FXニュース:英政策金利5.25%据え置き

2024年5月09日
FXニュース:英政策金利5.25%据え置き

 

東西FXニュース – 2024年5月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米金利差拡大の円安続く
  • 米長期金利上昇と高止まり
  • 米FRB高官達のタカ派発言
  • 日銀の主な意見にタカ派も
  • 日銀植田総裁利上げに言及
  • 日経平均株価が大幅に続落
  • 英独株価指数が史上最高値
  • 欧高官利下げ急ぐ必要なし

今日2024年5月9日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の155円15銭付近から、円の安値でドルの高値の155円85銭付近の値幅約70銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円83〜84銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円34〜36銭付近の前東京終値と比較すると約49銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日は日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の発言の影響もあったものの、日本市場終了後の昨夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、ドイツと英国の主要株価指数が史上最高値を更新するブルマーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られて、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどクロス円の外貨の買い戻しが続き、先日の4月29日と5月2日の日本政府と日銀の為替介入観測後の円相場での主要通貨の下げ幅を縮める円安に傾いたほか、世界的な安全資産でもある米国債が売られた影響で米国債券価格低下に伴う利回り上昇が続き、昨夜20時35分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.490%付近に上昇していたため、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大による低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いの金利差トレードの影響もあり、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時155円49銭付近の始値で、この時点でも昨夜17時の前東京終値時点よりも円安ドル高が進んでいた。

また、昨夜20時に発表された週間の米国MBA住宅ローン申請指数の前週比は、前回マイナス圏の-2.3%からプラス圏の2.6%に転じており、米国政策金利の高金利の維持が続いているにも関わらず、米国消費の底堅さや米国住宅インフレの根強さをやや意識させていた。

昨夜の米国ニューヨーク債券市場では、米国債の入札予定を控えていたことや、前日の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の年内金利維持の可能性についての発言を受けた米国政策金利の高金利長期化予想の再燃を受けて米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が更に上昇し、昨夜21時45分頃の一時4.495%付近に向かっていた日米金利差拡大時の円売りドル買いにより、昨夜21時37分頃にドルは円相場で一時155円69銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の3月の米国卸売売上高の前月比は、前回プラス圏の2.3%が前回2.0%に下方修正されたほか、市場予想の0.8%を下回るマイナス圏の-1.3%に転じたことでは米国の高金利とインフレの長期化による米国景気減速圧もやや意識されたことや、日本政府と日銀の為替介入観測後の下げ幅を半値戻したことなどから、昨日は日本政府や日銀の発言や為替介入実施に関する報道が続いたこともあり、為替介入警戒感による利益確定や持ち高調整の一時抵抗も入ったことなどでは、深夜24時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン副議長の発言時間には市場が警戒していた様なタカ派発言は特に伝わらなかったこともあり、深夜24時47分頃には対ドル円相場は一時155円35銭付近に反発し、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、昨夜24時45分頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁の発言が始まり、米国マサチューセッツ工科大学 (MIT / Massachusetts Institute of Technology) の講演において、「最近の米国経済とインフレ率の上振れは、米国のインフレ率が持続的に目標2%に向かっているとの確信が高まるまでは、米国金融政策を現在の水準で維持しなければならない可能性が高いことを示唆している」ことや、「最近のデータから、従来の想定以上に時間がかかるだろうと考えている」、「現在の状況を踏まえると、進展には時間がかかる」、「忍耐強さが必要」と、タカ派発言があったため、市場では米国高金利長期化予想が再び高まった。

米国政策金利が高金利のまま長期間維持されるという市場予想の影響を受けて、午前2時の米国10年債の入札後も米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は更に上昇し、午前4時35分頃からは一時4.5%台に達し始めたため、日米金利差拡大による円売りドル買いの影響で午前4時40〜45分頃にかけて、ドルは円相場で155円66銭付近の市場高値圏での高止まりを5分近くも見せていた。

市場終盤には利益確定や持ち高調整の抵抗が入り始めたほか、決算報告期の米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の高金利維持の長期化が米国主要企業への貸付ローン金利コストなどで今後の決算や株価に及ぼす影響を警戒した株主達の株売りがあったことなどでは、米国主要株価三指数のうち米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) のみが前日比で大幅高の終値に向かい、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は前日比で小幅安の終値になったため、一部の株価下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債や低リスク通貨の円が買われたことも、為替介入警戒以外での円相場の一時抵抗要素になっていたことでは、米国ニューヨーク債券市場の終値時点での米国長期金利は4.497%付近であったため、ドルは円相場で米国市場の高値は上抜けせずにニューヨーク終値を迎えた。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の155円69銭付近から、円の高値でドルの安値の155円35銭付近の値幅34銭の値動きで、今朝早朝のニューヨーク終値は155円53銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円69銭付近と比べて約84銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時30分には日本の最新経済指標の発表があり、厚生労働省の3月の日本毎月勤労統計調査の現金給与総額の速報値の前年同月比は、前回の1.8%と前回下方修正の1.4%と市場予想の1.4%を下振れする0.6%で、今年の春季労使交渉 (春闘) でベースアップ (ベア) と定期昇給を合わせた賃上げ率は平均5.17%と、大幅な給与額の賃上げがあったにも関わらず、厚労省担当者は次回の「4月分から春闘の実績が反映され始める」とコメントしたが、3月時点の統計では、物価変動を考慮した実質賃金では前年同月比が前回2月の-1.8%から拡大した-2.5%減で、24カ月連続のマイナスとなり、2008年のリーマン・ショック前後の頃を超えて比較可能な記録が残る1991年以来の過去最長を記録していた。

