FXニュース:米FRBパウエル議長発言
2025年6月25日
東西FXニュース – 2025年06月25日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 中東停戦で原油価格下落
- 米消費者信頼感指数低下
- 米主要株価三指数大幅高
- 日銀利上げ維持も急がず
- 日銀田村審議委員の発言
- 米長期金利低下後の反発
- 日経平均株価続伸円売り
今日2025年6月25日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の144円61銭付近から、円の安値でドルの高値の145円37銭付近の値幅約76銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円28銭付近の前東京終値比で約1銭の小幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、夕方にはイランがイスラエルに攻撃との一部報道もあったが、その後にイランとイスラエルの停戦合意について、ドナルド・トランプ米国大統領が「現在も有効」と発言するなど、中東情勢への警戒感の緩和が再開し、原油先物価格下落を受けた日本の貿易赤字リスク減少による円買いドル売りが進み、昨夜18時51分頃にはドルは円相場で一時144円85銭付近と144円台に下落したため、昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場も一時144円97銭付近と一時144円台の始値となっていた。
米国市場では、現地ドル実需もあってドルは円相場で買い戻されて昨夜21時30分頃には一時145円18銭付近と145円台前半に反発したが、昨夜21時30分に最新米国経済指標の発表が始まり、1〜3月第1四半期米国経常収支は前回の−3039億ドルと前回下方修正の−3120億ドルと市場予想の−4490億ドルを下回る−4502億ドルに赤字額が増加し、昨夜22時の4月米国S&Pケース・シラー住宅価格指数の前年同月比も前回の4.1%と市場予想の4.0%を下回る3.4%に下振れし、4月米国住宅価格指数の前月比も前回の−0.1%と前回上方修正の0.0%と市場予想の0.0%を下回る−0.4%に下振れしことでは、昨夜22時頃の対ドル円相場は一時144円85銭付近と再び144円台に反落した。
しかし、イスラエルとイランの中東情勢停戦合意を受けては、世界的な安全資産の米国債売りが入り、昨夜22時頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.360%付近に反発上昇していた影響では、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り、昨夜22時15分頃には対ドル円相場は一時145円19銭付近に反発し、昨夜の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。
続いて、昨夜23時に発表された6月米国リッチモンド連銀製造業指数は前回の−9と市場予想の−10に対し−7と市場予想ほどの悪化を見せなかったが、同時発表だったコンファレンス・ボードの6月米国消費者信頼感指数が前回の98.0と前回上方修正の98.4と市場予想の99.5を下回る93.0に下振れしたことでは、一時145円台前半に反発後のドルは円相場で再び144円台後半に向けて反落した。
また、昨夜23時頃から市場の注目を集めていた米国下院金融サービス委員会における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の半期に1度の議会証言が始まり、事前原稿では、これまで通りに「米国関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を圧迫する可能性が高い」と、7月の関税猶予期間終了後のインフレ影響が夏に出る可能性があるとして、「政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況にある」と当面の間の米国追加利下げを急がない様子見の姿勢を強調していたが、議会証言では、「米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) メンバーのかなり大多数が今年後半の利下げが適切だと考えている」と発言したほか、「米国インフレが低下し、米国労働市場が軟化した場合には、利下げ前倒しの可能性」とハト派寄りの発言があったことから、中東情勢停戦の原油先物価格低下時でインフレ圧鈍化が意識されていた市場では、年内2回の米国利下げ予想値が上昇した。
米国ニューヨーク債券市場では、状況によっては早期に前倒しされる可能性も出てきた米国利下げ予想の影響により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が急落し、ジェローム・パウエル議長の発言前の昨夜22時50頃には一時4.362%付近だった米国長期金利は、発言後の深夜24時15分頃の一時4.298%付近に向けて大幅な低下を見せており、債券利回りの日米金利差縮小時の金利差トレードの円買いドル売りが起き、昨夜23時27分頃にドルは円相場で一時144円52銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
FRBのジェローム・パウエル議長は、議会証言の質疑応答において、「米国関税政策のインフレ影響は、6月と7月のデータに出始めるだろう」と現在の様子見姿勢を説明していたが、「データは、米国関税の少なくとも一部が消費者に打撃を与えることを示唆」との懸念も示しており、先ほどの6月米国消費者信頼感指数下振れ懸念が改めて意識されたことも、その後の米国長期金利を下押ししたことから、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.2827%付近と今年5月8日以来の低利回りを記録した。
