FXニュース:日銀国債購入予定額を維持

2024年5月17日
FXニュース:日銀国債購入予定額を維持

 

東西FXニュース – 2024年5月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米輸入物価指数前月比上昇
  • 米FRB高官「確信得られず」
  • 過度な米利下げ期待が後退
  • 米軟着陸期待の株高後利確
  • 米長期金利反発金利差拡大
  • 欧ECB高官6月利下げ示唆
  • 英利下げ転換には慎重意見

今日2024年5月17日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の155円35銭付近から、円の安値でドルの高値の155円93銭付近の値幅約58銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円81〜82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円38〜40銭付近の前東京終値比では約1円43銭の大幅な円安ドル高であった。

また、今夜17時38分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時155円98銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を更新した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後で英国ロンドン外国為替市場の後半と重なる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円88銭付近の始値であったが、昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の4月の米国住宅着工件数の年率換算件数が、前回の132.1万件から前回128.7万件に下方修正されたことに加えて市場予想の142.0万件を下回る136.0万件で、前月比は前回の-14.7%と前回下方修正の-16.8%からは改善されたものの市場予想の7.5%以下の5.7%、4月の米国建設許可件数も年率換算件数が前回の145.8万件と前回上方修正の148.5万件と市場予想の148.0万を下回る144.0万件と弱く、前月比も前回の-4.3%と前回下方修正の-5.0%と市場予想の0.9%に対しマイナス圏の-3.0%に留まったほか、5月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数も前回の15.5と市場予想の8.0を大幅に下回る4.5に低下したことでは、主要通貨に対してドルが売られて、昨夜21時30分にドルは円相場で一時154円60銭付近の円の高値でドルの安値を瞬時記録した。

しかし、同じく発表された4月の米国輸入物価指数の前月比は、前回の0.4%と前回上方修正の0.6%と市場予想の0.3%を大きく上回る0.9%に上昇し、4月の米国輸出物価指数の前月比も前回の0.3%と前回下方修正の0.1%と市場予想の0.2%を上振れする0.5%に上昇していたことでは、米国の輸出入に関連するインフレ警戒感により、ドルは円相場で瞬時に反発して上昇に転じた。

同時発表の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の23.1万件と前回修正の23.2万件よりは改善したものの市場予想の22.0万件には届かない22.2万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回と市場予想の178.5万人と前回修正の178.1万人に対し179.4万人と弱かったことでは抵抗も混ざったが、歴史的な米国労働市場と比較すると政策に影響を及ぼすほどの軟化は見られないとの観測からは抵抗は一時的に留まった。

なぜなら、昨夜には時差で米国市場に先行した英国ロンドン外国為替市場の時間に、英国ロイター通信 (Reuters) のインタビューで、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁の発言があり、前日にドル売りの要因となった市場予想下振れの最新米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の鈍化について、今回の単月の最新米国重要経済指標は「米国インフレ抑制の進展に関する数ヶ月ものがっかりする様なデータが続いた後に、ようやく良い兆候が出てきたという感じだ」と歓迎した一方で、「これだけでは、米国の利下げ転換にはまだ不十分」との見解を示したニュースが米国市場でも話題になり、ウィリアムズ総裁は、「現在のインフレ抑制的な金融政策は良い位置にある」が、「現時点では、米国金融政策のスタンス (Stance / 姿勢) を変更する理由があることを示す指標は見られない。また、米国のインフレ率が目標の2%に向かっているという確信が、近い将来に得られるとは予想していない」と米国高金利長期化を示唆するタカ派発言をしていた。ただし、米国の追加利上げの可能性については、「現時点では、金融政策を引き締める必要はないと思う」と金利維持姿勢を強調した。

これまでの何ヶ月間にも渡る米国インフレ上振れと高止まりの長期データの後の単月データだけの米国CPIインフレ指標の鈍化を受けた過剰な米国利下げ予想は後退したため、先ほどの米国輸入物価指数の上昇率が前回の上方修正後を更に上回り市場予想の3倍の上昇率であったことには、大きな反応が出始めたが、ウィリアムズ総裁が追加利上げの可能性は否定していたことでは、米国の金利上昇警戒感の緩和では米国主要株価三指数が一時上昇した。

米国ニューヨーク株式市場では今週に史上最高値を更新後の米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が一時は取引史上初の4万ドル台の大台に向けた上昇を記録した影響もあり、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたことに加えて、安全資産の米国債売りの影響で債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国債券市場では前日の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の下振れ後には一時4.31%台にまで大幅に低下後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発し、一時4.38%台に向けた再上昇を見せたため、日米金利差拡大による円売りドル買いも入り、昨夜22時48分頃にドルは円相場で一時155円53銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したほか、155円台での推移が続いた。

また、昨夜には米国経済専門チャンネルのCNBCのインタビューで、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁の発言があったことも報じられ、「米国消費者物価指数 (CPI) は、まだ米国連邦準備制度理事会 (FRB) が目指す2%の目標には達していない」とウィリアムズ総裁と同意見で、「適切な方法で持続的に米国インフレを目標の2%に抑制するためには、もう少し時間がかかると思う」と、米国政策金利の維持を支持したほか、「サービスインフレの動きもまだ多くあり、少し時間がかかりそうだ」と付け加えた。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁も、「米国政策金利を現在の水準で維持することが、なお高水準で推移する米国インフレ率を目標の2%に戻すことにつながる」と発言し、米国利下げを急がない姿勢を示していた。

