FXニュース:今週米雇用統計発表控え
2025年6月30日
東西FXニュース – 2025年06月30日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米PCE物価指数コア上昇
- 米S&P500種史上最高値
- OPEC+7月増産検討報道
- 加と日米関税交渉懸念も
- 四半期末の月末買い戻し
- 日経平均株価高値後続伸
- 今夜米税制歳出法案採決
今日2025年6月30日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の144円77銭付近から、円の高値でドルの安値の143円77銭付近の値幅約1円0銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円9銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の144円49銭付近の前東京終値比で約40銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日の夜の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、中東情勢停戦による地政学リスク緩和の影響などが続き、欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-indeX) が大幅高になり、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の欧州ユーロ買いで低リスク通貨の円が売られた外貨影響の波及では、先週金曜日の夜19時32分頃に対ドル円相場は一時144円68銭付近になったが、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産であるドルも売られた影響では対ドルの円相場が反発し、先週金曜日の夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円49銭付近の始値となっていた。
米国市場では、先週金曜日の夜21時30分に最新米国重要経済指標の5月米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指標の5月米国PCEデフレーターの発表があり、 前年同月比は前回の2.1%と前回上方修正の2.2%に対し市場予想通りの2.3%であったが、食品とエネルギーを除く物価基調の5月米国PCEコア・デフレーターは、前月比が前回と市場予想の0.1%を上回る0.2%に上振れし、前年同月比も前回の2.5%と前回上方修正と市場予想の2.6%を上回る2.7%に上昇したことでは米国関税影響のインフレ警戒感が燻った。
ただし、同時発表だった5月米国個人消費支出 (PCE) の前月比は前回の0.2%と市場予想の0.1%を下回る−0.1%とマイナス圏に下振れし、5月米国個人所得の前月比も前回の0.8%が前回0.7%に下方修正された上で市場予想の0.3%を下回る−0.4%に下振れしたことを受けては、発表前には一時4.279%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が安全資産の米国債買いの影響で発表後の先週金曜日の夜21時50分頃の一時4.261%付近に向けて低下し、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったほか、同時進行中の欧州市場でリスクオンの欧州ユーロ買いドル売りが続き、ユーロドルが一時1.1753ドル付近の2021年9月以来の今年最大のユーロ高ドル安に向けていた外貨影響の波及があり、先週金曜日の夜21時32〜33分と51分と55分頃にかけてドルは円相場で一時144円36銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、先ほどの5月米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指標で食品とエネルギーを除く物価基調の重要指標である5月米国PCEコア・デフレーターの上振れを受けては、市場安値後のドルには買い戻しが入り始めたほか、米国ニューヨーク債券市場では中東情勢緩和や米国関税交渉の猶予期間延長の可能性への観測報道を受けて米国ニューヨーク株式市場も先物から買われて揃ってプラス圏から始まり上昇に向けたことから、安全資産の米国債売りが入って米国金利金利が先週金曜日の夜22時30分頃の一時4.290%付近に向けた反発を見せたことではドルは円相場で反発上昇した。
続いて、先週金曜日の夜23時に発表された最新米国経済指標の6月米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値が前回と市場予想の60.5を上回る60.7に上昇した影響によるドル買いが入ったほか、同時進行中だった世界最大規模の英国ロンドン市場では四半期末の月末を控えた深夜24時 (英国夏時間の現地BST 16時) のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた主要取引通貨のドル買いフロー (Flow / 流れ) が観測された影響などもあり、先週金曜日の23時54分頃にドルは円相場で一時144円95銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、この日のコモディティ市場では、「石油輸出国機構 (OPEC / Organization of the Petroleum Exporting Countries) プラスは、7月会合で大規模な増産を検討」という一部報道を受けた原油先物価格の低下があり、産油国通貨のカナダドル売りで米国ドルの買い戻しが入ったことに加えて、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「米国産乳製品への法外な関税や米国ハイテク企業へのデジタルサービス税導入を理由に、カナダとの通商協議を全て打ち切る」とソーシャルメディアへの投稿で発言した影響があり、カナダドルにして米国ドルが一時1.3759カナダドル付近に上昇していた外貨影響の対ドル円相場への波及もあった。
