FXニュース:米消費者物価指数を控え
2025年5月13日
東西FXニュース – 2025年05月13日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米中関税下げ幅予想以上
- 日米主要株価指数大幅高
- 日銀追加利上げ予想上昇
- 日米財務相会談為替警戒
今日2025年5月13日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の148円26銭付近から、円の高値でドルの安値の147円64銭付近の値幅約62銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円87銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円88銭付近の前東京終値比ではやや横ばいに近い約1銭の僅差の円高ドル安であったが、今夜その後の19時台の英国ロンドン外国為替市場では利益確定と持ち高調整後のドルの買い戻しが入り、再び一時148円台の円安ドル高にも転じている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、夕方の米中共同声明で発表された閣僚レベルの米中関税協議で合意された90日間の米中関税引き下げ率が市場予想よりも大幅な下げ率であったことから関税影響の世界景気懸念が緩和され、安全資産の米国債売りの影響により米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いに加えて、主要通貨に対してドルが買われた外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜19時41分頃にドルは円相場で一時148円59銭付近に上昇していた。
米国政府のスコット・ベッセント米国財務長官は昨夕の記者会見で、米国と中国の「どちら側もデカップリング (Decoupling / 経済分断) を望んでいないという点で一致した」と発言し、互いに歩み寄る姿勢を見せて市場予想よりも早く大幅な関税引き下げ率の数字がまとまって出てきたことが良い意味でのサプライズとなり、「米中相互関税の追加関税を115%引き下げることで合意し、米国政府は今月5月14日までに合計145%であった米国対中関税率を30%に引き下げ、中国政府も対米関税率を125%から10%に引き下げ、一部関税の90日の一時停止中に両国間で協議を続ける」としており、先週末にドナルド・トランプ米国大統領が「中国への関税は80%が良さそうだ」が、「スコット・ベッセント米国財務長官次第だ」と発言していた頃の米中関税交渉前の警戒感が後退したほか、想定以上に敏速で大幅な米中関税の引き下げが、米国と交渉中の他国との米国関税交渉への期待感が高まった。
米国政府のドナルド・トランプ大統領は、今週末にも中国政府の習近平国家主席と米中首脳会談をすることに意欲を示し、米中間の緊張緩和への期待が高まったが、今までの数々のトランプ発言を受けて、90日間の一時停止の交渉期間後の米国関税政策への不確実性も燻るため、昨夜19時55分頃に一時4.462%付近に上昇後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利には、米国債券価格低下後の安全資産の米国債の買い戻しの抵抗が入り、昨夜20時45分頃に米国長期金利は一時4.443%付近に上昇幅を縮小し、主要通貨に対する急速なドル高進行後の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入ったことでは、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円88銭付近の始値で、昨夜22時35分頃にドルは円相場で一時147円81銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、米中関税戦争への警戒感の緩和を受けて世界経済減速懸念が後退したことを好感した米国主要株式の買い戻しが先物から入り、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って大幅高になり、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りドル買いが入り、ドルは円相場で反発上昇した。
米国ニューヨーク債券市場でも、米国主要株価三指数の大幅高を受けて、安全資産の米国債売りが再開したことから米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起きて米国長期金利が市場終盤の一時4.479%付近に向けた再上昇を見せたため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いが起き、午前3時18〜19分頃にかけてドルは円相場で一時148円65銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、米国長期金利上昇時のドル買いの影響は、円以外にも欧州ユーロなどの他の主要通貨にも影響を及ぼし、主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数) も一時101.98付近と今年4月10日以来の高値を付けるなど、大幅なドル高が進行した。
昨夜の米国市場時間には、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のアドリアナ・クーグラー理事の発言の影響もあり、「第二次ドナルド・トランプ米国政権の米国相互関税政策は、米国インフレ圧となって米国経済成長を圧迫する可能性が高い」と指摘し、米中関税率の引き下げの発表後も「大なり小なりのインフレ圧となる可能性は変わらない」ことを示唆したほか、「米国関税政策は変化を続けており、今後もシフトし続ける可能性が高い」と二転三転する米国相互関税政策の経済への影響の不確実性について、「関税が現時点で発表されている水準近くに留まったとしても、経済に著しい影響をもたらす公算は大きいであろう」と、米国インフレ圧や経済影響への不確実性への警戒感を示したことも、米国関税政策の経済への影響の様子見の米国政策金利の据え置き予想が市場で意識された米国長期金利上昇に影響を与えていた。
一方、米国政府のドナルド・トランプ大統領は、「中国は非金融障壁の全面撤廃に同意した」ことや、「米国対中関税を145%に戻すことはない」などの発言をしていたが、一時停止期間後の不透明感が依然として残ることでは、市場高値後のドルに利益確定売りや持ち高調整が入り始めたことはやや抵抗になったが、昨夜の欧米市場では大幅な円安ドル高の進行後であった。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円81銭付近から、円の安値でドルの高値の148円65銭付近の値幅約84銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は148円46銭付近と、前営業日同時刻の145円37銭付近の前ニューヨーク終値比で約3円9銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、今日の日本市場に先立って今朝8時50分に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が、4月30日〜5月1日開催分の「日銀金融政策決定会合における主な意見」を公表し、国内物価を考慮した実質金利は大幅なマイナスで、「利上げしていく方針は不変」などのタカ派寄りの意見があり、米国相互関税の様子見で一時停止中の日銀追加利上げが、日本を含めた各国への米国関税交渉が市場予想よりも早期にまとまる可能性への期待感が先週末の米中関税交渉で高まっていたため、日銀の追加利上げ予想が上昇し、今朝9時頃からの今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円26銭付近の始値と今朝6時頃のニューヨーク終値時点よりもやや円高ドル安で始まり、今朝9時の始値が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、今日の日本市場では今朝未明の大幅な円安ドル高進行後の利益確定や持ち高調整があり、円の買い戻しが優勢になった。
