FXニュース:米購買担当者景気指数改善
2024年5月24日東西FXニュース – 2024年5月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米新規失業保険申請件数減
- 米長期金利上昇で日金利差
- 米金利警戒でダウ大幅安に
- 米財務長官の為替介入牽制
- 日本CPIコア指数2.2%上昇
- 国内長期金利一時1.005%
今日2024年5月24日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の156円92銭付近から、円の安値でドルの高値の157円15銭付近の値幅約23銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円2〜4銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円75〜76銭付近の前東京終値比で約27銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず、昨日の日本市場終了後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、昨日の夕方に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツや欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の5月の購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の速報値に市場予想を上回る指標が出てきたことを受けた欧州ユーロ買いがドルに対して先行した影響が対ドル円相場に波及していたため、欧州英国市場後半の昨夜21時頃から時差で始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円59銭付近で、昨夜21時5分と22〜23分と27分頃に一時156円53銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の22.2万件と前回修正の22.3万件と市場予想の22.0万件に対し21.5万件に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回と市場予想の179.4万人と横ばいであったが、前回分が178.6万人に減少の修正をされており、堅調な米国雇用市場関連の経済指標が出てきたことで、欧州ユーロや主要通貨に対するドルの買い戻しが入り始めた。
続いて、昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の5月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は、前回と市場予想の50.0を上回る50.9に上昇し、5月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回と市場予想の51.3を上回る54.8で、5月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の51.3と市場予想の51.1を上振れする54.4といずれも市場予想以上で、不景気と好景気を分ける景気ボーダーラインの50を超える好景気側であったため、景気要因の米国インフレ圧が意識され、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利を高金利で長期間維持する市場予想が高まっていたこともあり、米国ニューヨーク債券市場では金利先高観から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が発表前の一時4.430%付近から一時4.498%付近に向けて上昇し、日米金利差拡大を受けた円売りドル買いが勢いを増して157円台を上抜けした後にも上昇を続け、昨夜23時11分頃にドルは円相場で一時157円20銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、昨夜23時に発表された4月の米国新築住宅販売件数は、年率換算件数が前回の69.3万件と前回修正の66.5万件と市場予想の67.9万件に対し63.4万件に下振れし、前月比も前回の8.8%と前回修正の5.4%と市場予想の-2.1%を下回る-4.7%であったことでは、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めた。
また、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、昨日の朝に発表されていた米国半導体大手のエヌビディア (NVIDIA / NVDA) の市場予想を大きく上回る好調な決算報告を受けて、同社の株価は初の1000ドルを上回る9.32%高に急騰する終値に向かったものの、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種株価指数 (Dow Jones Industrial Average) は、景気要因の米国インフレ圧を受けた米国高金利長期化予想による金利警戒感で39,065ドル26セントの終値と前日比で605ドル78セント安の大幅安に向かい、米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) と米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) も前日比で小幅安ながらも三指数が揃って下落の終値と軟調であったため、一部の銘柄を除いた全般的な米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の影響では、低リスク通貨の円が買われる抵抗も混ざったことは、対ドル円相場のドルの上値を抑えていた。
一時157円台に乗せたことで、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による円買い為替介入への警戒感も燻っていたものの、G7財務相・中央銀行総裁会議を前に、米国政府のジャネット・イエレン財務長官が、「為替介入は、滅多に使用されない手段であるべき」と発言し、また「為替介入に踏み切る際には、事前の伝達が必要」などの為替介入牽制発言も繰り返していたことでは、ドルは円相場で底堅い値動きをしていたが、米国主要株価三指数の下落を受けたリスク回避の安全資産の米国債買いの影響で、上昇後の米国長期金利が米国ニューヨーク債券市場の終値時点では4.479%に戻していたことでは、ドルは円相場で156円台後半に戻したニューヨーク終値になった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円53銭付近から、円の安値でドルの高値の157円20銭付近の値幅約67銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は156円93銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円80銭と比べて約13銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時30分には、日本の最新重要経済指標の4月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が発表され、前年同月比は前回の2.7%に対し市場予想の2.4%を上回る2.5%であったが、生鮮食料品除く日本CPIコア指数の前年同月比は前回の2.6%に対し市場予想通りの2.2%で、生鮮食料品とエネルギー除く日本CPIコアコア指数の前年同月比も前回の2.9%に対し市場予想通りの2.4%であった。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時156円99銭付近で、今朝9時4分と6分頃の一時156円92銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、明日の25日が週末の土曜日にあたるため、今日が実質的な日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) であったことから、日本企業の輸入実需による円売りドル買い需要が優勢でドルは円相場で再び157円台に上昇し、9時39分と46分頃に一時157円14銭付近の高値圏に達した。