一方、中東情勢のイスラエルとイランの停戦合意を受けて、米国主要株価三指数が先物から上昇して揃ってプラス圏で始まっていた米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利低下時の金利警戒感の緩和もあって、米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前日比で大幅高になったことでは、米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で安全資産の米国債売りだけでなく、市場高値後の低リスク通貨の円売りが起きやすかったことは対ドルの円相場の抵抗となり、午前1時6分頃にはドルは円相場で一時144円97銭付近に下げ幅を縮小したが、米国長期金利低下に伴う円買いドル売りの影響が続いていたことでは再び反落した。
ただし、午前3時頃から、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官である米国ボストン連邦準備銀行 (連銀) のスーザン・コリンズ総裁の発言もあり、「現在の金融政策の位置付けは適切である」と、次回の米国政策金利の据え置き支持を示唆したことはやや対ドルの円相場の抵抗となった。
また、午前5時頃から、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のマイケル・バー理事の発言があり、「米国関税の引き上げが価格に上昇圧力をもたらし、その影響は一時的ではない可能性がある」、「関税によりインフレが上昇すると予想している」とタカ派発言をし、米国追加利下げを急がない姿勢を示唆したが、「短期的なインフレ期待の上昇、サプライチェーンの調整、二次的影響により、インフレが持続する可能性がある」と警告した一方で、同時に米国関税政策が経済成長を鈍化させ、5月時点では4.2%であった米国失業率を上昇させる可能性があると雇用リスクも指摘し、米国関税政策の影響の不確実性を強調した上で、「金融政策は経済状況の展開を見守るのに適した位置にある」と次回の米国金利据え置き支持を示唆しており、発言後の今日の時点でも米国金利先物市場の動向から市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) では、次回7月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国政策金利の据え置き予想値が一時79.3%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超え続けている。
ただし、次回7月のさらに先の9月のFOMCでは0.25%の小幅利下げ予想値が一時68.8%付近と、市場で確定値と考えられている70%付近に迫っており、今朝早朝のニューヨーク終値の頃の米国長期金利は一時4.296%付近と4.2%台に低下していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円19銭付近から、円の高値でドルの安値の144円52銭付近の値幅約67銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円94銭付近と、前営業同時刻の146円15銭付近のニューヨーク終値相当時間比で約1円21銭の大幅な円高ドル安をつけて引けていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時50分には、日本銀行 (日銀) が6月16日・17日開催分の「日銀金融政策決定会合における主な意見」を公表し、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策 金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。そのうえで、こうした見通しが 実現していくかは、不確実性がきわめて高いことを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である」と、従来の追加利上げ方向を維持したものの、「メインシナリオに沿ったとしても、成長ペースが鈍化し、基調的な物価上昇率の改善がいったんは 足踏みする姿を想定していること、通商政策を巡り、大きな不透明性・ダウンサイドリスクがあることから、今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべきである」との慎重な意見や、「物価がやや上振れているとはいえ、米国関税政策や中東情勢に伴う景気の下方リスクを勘案し、金融政策運営は現状維持が適当と考える」という意見と、「先行きの不確実性が非常に高く、経済情勢等を見極める必要があり、政策金利は当面現状維持が適当である」など、利上げを急がない慎重な姿勢が意識され、今朝8時57分頃にはドルは円相場で一時144円98銭付近に小反発していた。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円93銭付近の始値であったが、今朝の日本市場では、今日は25日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) で日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入った今朝9時44分頃にはドルは円相場で一時145円5銭付近と145円台に上昇したが、今朝9時55分の仲値決済の後には国内輸出企業の円買ドル売りも起きて再び144円台後半に戻した。
今朝10時頃から、日銀委員達の中でもタカ派として知られる田村直樹日銀審議委員の発言があり、福島県金融経済懇談会の挨拶で、「物価上振れリスクが高まる場合には、たとえ不確実性が高い状況にあっても、果断に対応すべき場面もあり得る」と、今朝の主な意見にあった「インフレが想定対比、上振れて推移する中、たとえ不確実性が高い状況にあっても、金融緩和度合いの調整を、果断に進めるべき局面もあり得る」を彷彿させるタカ派発言をした影響では、物価上振れが続けば日銀が追加利上げに踏み切る可能性が意識され、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが起き、他にも「政策金利、0.5%に壁があるとは感じていない」ことや「現在の実質金利は極めて低い」、「適時適切に政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくというのが、私の基本的な考え方」などのタカ派発言が続いた影響などで、発言後の今朝11時2分頃には対ドル円相場は一時144円61銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、今朝11時37分頃には、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産の米国債が売られており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.309%付近に上昇しており、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いや、米国長期金利上昇時のドル買いが欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても入った外貨影響の対ドル円相場への波及では、ドルは円相場で反発上昇した。
