FXニュース:日米為替議論観測と否定
2025年5月15日
東西FXニュース – 2025年05月15日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米早期利下げ予想は後退
- 米長期金利上昇とダウ下落
- 日経平均株価下落円買い
- 米小売売上高やPPIを控え
- 米パウエル議長発言予定
今日2025年5月15日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の146円75銭付近から、円の高値でドルの安値の145円48銭付近の値幅約1円27銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円97銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円98銭付近の前東京終値比では約1円1銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、一部報道に続いて英国ロイター通信 (Reuters) や米国ブルームバーグ (Bloomberg) などの欧米主要メディアが、「韓国企画財政省の崔志栄・国際経済管理官と米国財務省の国際金融担当のロバート・カプロス次官補が、5月5日にミラノで為替政策を協議し継続することで合意したと、事情に詳しい関係者が明らかにした」などの報道をし、昨日の夕方の世界市場では韓国ウォンがドルに対して一時2%近く急伸したほか、日本政府の加藤勝信財務相と米国政府のスコット・ベッセント財務長官との日米財務相会談を控える日本円にも、円安是正など米国輸出に有利となる為替政策が協議される可能性が意識された一部観測報道と円買いドル売りが起き、昨夜18時44分頃に対ドル円相場は一時145円60銭付近と、前東京終値比で大幅な円高ドル安が進行していた。
ただし、一時145円台への急速な円高ドル安の進行後には、米国市場を控えた主要取引通貨のドルの買い戻しも入り始めたほか、先日の米中相互関税協議後の90日間の停止が早急に行われたことを受けては、中国に続き日本などの主要貿易相手国との米国関税交渉も早期に進展することへの市場期待感も燻っており、利益確定や持ち高調整が入ってドルは円相場で反発し、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円18銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜22時10分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のフィリップ・ジェファーソン副議長の発言が始まり、4月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の上昇率は市場予想以下であったものの、「米国インフレの今後の道筋については不確実性が大きい」と指摘し、「これまでに発表された米国関税率の引き上げが継続されれば、ディスインフレ進展が妨げられ、少なくとも一時的にはインフレが上昇する可能性が高い」とタカ派寄りの発言をし、現在の4.25〜4.50%の適度に引き締めた水準は、「今後起こり得る展開に十分対応できる」と、当面の間の米国関税の経済への影響などの様子見の米国政策金利据え置きを示唆したため、4月の米国CPI下振れを受けた早期の米国利下げ予想が後退し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.5%台に上昇し、米国市場終盤の一時4.547%台に向けた大幅な上昇を始めた。
米国ニューヨーク債券市場での米国長期金利の上昇を受けては、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の中でも金利に特に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) がプラス圏から始まった後の反落を見せてマイナス圏の推移に転じたほか、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) も一時マイナス圏に反落したため、一部株価下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が再び一時145円台に買い戻されて、昨夜22時50分頃に対ドル円相場は一時145円76銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米中関税の一時引き下げを受けた経済減速懸念の緩和では株の買い戻しも混ざり、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) は一時反落後に反発を見せ始めたほか、世界的なハイテク企業比率が多いことから米国政策金利の影響が最も少ないとされている米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) はプラス圏の推移のまま続伸しており、一時145円台に上昇後の低リスク通貨の円には利益確定売りや持ち高調整も入り、また米国長期金利上昇時の債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いも入ったことではドルは円相場で再び反発し、下げ幅を縮小し始めた。
また、午前1時半過ぎに、米国ブルームバーグ (Bloomberg) ニュースが、「米国当局者は世界各国と貿易交渉を行っているが、通貨政策に関する約束を合意内容に盛り込もうとはしていないと、事情に詳しい関係者が明らかにした」と報じ、「第二次ドナルド・トランプ米国政権の経済チームでこれらの問題への対応を担っているのはスコット・ベッセント財務長官1人で、貿易相手国・地域との通貨政策の協議を他の政権高官に委ねることはない」と、先ほどの米韓為替協議に否定的な続報があり、以前の4月23日にスコット・ベッセント財務長官は、「ドナルド・トランプ政権が日本との通商交渉において為替レートの具体的な目標を追求するつもりはない」と発言しており、為替介入をしていた日本に対し、主要7カ国 (G7 / Group of 7) の長年の合意を順守する様に求めたニュースが過去にあり、観測報道について米国財務省の報道官はコメントを控えたが、米国市場ではドルの買い戻しが起き、午前1時42分頃にドルは円相場で一時147円12銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、米国ニューヨーク債券市場では市場終盤への米国長期金利の上昇が続いており、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) がマイナス圏のままで終値に向けていたことでは、一時147円台の市場安値からは低リスク通貨の円買いが入って円相場が一時146円台に反発し、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) は前日比で高値の終値に向けたが、不確実性の多い市場では警戒感も燻り小幅高の範囲に留まっており、対ドルの円相場は底堅い値動きを見せていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の145円76銭付近から、円の安値でドルの高値の147円12銭付近の値幅約1円36銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円75銭付近と、前営業日同時刻の147円48銭付近の前ニューヨーク終値比で約73銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円64銭付近の始値となり、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては、今日は日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) であることから、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要が先行し、今朝9時15分頃の一時146円75銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となった。