輸入実需に続いては国内輸出企業による円買いドル売りの抵抗も交えたものの、先述の米国経済指標の上振れを受けた景気要因の米国インフレ圧が日本市場でも意識されており、米国高金利長期化予想の影響では再びドル買いも入って、今朝11時12分頃にドルは円相場で一時157円15銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、今日の東京株式市場では、日本の主要貿易先の米国市場で今朝早朝に一部銘柄を除いて米国主要株価三指数が下落の終値をつけていた影響や、今日の日本の債券市場で新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が日銀 (BoJ) の異次元大規模緩和開始時の水準を超えた一時1.005%に向けて上昇したことを受けた国内金利上昇への警戒感などの影響もあって日経平均株価が大幅に下落しており、今日の午後の債券市場で国内長期金利が1.005%と2012年4月以来のおよそ12年ぶりの高利回りの終値をつけたほか、午後15時台に日経平均株価は3万8,646円11銭の終値と前営業日比457円11銭安の大幅安のままで大引けしたことを受けては、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフで安全資産の米国債や国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われる抵抗も入っていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円2〜4銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円75〜76銭付近の前東京終値比で約27銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間での経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に4月の米国耐久財受注、22時20分に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言予定、今夜23時に5月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値の発表などを控えている。
また、債券利回りによる金利差トレードの影響や、米国主要企業の決算報告シーズンの影響が続いている米国株式市場からの為替相場への影響などにも、引き続き注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円94〜95銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の169円74〜75銭付近と比べると約20銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今夜は欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁と米国政府のイエレン財務長官の会談が予定されており、日米株価下落時には一時低リスク通貨の円が買われていたものの、イベントを控えて今日の午後の欧州市場の参入時には、欧州ユーロが買い戻される値動きが入っていた。
なお、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの1〜3月四半期の独国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値は、前期比が前回と市場予想通りの0.2%で、前年同期比も前回と市場予想通りの-0.2%で、季調前の前年同期比も前回と市場予想通りの-0.9%であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0821〜1.0823ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0827〜1.0829ドル付近と比べると約0.06セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、今日の午後の欧州市場の参入では欧州ユーロの買い戻しも入っていたものの、昨夜の市場予想上振れの5月の米国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値を受けた米国高金利長期化予想の高まりの影響もあり、米国の方が欧州よりも高金利を長期間維持するという市場予想が引き続き優勢であった。
また、今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの5月の仏企業景況感指数は、市場予想の100を下回る前回と横ばいの99であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円35〜41銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の199円43〜49銭付近と比べると約8銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の4月の英国小売売上高は、前月比が前回の0.0%と前回下方修正の-0.2%と市場予想の-0.4%を下回る-2.3%に低下し、前年同月比も前回の0.8%と前回下方修正の0.4%と市場予想の-0.2%を下振れする-2.7%であったことに加えて、自動車を除くコアも前月比が前回の-0.3%と前回下方修正と市場予想の-0.6%以下の-2.0%で、前年同月比も前回の0.4%と前回下方修正の0.0%と市場予想の-1.1%を下振れの-3.0%と低調であったことなどから、英国景気懸念の英国ポンド売りが低リスク通貨の円に対して入っていた。
ただし、その後の今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、ドルや欧州ユーロなどの他の主要通貨に対する円安の波及や、実需などの英国ポンドの買い戻しも入っていた影響などで、小幅な円安ポンド高への市場転換も見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月24日の日本時間(JST)18時14分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の10時14分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 18:14の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 156.99 〜 157.00 | +0.24 (円安) |
ユーロ/円 | 170.01 〜 170.02 | +0.27 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0828 〜 1.0831 | -0.0001 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.50 〜 199.56 | +0.07 (円安) |
スイスフラン/円 | 171.63 〜 171.69 | +0.26 (円安) |
豪ドル/円 | 103.83 〜 103.87 | +0.07 (円安) |
注意:
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