また、今日の東京株式市場では、今朝早朝に日本企業の主要取引先を含めた米国主要株価三指数が大幅高で終値をつけていた影響もあり、日経平均株価が今朝はプラス圏から始まったものの、日銀の追加利上げ予想を受けた国内金利警戒感からは早期の利益確定売りや持ち高調整の影響などで一時マイナス圏に反落していたが、午後には再び株の買い戻しが入りプラス圏で上昇したため、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られた影響があり、反発後のドルは円相場で午後は上昇トレンドを形成していた。
午後15時30分には、今日の日経平均株価が3万8942円7銭の終値をつけ、前日151円51銭高の+0.39%の小幅高で続伸して大引けした。
今朝はタカ派発言のあった田村直樹日銀審議委員が、午後の記者会見で再発言し、「基調的な物価上昇率が2%に達したと言うには、もう少し情報を見たい」とやや慎重なハト派寄りの発言をしたことから、日銀のタカ派委員でさえ追加利上げを特に急いでいるわけではないとの市場での受け止めから、日銀の早期の追加利上げの可能性が後退し、夕方の日本市場終盤に向ける中で、今朝買われた円の利益確定売りや持ち高調整の円売りが為替相場に影響を及ぼし、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後の夕方16時4分頃に、ドルは円相場で一時145円37銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、145円28銭の前東京終値比で円安ドル高に転じていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円29銭付近で、昨夜17時の145円28銭付近の前東京終値比では約1銭の小幅な円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも市場影響力が強いジェローム・パウエル議長の再発言予定と米国債入札などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に5月米国新築住宅販売件数と、同じく今夜23時頃からFRBのジェローム・パウエル議長の要人発言予定が半期に1度の議会証言が米国上院銀行委員会であり、続いて23時30分に米国週間原油在庫と、26時に米国5年債入札予定などを控える。
また、中東情勢などのニュース続報の影響や、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国通商交渉なども含めた世界の政治経済の影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円53銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の168円43銭付近の前東京終値比で約10銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価上昇を受けたリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円売りが入った一方で、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが買われて円相場で反発上昇した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は197円84銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の197円31銭付近の前東京終値比で約53銭の円安ポンド高となった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1600ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1593ドル付近の前東京終値比で約0.07セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今年年内の米国利下げ予想の影響を受けては、一時4.3%台に上昇後の米国長期金利が夕方に一時4.2%台に反落した時間があり、その後には再び4.3%台に向けて反発はしたものの、その前に今夜17時の東京終値を迎えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月25日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時55分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.71 〜 145.73 | +0.43 (円安) |
ユーロ/円 | 169.10 〜 169.11 | +0.67 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1603 〜 1.1605 | +0.0010 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.25 〜 198.31 | +0.94 (円安) |
スイスフラン/円 | 180.64 〜 180.70 | +1.67 (円安) |
豪ドル/円 | 94.64 〜 94.68 | +0.28 (円安) |
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