米国の金利上昇への警戒感は一時緩和されたものの、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言を受けて米国高金利長期化予想が再燃したため、米国主要株価三指数には史上高値更新後の利益確定売りや持ち高調整が入り始めて反落し、今朝早朝の米国ニューヨーク株式市場の終値では史上高値を更新した前日比では三指数揃って前日比では下落の終値に向かったことでは、リスク選好のリスクオンの後のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円がやや買い戻される抵抗の一因となったが、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は抵抗を交えながらも終値の時点でも前日比では反発した4.369%に上昇していたため、日米金利差拡大を受けた金利差トレードではドルは円相場で前日比円安ドル高の終値に向かった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円60銭付近から、円の安値でドルの高値の155円53銭付近の値幅約93銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は155円39銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円88銭と比べて約51銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円40銭付近の始値であったが、今朝早朝の米国主要株価三指数の反落の影響などで今朝の東京株式市場で日経平均株価が前日比で大幅な安値付近から始まったことや、今朝の日本市場の時間外の米国債取引で一時上昇後の米国10年債の利回りが一時下げたことなどで、今朝9時5分頃には対ドルの円相場が反発して一時155円35銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、前述の米国トレンドを受けた今日の日本市場でもドルの買い戻しが進んだほか、今朝10時10分に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が公開市場操作の国債買い入れオペの指し値オペを通知し、前回縮小したため今回は一段の縮小が市場で期待されていた日銀の国債買い入れ購入予定額を残存期間5年超10年以下などの4本全部で今回は据え置きにしたことから、日銀 (BoJ) は金融緩和姿勢を崩していないということが市場で意識され、日米の金融政策の違いが意識され、日銀通知タイムからドルは円相場で155円台中盤から後半に向けた上昇を見せ始めて、午前11時32分頃にドルは円相場で一時155円93銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

156円台に近づくと、日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入への警戒感も燻ったほか、今朝前日比安で始まった日経平均株価が大幅安のままで推移していたことでは、日本株価下落時の国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しは抵抗になり、午後15時台に今日の日経平均株価は3万8,787円38銭の終値をつけ、前日比で132円88銭安の大幅安で大引けした。

一方で、午後からの欧州英国市場の参入を受けて、米国長期金利は一時4.39%台に向けて再び上昇しており、日米の金利差が拡大した状態が当面続くとの市場予想もあり、日米金利差トレードの低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いの影響は続いていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円81〜82銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円38〜40銭付近の前東京終値比で約1円43銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間の経済カレンダーのスケジュールは、今夜23時に4月の米国景気先行指標総合指数、今夜23時15分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言予定、25時15分頃から米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定があり、両者共に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持っている。

今夜の米国株式市場は、米国主要企業の決算報告シーズンの影響があり、また週末を控えた利益確定や調整の可能性もあるため、為替相場への影響には注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円16〜21銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の167円91〜96銭付近と比べると約1円25銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場と今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、欧州中央銀行 (欧中銀 / ECB / European Central Bank) の複数の高官達が、想定通りであれば、今年6月の早期の欧州利下げ開始の可能性について発言をしていたことで対ドルでは欧州ユーロが売られていたが、円相場では今朝の日銀の国債買い入れ購入予定額の据え置きによる低金利通貨の円売りで、高金利のドルだけでなく欧州ユーロの買い戻しも進んだ。

そのため、ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0858〜1.0860ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0875〜1.0876付近と比べると約0.17セントのユーロ安ドル高であった。

なお、東京終値後の今夜18時の英国ロンドン外国為替市場で発表された欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の4月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語:Harmonised Index of Consumer Prices / 米語:Harmonized Index of Consumer Prices) の改定値は、前年同月比が前回と市場予想通りの2.4%で、前年同月比も前回と想定通りの2.7%であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は197円20〜26銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の195円80〜86銭付近と比べると約1円40銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で、英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) 金融政策委員会メンバーで経済学者のミーガン・グリーン委員が、英国インフレ圧がどう弱まっていくかを見極めるためには更なる証拠が必要であると発言し、英国利下げに慎重なタカ派姿勢を示したため、今朝の日銀 (BoJ) の国債購入予定額据え置きの緩和修正に対する慎重姿勢に対し、日英の金融政策の違いも市場で意識されていた。

また、ドルや欧州ユーロなどの他の主要通貨に対する円売り買い戻しの影響も、今日の英国ポンドの円相場に波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月17日の日本時間(JST)19時39分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時39分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:39の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 155.89 〜 155.91 +1.51 (円安)
ユーロ/円 169.03 〜 169.05 +1.12 (円安)
ユーロ/ドル 1.0842 〜 1.0843 -0.0033 (ドル高)
英ポンド/円 197.26 〜 197.32 +1.46 (円安)
スイスフラン/円 171.40 〜 171.46 -0.12 (円高)
豪ドル/円 103.69 〜 103.73 +0.43 (円安)


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