FXニュース:欧ECB金利と米CPI控え
2025年9月11日
東西FXニュース – 2025年09月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 露欧NATO地政学リスク
- 米卸売物価指数予想以下
- 米国債買い長期金利低下
- 米S&Pナスダック最高値
- 日経平均株価最高値続伸
- 日ハト派高市氏総裁選へ
今日2025年9月11日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円32銭付近から、円の高値でドルの安値の147円83銭付近の値幅約51銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円79銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円49銭付近の前東京終値比で約30銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円51銭付近の始値で、昨日の午後に欧州連合 (EU / European Union) と北大西洋条約機構 (NATO / North Atlantic Treaty Organization) 加盟国のポーランド領域に、ウクライナへの攻撃を続けていたロシアのものとみられる無人機ドローンが侵入し、ポーランドとオランダの戦闘機やイタリアの早期警戒管制機 (AWACS) とNATOの空中給油機など緊急出動してNATO軍が撃墜したことを受けて、英国、フランス、ドイツ、カナダなどのNATO加盟国がNATO条約第4条に基づく緊急会合を開くことになり、欧州の地政学リスクへの警戒感が高まったことに続き、米国政府のドナルド・トランプ大統領も、「ロシアがドローンでポーランド領空を侵犯するとは何事だ?」と発言し、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルが買われた影響では、昨夜21時21分頃にドルは円相場で一時147円59銭付近と、昨夜17時の一時147円49銭前東京終値時点よりも小幅な円安ドル高になっていた。
ただし、米国市場では、昨夜21時30分に米国インフレ関連の最新経済指標の発表があり、8月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比が前回の0.9%と前回下方修正の0.7%と市場予想の0.3%を下振れする−0.1%に低下し、前年同月比も前回と市場予想の3.3%と前回下方修正の3.1%を下回る2.6%に鈍化し、食品とエネルギーを除くPPIコア指数も、前月比が前回の0.9%と前回下方修正の0.7%と市場予想の0.3%を下振れする−0.1%で、前年同月比も前回の3.7%と前回下方修正の3.4%と市場予想の3.5%を下回る2.8%に低下し、もれなく下方修正がついてきたことから今後の修正への警戒感もやや燻ったものの、来週9月16~17日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ予想が高まり、ドルが主要通貨に対して売られたため、発表時の昨夜21時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時147円10銭付近に急落し、昨夜の米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、同市場からは翌市場にあたる今夜この後の米国市場では、より重要度が高い最新米国重要インフレ指標の8 月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えていたことでは早期の利益確定や持ち高調整が入ってドルは円相場で反発し、昨夜21時53分頃には一時147円65銭付近にまで上昇し、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
とはいえ、同時進行中だった欧州市場でも今夜の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会と欧州政策金利の発表イベントを控えており、欧州金利据え置き予想が優勢であったことに対し、米国利下げ予想の影響に加えての先述のウクライナ周辺の欧州の地政学リスクの高まりにより、この日の米国債券市場の午前2時の米国10年債入札に向けた世界的な安全資産の米国債買いが起き始めたことでは、昨夜21時20分頃には一時4.092%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、午前2時の米国10年債の入札の頃には一時4.037%付近に低下しており、今夜この後の8月米国消費者物価指数 (CPI) を前にした様子見小値動の中でも、ドルは円相場で147円台前半付近に戻した推移になった。
欧州の地政学リスク回避の影響では、時差で先行していた欧州株式市場では欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index / German stock index) が安値引けして終了しており、その影響を受けて米国ニューヨーク株式市場でも、開場時にはプラス圏付近から始まっていた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が反落してマイナス圏の推移になっていたことも、安全資産の米国債買いと低リスク通貨の円買いに影響を与えていた。
しかし、米国主要株価三指数の中でも、前日に史上最高値を更新していた米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と世界的なハイテク企業比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) は続伸し、米国オラクルが前日に発表した人工知能 (AI / Artificial intelligence ) 企業向けクラウドサービス事業の需要急増による好決算を受けて約36%高に急騰し、1日分で1992年以来の最大の上昇率を記録するなど牽引し、米国オラクル創業者のラリー・エリソン会長が、米国テスラのイーロン・マスクを抜いて世界トップの富豪になったニュースなどが流れて関連株も値上がりするなど市場を牽引したため、米国S&P500種株価指数 (S&P500) と世界的なハイテク企業比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) は連日で史上最高値を再び更新して高値引けしたことでは、米国主要株価三指数中の二指数上昇を受けた株価影響では、安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りも入り、ドルは円相場で147円台中盤付近に戻していた。
米国債券市場では、今朝6時頃のニューヨーク終値の頃には、米国10年債の利回りがしひょいとなる米国長期金利は一時4.053%付近に下げ幅を縮小していた。
そのため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円10銭付近から、円の安値でドルの高値の147円65銭付近の値幅約55銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円46銭付近と、前営業日同時刻の147円41銭付近の前ニューヨーク終値比で約5銭の円安ドル高をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米国利下げ予想が高まっていたことに加えて、欧米の地政学リスクやイベントリスクから離れたオセアニア通貨で資源国の豪ドルが世界的に流動性の高いドルに対して買われた外貨影響が対ドル円相場に波及し、今朝8時30分頃に対ドルの円相場は一時147円28銭付近に反発上昇していた。
また、今朝8時50分に内閣府と財務省が発表した日本の最新経済指標の7〜9月第3期四半期の日本法人企業景気予測調査では、大企業全産業業況判断指数 (BSI / Business Sentiment Index) が前回マイナス圏だった−1.9から2四半期ぶりのプラス圏の4.7に改善されたほか、大企業製造業業況判断指数も前回の−4.8から3.8に上昇し、大企業非製造業業況判断指数も5.2と、7月の日米関税合意後の日本経済の先行き不透明感の緩和を受けた改善を示した。
