FXニュース:今夜米雇用統計発表控え
2025年7月03日
東西FXニュース – 2025年07月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米ADP全米雇用報告低下
- 米ベトナム通商交渉合意
- 米S&Pナスダック最高値
- 日米関税交渉難航警戒感
- 日銀審議委員ハト派発言
今日2025年7月3日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円44銭付近から、円の安値でドルの高値の143円93銭付近の値幅約49銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円89銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円93銭付近の前東京終値比で約4銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.290%付近に上昇し、今夜18時36分頃にドルは円相場で一時144円25銭付近に上昇したが、米国トランプ減税と歳出案の米国連邦上院可決を受けた米国財政懸念による米国債売りの影響もあったことでは抵抗も入り、昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円18銭付近の始値で、昨夜21時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録していた一時144円21銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となった。
今夜この後に最新米国重要経済指標の6月米国雇用統計の発表イベントを控えている米国市場では、前日に発表された5月米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が市場予想を上振れしたことや、昨夜20時30分に発表された6月米国チャレンジャー人員削減数の前年比が前回の47.0%から−1.6%に減少したことでは市場期待感が燻ったことに反し、昨夜21時15分に発表された米国雇用関連の最新経済指標の6月米国ADP (Automatic Data Processing / オートマティック・データ・プロセッシング) 雇用報告の6月米国ADP雇用者数の前月比は、前回3.7万人が前回2.9万人に下方修正されたほか、市場予想の9.2万人を大幅に下回るマイナス圏の−3.3万人に下振れしており、ドルは円相場で144円台から143円台に急落し、昨夜21時24分に対ドル円相場は一時143円48銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、昨夜の米国FOXビジネス・ニュースでは、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国リッチモンド地区連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁は、第二次ドナルド・トランプ政権の米国移民政策による米国移民減少が、米国労働市場に与える可能性を指摘し、今後の米国雇用統計のデータの解釈について、「米国失業率の変化が経済成長鈍化によるものか、それとも外国人労働者減少によるものかを判断することが、我々にとって難しくなる」と発言しており、「失業率を注視しているが、米国雇用やインフレ、貿易政策など学ぶべきことはたくさんある」としており、今年年内の米国利下げ時期について、物価安定と雇用最大化の二大責務を掲げるFRBが、今夜この後の米国雇用統計が想定以上に下振れした場合には利下げ時期を前倒しにする可能性への警戒感があったが、米国移民労働市場の影響によるものである場合などには早期の米国利下げへの前倒しには至らない可能性もあることから、市場安値後のドルには買い戻しが入り始めた。
一方、悪いニュースが出てくると他者に責任を求めがちなドナルド・トランプ米国大統領は、FRBのジェローム・パウエル議長への利下げ要求の政治圧を続けており、「すぐに辞任すべき」とまで発言していたが、英国ロイター通信 (Reuters) は、そもそもジェローム・パウエル氏をFRB議長に指名したのは第一次ドナルド・トランプ政権時代のドナルド・トランプ米国大統領であり、その後にジョー・バイデン前大統領による再任で来年2026年5月までの任期となっているが、自身の人事であった点を指摘していた。
しかし、ドナルド・トランプ米国大統領は、自身の政策の良いニュースとして、「ベトナムとの米国関税交渉が合意した」と発表し、「インドとの合意も近い」としたが、「他国は7月9日の期限に間に合わない可能性がある」ことも示唆した。
米国雇用市場の軟化予想への警戒感からは、FRBの利下げ期待の一方で、米国経済成長にとってマイナスになることへの懸念が先行し、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃ってマイナス圏から始まったが、ベトナムとの米国関税交渉合意に続き、米国の対中高関税回避で中国にアイフォーン (iPhone) の生産拠点を持っていた米国アップル (Apple Inc.) 社がインド経由の米国輸入ルートを模索するなどの話題になったことがあるインドの米国関税交渉合意に向けた市場期待感が高まったことでは米国アップル株などが上昇し、米国主要株価三指数が一時揃ってプラス圏に転じ、米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りとドルの買い戻しで、昨夜23時50分頃にはドルは円相場で一時144円15銭付近と144円台に反発した。
また、英国ロンドン外国為替市場では、深夜24時のロンドン・フィキシング (London Fixing) における主要取引通貨のドルに対する英国ポンド売りに加えて、ポンドドルでドルが急伸しており、この原因には昨夜の英国議会でキア・スターマー英国政権が公共投資促進など財政拡大方針のための財源確保の一環として、先日の増税案に続いて今回は障害者手当削減などの英国福祉改革案を提示したが、与党や労働党内の反発を受けて縮小を余儀なくされたことから英国財政悪化懸念が高まり、英国政府の債務増大への警戒感から英国ポンドが売られてドルが買われて上昇した外貨影響が対ドル円相場にも波及していた。
なお、キア・スターマー英国首相が議会で明確な支持を示せず、財政規律堅持派のレイチェル・リーヴス英国財務相が議会のライブ中継中に泣き出すなど、英国財政懸念に加えての英国政治の先行きへの不透明感が高まり、一時はレイチェル・リーヴス英国財務相の今後の継続さえも危ぶまれた退任説の噂まで浮上して混乱していたが、その後には英国首相報道官が「職を離れることはない」と否定したほか、英国国営放送BBCのインタビューでキア・スターマー英国首相も、レイチェル・リーヴス財務相の今後についての質問に対し、「今後、とても長い間、財務相を務めるだろう」と答えたことから収束に向かい、辞任観測説の後退と共に、英国ポンドの買い戻しも入ったが、ニュース以前の昨夕には一時1.37ドル台だったポンドドルは、深夜頃には一時1.35ドル台に大幅な急落を見せており、世界的に流動性が高いドルだけでなく低リスク通貨の円に対する為替相場にも影響を及ぼしていた。