日本市場の今朝9時55分の仲値決済でも、今朝早朝の一時148円台の前東京終値比での円安ドル高を受けて、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要よりも国内輸出企業の円買いドル売り意欲が強く、高値圏からのドルの利益確定売りと円の買い戻しが続いた。
また、今日の閣議後の記者会見で、日本政府の加藤勝信財務相が、日本・米国・英国・カナダ・ドイツ・フランス・イタリアの7か国および欧州連合 (EU / European Union) が参加する主要国7カ国の国際会議のG7 (Group of Seven) の財務相会談について、「環境が整えば、スコット・ベッセント米国財務長官と会談する」と発言したニュースが市場で話題になり、円安是正問題が再び意識されたことも円の買い戻しの一因となり、午後14時14分頃に対ドル円相場は一時147円64銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、今朝早朝に米国主要株価三指数が揃って前営業日比の大幅高の終値をつけていたことに続き、今日の東京株式市場でも日経平均株価が米中関税引き下げを受けた株買いの影響で大幅高となったことでは、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が市場高値後の利益確定売りや持ち高調整で上昇幅を縮小したことは市場安値後のドルが下げ幅を縮小する抵抗要因となり、午後15時30分に今日の日経平均株価は3万8183円26銭の終値をつけ、前日比539円0銭高の+1.43%の大幅高で大引けした。
午後からの欧州市場の参入に続く、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入でも、今夜この後の米国市場では最新米国重要経済指標でインフレ指標である4月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えているため、イベントリスクによるドルの様子見の買い控えがやや抵抗となり、市場安値後のドルの買い戻しが入る中でも今朝の日本市場で進行した下げ幅縮小がやや限定的となったことでは、前東京終値比でやや横ばいレンジ圏に近い小幅な円高ドル安の東京終値に向けた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円87銭付近で、昨夜17時の147円88銭付近の前東京終値比で約1銭の僅差の円高ドル安になった。
ただし、イベントリスクも抵抗を交えながらも、欧州英国市場では今夜その後にもドルの買い戻しが続いており、今夜19時19分頃の英国ロンドン外国為替市場では対ドル円相場は一時148円11銭付近と、前東京終値比で円安ドル高にも転じている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標のインフレ指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に4月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場や商品先物市場などの為替相場への影響や、世界各国の米国関税交渉の行方と世界経済と政治影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円37銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円26銭付近の前東京終値比では約11銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日米主要株価指数の大幅高に加えて、今朝未明には欧州主要株価指数も高値で引けており、リスク選好のリスクオン市場で低リスク通貨の円売りがリスクオンで買われやすい欧州ユーロや英国ポンドに対して起きたことが円相場に影響を与えていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は195円38銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の194円80銭付近の前東京終値比で約58銭の円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1116ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1108ドル付近の前東京終値比で約0.08セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、昨夜には米中関税交渉の共同声明後に主要通貨全般に対する大幅なドル高が進行したため、今日は日本市場での高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の影響が波及し、株価リスクオンで買われやすい欧州ユーロは対ドルでも反発した東京終値になったが、その後の今夜19時台の欧州市場では今夜の米国消費者物価指数発表前のイベントリスクの中でも円相場同様にドルの買い戻しが入り、小幅なユーロ安ドル高にも転じている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月13日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時32分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時32分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:32の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.99 〜 148.00 | +0.11 (円安) |
ユーロ/円 | 164.33 〜 164.34 | +0.07 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1103 〜 1.1105 | −0.0005 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.51 〜 195.57 | +0.71 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.89 〜 175.95 | +0.88 (円安) |
豪ドル/円 | 94.92 〜 94.96 | +0.24 (円安) |
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