続いて、8時50分に発表された4月の日本外貨準備高は前回の1兆2906億ドルに対し1兆2790億ドルとやや減少したものの、同時刻には日本銀行 (日銀 / BoJ) の4月25〜26日開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公開され、円安は「基調的な物価上昇率の上振れにつながりうる」とのタカ派意見があったほか、国債買い入れオペについて、「どこかで削減の方向性を示すのが良い」と、緩和的な金融政策の修正に前向きな意見が出ていたことでは、市場予想よりもタカ派寄りの内容であったと受け止められたため、今朝9時頃の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円37銭付近の始値であったが、日銀の主な意見のタカ派発言を受けた円買いが先行して円相場が一時反発し、今朝9時7分頃に対ドル円相場は一時155円15銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、今朝9時59分頃にはドルは円相場で一時155円70銭付近に上昇した。

今朝の参院財政金融委員会で、日本銀行 (日銀 / BoE) の植田和男総裁は、円安の動向を引き続き注視し、「基調的な物価上昇率に為替変動が影響する場合は、政策上の対応が必要」と、追加利上げや修正を示唆するタカ派の発言をしたが、一方で、「予想物価上昇率が現状のレベルから上がっていけば、緩和度合いを調節することなく、名目金利を上げていくことができる」と、緩和的な金融政策の維持をしながらも名目金利を上げるという考えも示しており、基調的な物価上昇率が想定通りに徐々に上昇する場合には、「それに応じて緩和的な度合いを調整する中で、金利を上げることもできる」などの緩和修正と金利上昇のバランスについての発言もしていた。

国内金利上昇への警戒感を受けては、今日の東京株式市場でも日経平均株価が大幅に続落したため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたことは、やや円相場の抵抗になった。

今朝の同参院財政金融委員会には日本政府の鈴木俊一財務相も出席し、円安について、「過度な変動は望ましくない」ことから、「引き続き、市場動向をしっかりと注視し、万全の対応を取りたい」と口先介入を繰り返したほか、先日の経済界の圧への配慮もあり、「円安は輸入価格の上昇など、マイナス面への懸念がある」とも言及していた。

なお、日本国内の報道規制のない国外ニュースでは、名前は公表されていないが、日本政府もしくは日銀の一部関係者の匿名のリーク情報で、一部関係者が先日の為替介入の実施を認めたという話題が海外市場のソーシャルメディア (SNS / Social Networking Service) などで出回っていたが、日本政府と日銀の公式のコメントでは、為替介入の有無への言及は避けられていた。

日銀がいつ修正に動くかについてなどの具体性はまだないため、午後からの欧州英国市場の参入でも米国政策金利の先高観による日米金利差予想は継続し、今日の日本市場の時間外の米国債券取引でも米国長期金利は再び一時4.50%台に上昇していたが、更に午後には一時4.51%台に向けた上昇トレンドも見せたため、日米金利差拡大による円売りドル買いが再び優勢になり、午後16時46分頃にドルは円相場で一時155円85銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円83〜84銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の155円34〜36銭付近の前東京終値と比べて約49銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標発表予定と米国債入札予定と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済カレンダーのスケジュール予定は、今夜21時30分に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、26時に米国30年債入札、27時に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国サンフランシスコ連銀デイリー総裁の発言予定などを控えているほか、米国株式市場では企業の決算報告シーズンの影響も続く。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は167円27〜29銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の166円79〜80銭付近と比べると約48銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨夜の欧州市場の話題で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのオーストリア中銀のホルツマン総裁が、欧州の利下げを急ぐ必要はないとドイツでのインタビューで発言していたことを受けて、ドイツ国債の利回りが指標となる欧州長期金利が上昇し、日欧金利差トレードで低金利の日本円が売られて欧州ユーロが買われていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0733〜1.0735ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0735〜1.0737ドル付近と比べると約0.02セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨夜は欧米共に中央銀行関係者達からタカ派発言が出ていたが、欧米の金利差では米国長期金利の方が上昇していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円41〜44銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の193円71〜77銭付近と比べると約70銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今夜20時に、英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の英国新政策金利と声明の発表イベントやベイリー総裁の記者会見での今後の見通しに関する発言予定などを控えており、英国のインフレ率は3.2%付近と目標の2%を上回り続けていることなどから、これまでの5.25%の英国政策金利が据え置きされる市場予想が優勢であったため、イベントリスクの持ち高調整の抵抗も混じったものの、低金利通貨の円と比較すると高金利の英国ポンドとの日英金利差が意識されていた。

追記として、今夜20時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英中銀金融政策委員会 (MPC) は、市場予想通りに英国の政策金利を現状の5.25%維持で据え置きする決定を発表した。

この後の今夜20時30分頃からは、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の定例記者会見の発言予定のイベントも控えている。

なお、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州経済圏に近いスイスが祝日休場であるほか、時間未定で欧州のポーランド中銀が政策金利を発表する予定なども伝わっている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月9日の日本時間(JST)20時0分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 20:00の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 155.91 〜 155.92 +0.57 (円安)
ユーロ/円 167.35 〜 167.38 +0.56 (円安)
ユーロ/ドル 1.0733 〜 1.0735 −0.0002 (ドル高)
英ポンド/円 194.27 〜 194.33 +0.56 (円安)
スイスフラン/円 171.43 〜 171.49 +0.65 (円安)
豪ドル/円 102.52 〜 102.56 +0.51 (円安)


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