ただし、同じく今朝8時50分に発表された日本のインフレ関連の最新経済指標では、8月日本国内企業物価指数が、前月比は前回0.2%が前回0.3%に上方修正されたものの市場予想の−0.1%を下回る−0.2%に鈍化したが、前年同月比では前回2.6%が前回2.5%に下方修正された一方で市場予想通りの2.7%であったことでは、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期追加利上げ予想を高めるほどではなかったため、日本の政治不透明感の中で、来週9月18〜19日に開催が予定されている次回の日銀金融政策決定会合では金利据え置き予想が優勢で、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円36銭付近の始値となっていた。
日本市場では、今朝9時55分頃の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入り、今朝10時頃にドルは円相場で一時147円48銭付近に買われたが、続いては国内輸出企業の円買いドル売りや今夜の米国重要インフレ指標のイベントリスクを控えた円の買い戻しも入ったことでは、ドルは円相場で一時反落し、今朝10時25分頃に一時147円32銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝早朝の米国オラクルなどのAI関連株高騰が牽引した米国ナズダックの史上最高値続伸のニュースを受けたAIブーム継続への期待感からは、今日の東京株式市場もブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) になり、日経平均株価が大幅に上昇して史上最高値の続伸に向けた株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の影響では、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られやすくなったほか、海外投資家流入の日本株の含み益に対する将来的な為替差損回避のための為替ヘッジの円売りドル買いも入り、対ドルの円相場が反落した。
今日の日経平均株価は史上最高値を再び更新し、午後15時30分に4万4372円50銭の終値をつけ、前日比534円83銭高の+1.22%の大幅高で続伸の大引けをした。
また、先週末に辞任を表明した石破茂首相の後任となる自民党総裁選が来月10月4日投開票で行われるが、以前に日銀の利上げに対して否定的な発言をしていたことからハト派の首相候補として世界市場でも有名な高市早苗前経済安全保障担当相が自民党総裁選への出馬意向を伝えたと共同通信などが報じたニュースが話題になった円売りが入った一方で、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後の地政学リスク燻る有事に備えたドルの買い戻しも混ざり、夕方16時31分頃にドルは円相場で一時147円83銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円79銭付近で、昨日17時の147円49銭付近の前東京終値比では約30銭の円安ドル高になった。
今夜この後の欧州市場では、今夜21時15分頃に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州政策金利と声明を発表するイベント予定があり、それに続いてECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見での要人発言を控えている。
今夜この後には米国市場でもイベント時間があり、米国インフレ関連の最新米国重要経済指標の発表と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に注目度が高いインフレ指標の8月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) と、同時刻に前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数が発表され、その後の26時には米国30年債入札と27時の8月月次米国財政収支なども控える。
また、世界の株式市場と債券市場と金 (ゴールド) や原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東周辺などの世界情勢や日仏を含む世界の政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
なお、来週9月16~17日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えて、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達は発言自粛期間のブラックアウト中であるが、今夜の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁や関係者達の発言や、米国政府のドナルド・トランプ大統領などの政府関係者の要人発言などには注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円82銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の172円60銭付近の前東京終値比では約43銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日経平均株価が史上最高値を続伸した株価影響による円売りの影響に加えて、日銀の利上げに否定的だった高市早苗前経済安全保障担当相が自民党総裁選への出馬意向を示したことでも、主要通貨に対する円売りが起きていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円77銭付近と、昨日の夜17時の199円60銭付近の前東京終値比で約17銭の円安ポンド高だった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1693ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1703ドル付近の前東京終値比で約0.10セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、昨日からウクライナと隣接する地域もある欧州などの北大西洋条約機構 (NATO / North Atlantic Treaty Organization) 加盟国の地政学リスク回避により欧州ユーロが世界的に流動性の高いドルに対して売られた影響が燻っていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年9月11日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時50分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 147.96 〜 147.97 | +0.47 (円安) |
ユーロ/円 | 172.85 〜 172.86 | +0.25 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1682 〜 1.1684 | −0.0021 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.81 〜 199.87 | +0.21 (円安) |
スイスフラン/円 | 185.04 〜 185.10 | +0.13 (円安) |
豪ドル/円 | 97.70 〜 97.74 | +0.33 (円安) |
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