一方、米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産の米国債売りも続いていたため、米国債券価格低下に伴う利回り上昇を受けて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が午前1時45分には一時4.309%付近と4.3%台に上昇し、金利に敏感な米国ダウは金利警戒感から小幅反落の終値に転じたが、米国アップルを含めて国際的なハイテク企業比率の高い米国ナスダック総合と米国S&P 500種は上昇を続けて史上最高値を更新しており、米国主要株価三指数中の二指数の最高値更新を受けたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りでもドルの買い戻しが入っていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円21銭付近から、円の高値でドルの安値の143円48銭付近の値幅約73銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円66銭付近と、前営業同時刻の143円42銭付近のニューヨーク終値比で約24銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円52銭付近の始値であったが、今夜この後に最新米国雇用統計発表のイベントを控えたイベントリスクの中で、昨夜発表された米国ADP雇用報告の下振れを受けた警戒感からは低リスク通貨の円の買い戻しが入り、今朝9時36分頃にドルは円相場で一時143円44銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、日本市場では、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、昨夜のベトナムとの米国関税交渉合意とインドとの関税交渉進展の発表の際に、「他国は7月9日の期限に間に合わない可能性がある」としていたことから、日米関税交渉難航受けて、期限に間に合わない可能性がある他国とは日本を含んでいることから米国関税への警戒感が高まり、今朝の東京株式市場では今朝9時30分頃に日経平均株価が一時反落してマイナス圏の市場底値付近になった株価影響もあり、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (risk-off) で低リスク通貨の円が買われた。
しかし、米国トランプ関税の不確実性への様子見と警戒感が市場で意識される中で、ドルは円相場で反発し、また今朝10時30分頃から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の高田創審議委員が、三重県の金融経済懇談会の挨拶で発言し、日銀の追加利上げについて、「足元は一旦休止局面」と、ハト派寄りの発言をした影響から、以前は日銀の中でも利上げに積極的なタカ派として知られていただけに日銀の早期の利上げ予想が後退し、円売りドル買いが進んだほか、国内金利警戒感の緩和により一時はマイナス圏になっていた日経平均株価が持ち直してプラス圏に戻したことから、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円売りが起き、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万9785円90銭の終値をつけて前日比23円42銭高の+0.06%で大引けすると、午後からの欧州市場参入の影響もあって、午後15時34分頃に対ドル円相場は一時143円93銭付近と、昨日の前東京終値の横ばいレンジ圏付近に戻し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、夕方から英国ロンドン外国為替市場が参入すると、昨夜はポンドドルが一時1.37から1.35ドル台への大幅下落を見せていたが、日本の夕方は時差で英国現地時間の早朝にあたるため、今日の英国市場では英国ポンドの対ドルでの買い戻しが入ってポンドドルは1.36ドル台に下げ幅を縮小し、外貨影響の対ドル円相場への波及があり、ドルは円相場で反落した。
また、今夜この後の米国市場では、今後の米国利下げ予想に影響を与える可能性から注目を集めている最新米国雇用統計発表などの発表イベントを控えているため、イベントリスクの影響による米国債買いで米国長期金利は今日の夕方には一時4.254%付近と4.2%台に低下しており、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りや米国長期金利低下時の主要通貨へのドル売りや様子見のドルの買い控えなども入っていた。
一方、欧州ユーロに対しては円売りが進んでおり、今夜の欧州市場で昨年2024年7月以来の円安ユーロ高に向けた外貨影響の対ドル円相場の波及では、今日の東京終値は前東京終値比で小幅な円高ドル安に向けていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円89銭付近で、昨夜17時の143円93銭付近の前東京終値比では約4銭の小幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標などの発表イベント予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に米国雇用関連の重要経済指標の6月米国雇用統計の6月米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) と6月米国失業率と6月米国平均時給などの発表予定があり、同時刻に前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数と5月米国貿易収支と、今夜22時45分に6月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値と6月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 改定値、今夜23時には米国景気関連の重要経済指標の6月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数と、同時刻に5月米国製造業新規受注の発表が予定されている。
また、世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、日本や各国との米国関税交渉などを含めた世界の政治経済の影響に加えて、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円83銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の169円43銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日銀の早期利上げ予想が後退した円売りに対し、今夜のイベントリスクのドルが買いにくいことから他の主要通貨である欧州ユーロが買われたほか、ユーロドルも欧米金利差予想などを受けてユーロ高であったことから外貨影響の円相場への波及があった。
そのため、ユーロドルも、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1803ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1772ドル付近の前東京終値比で約0.31セントのユーロ高ドル安であった。
前述の英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は196円50銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の197円22銭付近の前東京終値比で約72銭の円高ポンド安だった。
主な要因は、昨夜の英国財政悪化懸念の英国ポンド売りにより対ドルで英国ポンドが大幅な下落を見せたが、低リスク通貨の円に対してもポンド円は一時195円台への大幅な急落を見せていたことから、今日は英国ポンドの買い戻しが入って円相場で下げ幅を縮小したものの影響は残り、前東京終値比では円高ポンド安になった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月3日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時50分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 143.78 〜 143.80 | −0.15 (円高) |
ユーロ/円 | 169.64 〜 169.65 | +0.21 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1797 〜 1.1798 | +0.0025 (ドル安) |
英ポンド/円 | 196.49 〜 196.55 | −0.73 (円高) |
スイスフラン/円 | 181.53 〜 181.59 | +0.02 (円安) |
豪ドル/円 | 94.55 〜 94.59 | +0.14 (円安) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。