日本企業の輸入実需に続き、輸出企業の円買いドル売りも入ったほか、今朝の東京株式市場では日経平均株価がマイナス圏から始まり、昼頃に向けて下落幅を一時大幅域に拡大した株価影響では、日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われてドルに対して反発上昇し、午後に下げ幅はやや縮小したものの不確実性の多い市場ではマイナス圏に留まり、午後15時30分に今日の日経平均株価は3万7755円51銭の終値をつけ、前日比372円62銭安の-0.98%で大引けし、午後からの欧州市場と夕方からの英国市場参入後の夕方16時50分頃と57分頃に対ドル円相場は一時145円48銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、二度目のドルの安値を円相場で下抜けしなかったことでは、テクニカル分析的なダブルボトム (Double Bottom) のドルの買い戻しの抵抗もやや入り始めた。
とはいえ、円安是正の為替問題について先日5月13日の閣議後の記者会見で、日本政府の加藤勝信財務相が今月5月20日にカナダで開幕する主要7カ国 (G7) 財務相・中央銀行総裁会議に合わせて米国のスコット・ベッセント財務長官との会談を検討していると公言した際に、「引き続き為替についての協議を進めることも追求していきたい」と発言していたことを受けて、日本側からの提案がある可能性などもあることから、担当者がスコット・ベッセント財務長官ということもあって日米財務相会談を控えた国内観測報道は続いており、昨夕の日米為替議論への警戒感が燻っていたことなども円相場に影響を及ぼしており、円相場は底堅い値動きを見せており、前東京終値比では大幅な円高ドル安が進行していた。
また、今夜この後の米国市場では、米国景気関連の最新米国重要経済指標の発表予定や、要人発言イベントも控えたイベントリスクなどもあり、低リスク通貨の円に対する市場安値後のドルの買い戻しは鈍かった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円97銭付近で、昨夜17時の146円98銭付近の前東京終値比では約1円1銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表イベント予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 総裁と理事の要人発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要経済指標の4月米国小売売上高と、4月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) と、5月米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、5月米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数が同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜21時40分に次回のFOMC投票権を持つFRB高官達の中でも市場影響力の大きいジェローム・パウエル議長の要人発言予定と、今夜22時15分に4月米国鉱工業生産と4月米国設備稼働率、今夜23時に5月米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数と3月米国企業在庫、27時5分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのマイケル・バー理事の発言予定などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場や商品先物市場などの為替相場への影響と、世界各国の米国関税交渉の行方と世界経済と政治影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円38銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円76銭付近の前東京終値比では約1円38銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨夕の円安是正協議への警戒感が燻ったことが為替相場に影響を及ぼしていたほか、今日の日経平均株価下落を受けた株価リスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円がドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどに対しても買われやすく外貨影響も波及した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は193円60銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の195円92銭付近の前東京終値比で約2円32銭の大幅な円高ポンド安になった。
また、英国ポンドや欧州ユーロに対して世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルの買い戻しが入った外貨影響もポンド円相場に波及していたが、今日の午後15時に発表された最新英国重要経済指標の1〜3月第一四半期英国国内総生産 (GDP/ Gross Domestic Product) 速報値は、前期比が前回の0.1%と市場予想の0.6%を上回る0.7%であったことでは下げ渋ったが、前年同期比は前回の1.5%と市場予想の1.2%に対し1.3%で、3月英国月次国内総生産 (GDP) の前月比は前回の0.5%と市場予想の0.0%に対し0.2%と市場予想以上ではあったが前回より低下しており、同時発表の3月英国鉱工業生産と3月英国製造業生産指数は市場予想ほどではないものの前回のプラス圏からマイナス圏に転じていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1193ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1216ドル付近の前東京終値比で約0.23セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフ市場では、欧州ユーロに対しては低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性が高いことから安全資産でもあるドルが買われやすかった。
なお、その後の今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の1〜3月第一四半期欧州域内国内総生産 (GDP/ Gross Domestic Product) 改定値は、前期比が前回と市場予想の0.4%を下回る0.3%に低下したが、前年同期比では前回と市場予想通りの1.2%の横ばいであった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月15日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時48分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時48分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:48の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.90 〜 145.92 | −1.08 (円高) |
ユーロ/円 | 163.49 〜 163.50 | −1.27 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1203 〜 1.1205 | −0.0013 (ドル高) |
英ポンド/円 | 193.96 〜 194.02 | −1.96 (円高) |
スイスフラン/円 | 174.16 〜 174.22 | −1.20 (円高) |
豪ドル/円 | 93.50 〜 93.54 | −1.85 (円高) |
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