことでは、昨夜22時34分頃に一時155円53銭付近に買い戻されたドルは円相場で小幅な反落を見せた後に小動きになっていた。
昨夜23時15分には、同じく延期されていた経済指標の9月米国鉱工業生産の発表があり、前月比は前回の0.1%が前回−0.3%とマイナス圏に下方修正されたが、市場予想の0.0%を上回る0.1%のプラス圏であったことでは、小幅な反落後のドルは円相場で小幅に反発した時間もあったが、その後の昨夜23時45分の11月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値は前回の速報値と市場予想の55.0を下回る54.1に下方修正されており、11月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回の54.8に対し54.2に下方修正と弱く、ドルは円相場で再び小反落を見せていた。
しかし、深夜24時に発表された最新米国重要景気指標の11月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数は、前回の52.4と市場予想の52.1を上回る52.6に上昇したことを受けてはドル買いも入り、深夜24時4分頃にドルは円相場で一時155円60銭付近と、昨夜から今朝までの米国市場における円の安値でドルの高値を記録したほか、世界的な安全資産としての米国債売りも入り、深夜24時38分頃には米国長期金利も一時4.088%付近にまで反発した。
とはいえ、その米国サプライマネジメント協会 (ISM) の発表データも、構成データを見ると個別項目では雇用が48.9と景気ボーダーラインの50を下回る不景気側の指標があり、先ほどの米国オートマチック・データ・プロセッシング社 (ADP) のデータと併せて米国雇用への警戒感による米国利下げ予想が再び意識されたことでは、ドルは円相場で反落を始めた。
また、前日にも米国利下げ要求の政治圧を続けている米国政府のドナルド・トランプ大統領が、アメリカ合衆国国家経済会議 (NEC / National Economic Council) のケビン・ハセット委員長を米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次期議長の最有力候補に示唆する発言をした報道が話題になったが、意向通りの米国利下げに積極的なハト派の次期FRB議長による来年の米国追加利下げへの警戒感も燻り、米国長期金利が反落を始めたことも債券利回りの金利差トレードのドル売りに影響を与えたため、先日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁のタカ派発言後の次回12月18〜19日の日銀金融政策決定会合での利上げ予想の影響も燻り、午前1時27分頃にドルは円相場で一時155円1銭付近と、昨夜から今朝までの米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国利下げ予想の高まりを受けた金利警戒感の緩和により、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って続伸の終値に向けたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による低リスク通貨の円売りは抵抗となり、市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整のドルの買い戻しと共に、ドルの円相場での下げ幅を縮小したが、今朝7時頃のニューヨーク終値時の米国長期金利が一時4.067%付近に低下していたことでは、前ニューヨーク終値比で円高ドル安のニューヨーク終値となった。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の安値でドルの高値の155円60銭付近から、円の高値でドルの安値の155円1銭付近の値幅約59銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は155円25銭付近と、前営業日同時刻の155円88銭付近の前ニューヨーク終値比で約63銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間のニュースでは、前日に続き、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) が、米国政府のドナルド・トランプ大統領達が、アメリカ合衆国国家経済会議 (NEC / National Economic Council) のケビン・ハセット委員長が来年に次期FRB議長になった場合は、スコット・ベッセント財務長官にNEC委員長を兼任させる可能性について協議していると報じており、大統領の意向通りに米国利下げをする様なハト派のFRB議長になることへの警戒感が高まり、本来は政治から独立している筈の米国中央銀行制度であるFRBへの信頼性に対する懸念も意識されたことではドル売りが起き、今朝8時46分と48分頃にドルは円相場で一時155円9銭付近に下落していた。
その影響から、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時155円12銭付近で、今朝9時3分頃にドルは円相場で一時155円2銭付近に下落し、今日の日本市場における円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝早朝に米国主要株価三指数が続伸した影響もあり、今朝の東京株式市場では今日の日経平均株価がプラス圏から始まり、大幅な上昇トレンドになった株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りが起き始めた影響では、ドルは円相場で反発し、今朝の仲値決済でも日本企業の輸入実需などの円売りドル買いが入っていたことや、正午12時過ぎに米国長期金利が一時4.084%付近に下げ幅を縮小した影響もあり、昼の12時37分頃に対ドル円相場は一時155円54銭付近と、今日の日本市場における円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、国内債券市場でも、日銀の利上げ予想の影響や、高市早苗政権の財政拡張による債券増発への警戒感などから、昨日にも一時1.89%台の2008年6月以来の高利回りを記録した新発10年物日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が上昇しており、今日は2007年7月以来の一時1.9%台の上昇を見せ、午後の一時1.935%付近に向けたことに加えて、英国ロイター通信が (Reuters) の「日銀、12月会合で利上げの可能性強まる。高市政権も容認姿勢=関係筋」の報道が話題になり、午後14時50分頃に対ドルの円相場も一時155円19銭付近に反発した。
午後15時30分頃には、今日の日経平均株価は5万1028円42銭の終値をつけ、前日比1163円74銭高の+2.33%で大引けした株価影響では、低リスク通貨の円売りも入り、午後15時36分頃には対ドル円相場は一時155円45銭付近になっていた。