ただし、原油先物価格低下を受けては、低リスク通貨の円の貿易赤字リスク低下の影響もあって産油国通貨のカナダドルに対しては円相場も上昇しており、また、二転三転するトランプ関税発言を受けた警戒感も燻ったことでは、米国ニューヨーク債券市場では世界的な安全資産の米国債の買い戻しが入り、米国長期金利が先週土曜日の午前2時頃の一時4.247%付近に向けて急反落したため、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整がおきやすくなり、ドルは円相場で先週土曜日の午前1時43分頃の一時144円54銭付近へと上昇幅を縮小した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、最近の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言の影響から今年年内の米国利下げ期待が高まる中で、米国第二次ドナルド・トランプ政権の政治圧により次期FRB議長候補の選出が米国利下げに積極的なハト派になる可能性の観測報道があり、米国利下げ期待の金利警戒感緩和と、時差先行で大幅高で終値をつけていた日経平均株価や欧州主要株価指数の独DAXの世界株価上昇の影響もあって、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って上昇し、米国S&P 500種株価指数 (S&P500) が史上最高値を記録すると、株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが起きたほか、安全資産の米国債売りによる米国債券価格低下に伴う利回り上昇で米国長期金利が一時4.295%付近に反発上昇し、先週土曜日の午前2時45分頃にドルは円相場で一時144円91銭付近に反発していた。
四半期末となる6月末の週末を控えた米国株式市場では、市場高値後の米国主要株価三指数には終盤に向けた利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り、午前1時30分頃に史上最高値を記録後の米国S&P 500種株価指数 (S&P500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) が午前4時頃に一時は前営業日比でマイナス圏にまで反落した影響では低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗も入ったが、その後には再び株の買い戻しが入って米国主要株価三指数が揃って前営業日比で高値の終値をつけて引けると、ドルも円相場で144円台後半の底堅い値動きを見せた。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円36銭付近から、円の安値でドルの高値の144円95銭付近の値幅約59銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は144円65銭付近と、前営業同時刻の144円42銭付近の前ニューヨーク終値比で約23銭の円安ドル高をつけて週末を迎えていた。
週末のニュースでは、米国現地時間の6月27日金曜日 (時差で日本では翌日) に日本政府の赤沢亮正経済再生担当相が、米国政府のハワード・ラトニック商務長官と約1時間対面で会談し、6月28日土曜日にも電話で再協議したが合意に至らず、米国政府のドナルド・トランプ大統領は6月29日日曜日放送の米国FOXニュースの番組で、日本との自動車貿易について、「不公平だ。日本にはそれを説明した。彼らも理解している」と強調し、「日本は米国車を受け入れないが、米国は日本車を大量に輸入している」、「日本には米国への自動車には25%の米国追加関税がかかるとの通知を書簡で送ることもできる」と米国への輸入車に対する25%の米国追加関税を日本に対して断固として譲らない姿勢を示し、さらには「日本は米国産の石油を輸入できるし、ほかの物も輸入できる」と米国製品の日本への輸入拡大を迫るなど、カナダだけでなく日米関税交渉なども含め日本や各国との米国通商交渉難航の観測報道と7月9日の猶予期限を前にした懸念が高まり、今朝早朝のアジア・オセアニア市場の週明けの対ドル円相場は、ドル売りと低リスク通貨の円買いが先行し、今朝6時過ぎにドルは円相場で一時144円31銭付近と、144円台前半に下落した窓開けから始まった。
今朝7時30分頃には先週末の一時144円台後半への窓埋めが起きて、ドルは円相場で一時144円67銭付近に反発していた影響では、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円51銭付近の始値であったが、今日の日本市場は6月末の四半期末最後の営業日であることに加えて今日は30日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) であったため、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けて入った影響では、今朝9時53分頃にドルは円相場で一時144円77銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、今朝8時50分に発表されていた日本の最新経済指標の5月日本鉱工業生産の速報値は、前月比が前回の−1.1%と市場予想の3.5%に対し0.5%と市場予想以下で、前年同月比は前回の0.5%と市場予想の1.6%を下回る−1.8%に低下した影響もあった。
さらに、先週末の欧米株高の影響を受けた株価上昇があり、今朝の東京株式市場では今日の日経平均株価が続伸して始まり、2024年7月17日以来の約11カ月ぶりの高値に向けるなど、株価リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが先行した影響もあった。
