FXニュース:日米財務相為替協議せず
2025年5月22日
東西FXニュース – 2025年05月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米トランプ減税財政懸念
- 米トリプル安警戒株売り
- 米主要株価三指数大幅安
- 米長期金利一時4.615%
- 日経平均下落リスク回避
- 独サービス部門PMI低下
今日2025年5月22日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の143円73銭付近から、円の高値でドルの安値の143円0銭付近の値幅約73銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円5銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円86銭付近の前東京終値比では約81銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜18時15分頃の一時4.544%付近に向けて上昇し、債券利回りの日米金利差を受けては昨夜17時54分頃にドルは円相場で一時144円19銭付近に上昇したが、米国信用格下げ後の米国債券価格低下に伴う利回り上昇に起因することでは、ドルの利益確定売りや持ち高調整でドルは円相場で反落を始めた。
また、米国トランプ減税を受けた米国財政懸念によるドル売りもあった中で、英国ロイター通信 (Reuters) が、「韓国と米国は先月、関税撤廃を目指した協定を作成することで合意。スコット・ベッセント米国財務長官の要請で通貨政策でも個別に協議する」ことや、「韓国経済新聞が、米国側が貿易協議で韓国ウォン高に向けた対策を要求したと報じたことに対し、韓国財務省が為替レートについて実務者レベルで協議を行っているが詳細は決定していないと表明」と報じたニュースの影響などもあり、韓国ウォンがドルで上昇した外貨影響の波及に加え、カナダで開催中の主要7カ国 (G7 / Group of Seven) 財務相・中央銀行総裁会議と日米財務相会談のイベントリスクが意識され、米国トリプル安懸念の円買いドル売りもあり、昨夜19時36〜37分頃にかけてドルは円相場で一時143円47銭付近と143円台に下落した。
その影響から、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円74銭付近の始値で、昨夜23時24分頃の一時143円90銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となり、対ドルの円相場が上昇した。
米国ニューヨーク債券市場でも、先日の米国債の信用格下げ後と米国トランプ減税の恒久化案に対し、低所得層向けの公的医療保険メディケイドの削減や州税や地方税の控除拡大などについては、米国共和党独占政権のトリプルレッドと呼ばれていた共和党議員達の中でも意見がまとまらず難航している先行き不透明感はあるものの、米国共和党は5月26日までの米国下院可決に向けて調整しており、現行案での米国財政懸念による米国債売りで米国債券価格低下に伴う利回り上昇の影響が続き、米国長期金利は昨夜21時10分頃にも一時4.549%付近に上昇後も4.5%台の高止まりを続けていた。
米国ニューヨーク株式市場では、米国財政懸念の米国トリプル安への警戒感により、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃ってマイナス圏から始まり、金利警戒感がある中では世界的なハイテク企業の比率が多いナスダックのみ一部銘柄のAI関連の技術発表などの影響による上昇に牽引されてプラス圏に転じたが、早期の利益確定売りや持ち高調整で反落したため、米国主要株価三指数の下落を受けた株価リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円相場が上昇していた。
次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の中でもタカ派で知られるミシェル・ボウマン理事の発言予定もあったが、前日までに他の高官達が米国関税政策のインフレ影響への警戒感から当面の間の米国政策金利据え置きを示唆するタカ派寄りの発言を続けた後で、すでに米国長期金利は高止まりを続けていた。
米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に米国20年債の入札があり、米国信用格下げ後ということあって不調に終わり、他の米国債にも売りが波及したため、4.5%台で高止まりを続けていた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が更に上昇し、午前2時20分頃には一時4.591%付近と、4.6%台に向け始めたため、午前2時27分頃にドルは円相場で一時143円28銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、前日に米国CNNテレビが、イスラエルがイランの核関連施設を攻撃する準備をしていることを米国当局者情報として報じていたことでは、中東の地政学リスク回避で低リスク通貨の円買いや第三の安全資産のスイスフラン買いが入っていたが、世界的に流動性が高いドルの買い戻しも混ざり、昨夕の英国ロンドン外国為替市場で英国ポンドが英国インフレ率の上振れを受けて買われて上昇し、ポンドドルが2022年2月年以来の英国ポンド高ドル安を記録後の利益確定や持ち高調整のドルの買い戻しの影響などもあったことでは、市場安値後のドルは円相場で買い戻される抵抗もあったが、米国はイランの核問題についての協議は続けているが交渉が進展していないと報じられていた影響もあってドルの買い戻しは鈍く、ユーロドルが前日比でユーロ高ドル安の続伸のニューヨーク終値に向けていたほか、主要通貨全般に対するドル指数 (ドルインデックス) も、一時99.34まで低下していた。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) が揃って前日比で大幅安の終値をつけた。
なお、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、その後の今朝6時頃のニューヨーク終値の頃には一時4.605%付近と、4.6%台に乗せて上昇したが、米国トリプル安の米国市場ではドルの主要通貨に買い戻しは鈍かったが、市場終盤の利益確定後や持ち高調整の買い戻しでは、143円台前半から143円台後半へと下げ幅を縮小していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円90銭付近から、円の高値でドルの安値の143円28銭付近の値幅約62銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円68銭付近と、前営業日同時刻の144円51銭付近の前ニューヨーク終値比で約83銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のオセアニア市場では、北米カナダで開催されていた主要7カ国 (G7 / Group of Seven) 財務相・中央銀行総裁会議で日本政府の加藤勝信財務相と米国政府のスコット・ベッセント財務長官が会談し、米国財務省は声明で、「通貨レートは市場で決定されるべき」という認識を共有し、為替相場は「ファンダメンタルズ (Fundamentals / 経済の基礎的条件) を反映しているとの認識を再確認」と発表し、円安是正の為替問題については、「前回と同様に、議論しなかった」と発表し、日本政府の加藤勝信財務相も、「為替水準についての議論はしていない」と記者団に向けて発言したことがニュースとなり、これまでの円安是正の為替議論への警戒感で買われていた円売りとドルの買い戻しが入り、今朝7時17分頃にドルは円相場で一時144円40銭付近と、144円台に上昇した。