日銀の利上げ予想による金利警戒感はあったものの、先日の米国ブラック・フライデー (Black Friday) のビッグセールでは、AI (Artificial intelligence / 人工知能) を利用したオンラインセールが史上最高額となった影響などもあり、日本国内でもAIや半導体関連や産業用ロボット株などが上昇したことが世界的なハイテク国家とされる日本の株価を内外から牽引していた。
夕方からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入でも、米国利下げ予想と日銀利上げ予想による日米金利差縮小予想が先ほどの「高市政権も容認姿勢」の報道を受けて意識された円買いドル売りが入ったため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円22銭付近で、昨日17時の155円69銭付近の前東京終値比で約47銭の円高ドル安になっていた。
また、世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場では、日銀の政府容認という早期利上げ予想を受けて、日本市場の終了後にも円買いドル売りが進み、今夜20時11分頃にはドルは円相場で一時154円54銭付近と一時154円台にも下落しており、外貨影響の波及もあって欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても円相場が上昇している。
今夜この後にも米国雇用関連の最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に11月米国チャレンジャー人員削減数と、今夜22時30分に前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数などの発表を控えている。
来週12月9〜10日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えて米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達は発言自粛のブラックアウト期間となっているが、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、ウクライナ情勢や中東や中米などの世界情勢に加えて、世界政治経済のニュースや要人発言などのファンダメンタルズ分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は181円6銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の181円27銭付近の前東京終値比で約21銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、前述の日銀の日本政府容認という早期利上げ予想を高める今日の観測報道を受けて、ドルだけでなく欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても円相場が上昇した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1664ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1643ドル付近の前東京終値比で約0.21セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、欧州金利据え置き予想に対する米国利下げ予想による欧米金利差予想が影響を及ぼし続けていたほか、先述の欧州経済指標の上方修正も為替相場に影響を与えた。
なお、その後の今夜19時の欧州市場では、欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の10月欧州小売売上高の発表があったが、前月比は前回マイナス圏だった−0.1%に対し市場予想通りの0.0%に改善されており、前年同月比は前回の1.0%と市場予想の1.3%を上回る1.5%に上昇した。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は207円1銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の206円21銭付近の前東京終値比では約80銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨夜には英国景気指標の11月英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値も市場予想以上に上方修正されており、対ドルなどで英国ポンドが買われたほか、今日の日経平均株価の大幅高を受けた株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りでも英国ポンドが買われたことなどが為替相場に影響を与えていた。
ただし、今夜その後の18時30分に発表された最新英国景気指標の11月英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) は前回と市場予想の44.1を下回る39.4に下振れしており、日銀の日本政府容認という早期利上げ観測報道を受けた主要通貨に対する円買いの外貨影響の波及もあり、その後の英国市場では一時206円台に上昇幅を縮小している。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月12月4日の日本時間(JST / Japan Standard Time) の20時59分(チャート画像の時間帯は英国冬時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時59分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も2025年11月2日から米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST-14) になっており、欧米のサマータイム終了後の日本時間との時差調整があったことには注意が必要である。
| 通貨ペア | JST 20:59の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
| ドル/円 | 154.54 〜 154.55 | −1.14 (円高) |
| ユーロ/円 | 180.50 〜 180.51 | −0.76 (円高) |
| ユーロ/ドル | 1.1678 〜 1.1680 | +0.0037 (ドル安) |
| 英ポンド/円 | 206.44 〜 206.50 | +0.29 (円安) |
| スイスフラン/円 | 193.23 〜 193.29 | −0.81 (円高) |
| 豪ドル/円 | 102.15 〜 102.19 | −0.23 (円高) |
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