しかし、仲値決済からは四半期末の月末決算に向けた国内輸出企業の大規模な円買いドル売りが入り始めたことでは円相場が反発したほか、カナダが米国との米加通商交渉再開のためにデジタルサービス税の撤回を表明し、カナダ政府のマーク・カーニー首相が米国政府のドナルド・トランプ大統領と交渉再開で合意したとの報道の影響があり、カナダドルが米国ドルに対して買い戻された外貨影響の波及もあり、ドルは円相場で反落した。
今朝の一時の上昇幅を午後に利益確定売りや持ち高調整で縮小しながらも、今日の日経平均株価は午後15時30分に4万487円39銭の終値をつけ、前営業日比336円60銭高で大引けしたことはやや円相場の一時抵抗になったが、今週の7月3日木曜日に発表予定の最新米国雇用統計に下向きの市場予想が増え、下振れする場合は米国利下げが前倒しになる可能性が高まることへの一部の観測報道を受けた警戒感が高まり、今夜この後の米国上院でトランプ税制・歳出法案が採決されるイベントへの警戒感など、今週のイベントリスクの影響もあって、時間外の米国債券取引では米国長期金利が午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入の夕方16時23分頃の一時4.259%付近に向けて低下し、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、夕方16時15分頃にドルは円相場で一時143円77銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場安値後のドルには買い戻しも混ざったことではドル円は日本市場終盤の夕方16時57分頃には一時144円17銭付近と144円台に戻したが、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円9銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の144円49銭付近の前東京終値比では約40銭の円高ドル安になっていた。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に6月米国シカゴ購買部協会景気指数と、26時頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国シカゴ連邦準備銀行 (連銀) のオースタン・グールズビー総裁の発言などを控えている。
また、世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、各国との米国通商交渉などを含めた世界の政治経済の影響に加えて、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円90銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の169円28銭付近の前東京終値比で約38銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先週末の欧州ユーロ高を記録後の利益確定売りや持ち高調整が入ったほか、原油先物価格低下や米国長期金利低下時の円の買い戻しが入っており、今日の日本市場では四半期末の月末最終日の大規模な円の買い戻しもあったため、ドル円の外貨影響波及もあって円相場が欧州ユーロや英国ポンドに対しても反発していた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は197円41銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の198円55銭付近の前東京終値比で約1円14銭の大幅な円高ポンド安だった。
なお、今日の午後15時には最新英国重要経済指標の1〜3月第1四半期の英国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値の発表があったが、前期比0.7%と前年同期比1.3%共に市場予想通りの横ばいで修正はなかった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1723ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1716ドル付近の前東京終値比で約0.07セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、ユーロドルには、先週末のユーロドル高ドル安の要因にもなっていた今年年内の米国利下げ予想の影響が燻っており、米国長期金利低下時のドル売りでは地政学リスク緩和と株価上昇時のリスク選好のリスクオンの影響もあって欧州ユーロが買われやすかった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月30日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時54分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時54分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:54の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.19 〜 144.20 | −0.30 (円高) |
ユーロ/円 | 169.03 〜 169.05 | −0.25 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1721 〜 1.1723 | +0.0005 (ドル安) |
英ポンド/円 | 197.51 〜 197.57 | −1.04 (円高) |
スイスフラン/円 | 180.91 〜 180.97 | +0.15 (円安) |
豪ドル/円 | 94.14 〜 94.18 | −0.49 (円高) |
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