ただし、明日5月23日には日本政府の赤沢亮正財政再生相も訪米し、3回目となる日米関税交渉の予定に向けて調整中という一部の報道もあったことでは、米国関税政策への経済影響への不透明感への警戒感は燻っていた。
また、米国関税政策の経済への影響の不透明感が続く中で、今朝までの米国市場での米国財政懸念などを受けた米国トリプル安によるドル下落圧が意識されたことでは、一時144円台からはドルの利益確定売りや持ち高調整が入りやすく、ドルは円相場で再び143円台に反落した。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円67銭付近の始値で、今朝9時11分頃の一時143円73銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、今朝の東京株式市場で今朝早朝までの米国主要株価三指数の大幅安の影響もあり、今日の日経平均株価がマイナス圏から始まると、株価リスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りドル買いが再燃した。
今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも、日本企業の輸入実需の円売りドル買いよりも、米国財政懸念や米国トリプル安への警戒感により手元のドル資金を円に換えておきたい国内輸出企業の円買いドル売りが優勢で、ドルは円相場で下落を続けた。
今朝10時30分頃には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の中でもハト派で知られている野口旭審議委員が、宮崎県で開催された金融経済懇談会の挨拶で、日銀の追加利上げについて、「匍匐前進的なアプローチが重要」と発言し、慎重ながらも前に進む姿勢を示唆したことでは、やや円相場の上昇に抵抗が入った時間もあったが限定的なものとなった。
今日の日経平均株価は、今朝から日通しでマイナス圏で推移を続けた後、午後15時30分に3万6985円87銭の終値をつけ、前日比313円11銭安の-0.84%で大引けし、日米主要株価指数下落を受けた株価リスク回避のリスクオフによる低リスク通貨の円買いの影響が続いた。
今日の時間外の米国債券取引では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は今朝早朝には一時4.615%付近にまで4.6%台で上昇したが、米国債券価格が低下に伴う利回り上昇であったことから、今日の日本市場では安値後の米国債の買い戻しが入り、午後からの欧州市場に続いて夕方から世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入すると、夕方16時30分頃には米国長期金利は一時4.578%付近と4.5%台に低下したため、債券利回りの日米金利差縮小による円買いドル売りの影響や、欧州市場で夕方16時30分に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の5月独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値の下振れの影響もあって、欧州主要株価の独DAX (Deutscher Aktienindex) もマイナス圏に下落しており、低リスク通貨の円買いの影響が続いたため、夕方16時52分頃にドルは円相場で一時143円0銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円5銭付近で、昨夜17時の143円86銭付近の前東京終値比で約81銭の円高ドル安になった。
今夜この後にも北米カナダでG7が続くほか、米国市場では最新米国経済指標の発表と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数、今夜22時45分に5月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と5月米国サービス部門購買担当者景気指数(PMI) と5月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値、今夜23時に4月米国中古住宅販売件数と、27時頃から次回のFOMC投票権を持つFRBの米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定などを控える。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、日米を含め世界各国の米国関税交渉の行方と世界経済と政治影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円90銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円96銭付近の前東京終値比で約1円6銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の日経平均株価下落に続き、欧州経済指標を受けて夕方の欧州主要株価指数も下落したため、日欧株価リスク回避のリスクオフ市場では、低リスク通貨の円が欧州ユーロや英国ポンドなどに対して買われやすかった。
その影響から、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円15銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の192円99銭付近の前東京終値比で約84銭の円高ポンド安だった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1319ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1328ドル付近の前東京終値比で約0.09セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米国トリプル安の後に米国債の買い戻しが入っていた一因に、欧州経済指標を受けた欧州主要株価指数下落と欧州ユーロ売りの影響などがあり、日欧株価下落時のリスク回避市場では欧州ユーロが売られやすく低リスク通貨の円が買われた大幅な円高ユーロ安の外貨影響がユーロドルにもユーロ売りとして波及したほか、ドルの買い戻しが入った。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月22日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時53分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時53分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:53の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 143.57 〜 143.58 | −0.29 (円高) |
ユーロ/円 | 162.17 〜 162.19 | −0.79 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1294 〜 1.1296 | −0.0034 (ドル高) |
英ポンド/円 | 192.32 〜 192.38 | −0.67 (円高) |
スイスフラン/円 | 173.64 〜 173.70 | −0.96 (円高) |
豪ドル/円 | 92.10 〜 92.14 | −0.67 (円高) |
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