FXニュース:米FRBパウエル議長発言控え

2024年1月31日

 

東西FXニュース – 2024年1月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FOMCの金利据え置き予想
  • 米JOLTS求人件数想定外増加
  • 米ダウ工業株史上最高値更新
  • 仏CAC40と独DAXも最高値
  • 米国債価格上昇で利回り低下
  • 日銀の主な意見は修正前向き

今日2024年1月31日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円19銭付近から円の安値でドルの高値の147円90銭付近の値幅約71銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円62~63銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円24~25銭付近の前東京終値比で約38銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、今夜この後の翌米国市場で米国中央銀行にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 終了後の米国新政策金利や金融政策の声明の発表予定と、市場注目度の高いジェローム・パウエル議長の発言予定の定例記者会見のビッグイベントを控え、イベント前の持ち高調整の値動きなどが出ており、昨夜22時頃から今朝7時前頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、昨夜22時頃には一時147円44銭付近の始値をつけていた。

市場後半が同時進行していた欧州市場では、欧州ユーロ圏のスペインの消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が前年同月比で市場予想を上回る上昇率を見せ、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーで高官のドイツ連邦銀行のナーゲル総裁は、「インフレという貪欲な獣」を「手なずけることができたと思う」と楽観的な発言をした一方で、「コアインフレ率は比較的高水準」であることなどから、現在の政策スタンスは「それほどは制約的ではない」とも言及し、欧州利下げ支持にはまだ少し距離があるため、欧州金融政策の変更については「今後発表されるデータを注視しながら、各会合で決めるべき」と発言したほか、クロアチア連銀のブイチッチ総裁も、欧州利下げ開始時期は、「4月でも6月でも、欧州経済にとって大きな違いはない」と発言し、特に早期の欧州利下げに向けて急いでいない様子を示していたことなどから、世界市場では早期の欧州利下げ予想がやや減退し、イベントリスクのドルに対する欧州ユーロの買い戻しなども入っていた。

また、米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜23時に発表された最新米国経済指標の昨年11月の米国住宅価格指数の前月比は前回と市場予想通りの0.3%の横ばいで、同時発表の同11月の全米主要20都市の一戸建て住宅価格指数を示す米国S&Pケース・シラー (Standard and Poor’s CoreLogic Case-Shiller National Home Price Index) 住宅価格指数の前年同月比は前回の4.9%と市場予想の5.8%に対し5.4%と前回からの上昇率が市場予想以下であったことを受けては、米国の住宅インフレが想定よりは鈍化しているとの米国市場での受け止め方から米国長期金利が一時4.07%台付近から4.04%台に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りと主要通貨に対するドル売りの影響で、昨夜23時53分頃にドルは円相場で一時147円9銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国ニューヨーク債券市場では米国債価格上昇後の利益確定売りによる抵抗が入り始めたため、為替相場でも市場安値圏からのドルの買い戻しが入り始めたほか、深夜24時に発表された先月12月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が、前回の879.0万件と市場予想の892.5万件を大幅に上回る902.6万件に上昇し、堅調な米国雇用市場を受けた米国賃金インフレ圧や根強いサービス・インフレ圧が意識され、米国長期金利が一時4.10%台付近に向けて大きく反発上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いのトレンドに転じた。

同時発表されていた今月1月の米国民間調査会社コンファレンス・ボードの米国消費者信頼感指数は、前回の110.7と前回修正の108.0と市場予想の115.0に対し114.8と、市場予想には僅かに届かなかったものの、想定範囲内で前回よりも確実に上昇しており、米国景気の強さがインフレ圧になる可能性が一部で指摘されたことも、ドル買いに繋がった。

また、欧米株式市場では、米国主要株価三指数の一つの米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が一時史上最高値記録を更新する上昇を見せたほか、欧州主要株価指数のドイツのDAXとフランスのCAC40も史上最高値記録を更新するなど、一時は欧米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円売りが入っていた。

午前1時頃の英国ロンドン外国為替市場のロンドン・フィキシング終了後の午前1時10分頃と13分頃には、米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円93銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、チャート上でテクニカル分析的なダブルトップ (Double Top) の2つの山の「毛抜き天井」の売りサインのトレンド転換を描いた後のピークアウトは、米国長期金利の一時反落と連動し、天井を叩いた後の市場高値後のドルの利益確定売りやイベント前の持ち高調整の抵抗が入り始めた。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数のうち、前述の米国ダウ工業株30種は前営業日比で大幅高のまま終値をつけたが、米国主要企業決算報告でグーグル (Google) のアルファベット社 (Alphabet Inc.) の前四半期の決算報告で広告収入が市場予想以下であったことや、AI機能やクラウドが好調で四半期決算報告は市場予想以上であったものの今年に入ってからの大幅上昇後の利益確定売りが入り始めたウィンドウズ (Windows) の米国マイクロソフト社 (Microsoft Corp.) などのハイテク株を含むナズダック平均 (NASDAQ Composite) とS&P500 (Standard and Poor’s 500) の二指数は、前日終値よりも安値の終値になったため、市場安値後の低リスク通貨の円買いもやや抵抗になった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円9銭付近から、円の安値でドルの高値の147円93銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は147円61銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円50銭付近と比べて約11銭の円安ドル高をつけていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円34銭付近から始まったが、その直前の今朝8時55分頃から今月1月22〜23日開催分の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合の「主な意見」が公開されており、日銀の「マイナス金利解除を含めた政策修正の要件は満たされつつある」との意見や、大規模緩和金融政策の「出口についての議論を本格化させていくことが必要だ」との意見が出ており、「2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現の確からしさについて、具体的な経済指標を確認することで見極めていく段階に入った」ことや、「能登半島地震の影響を今後1〜2カ月程度フォローし、マクロ経済への影響を確認できれば、金融正常化が可能な状況に至ったと判断できる可能性が高い」など、今後の金融正常化に向けた前向きな意見が出ていたことから主要通貨に対する円買いが先行し、午前9時5分頃に対ドル円相場は一時147円19銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、月末決算の関係もあり、今朝9時55分の今日の日本市場の仲値決済に向けて日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要もあり、ドルは円相場で反発上昇を始めた。

また、今朝発表されていた日本の最新経済指標の先月12月の国内小売業販売額や百貨店・スーパー販売額は前年同月比で前回と市場予想以下に低下したほか、同12月の国内鉱工業生産の速報値も前月比が前回の-0.9%と市場予想の2.4%に対し1.8%で、前年同月比は前回の-1.4%と市場予想の0.2%に対し-0.7%と前回よりは改善したもののいずれも市場予想以下であったことも、昨夜の堅調な米国景気感と比較すると、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国政策金利発表前の金利据え置き予想や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言を控えたドルのイベント前の対ドル円相場の円の市場高値後の利益確定売りや持ち高調整の一因になっていた。

さらに、今日の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅に上昇し、午後15時15分に3万6286円71銭の終値をつけ、前日比220円85銭高の大幅高で大引けしたことでも、日本株高時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られる機会があった。

午後16時頃の英国ロンドン外国為替市場の参入時には、欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の発表があり、先月12月の独輸入物価指数が前回と市場予想よりも鈍化を示したことや、同月の独小売売上高の悪化を受けた欧州景気懸念の欧州ユーロ売りのドル買いや、今夜のパウエル議長の発言内容に関する市場予想の影響もあり主要通貨に対してもドルが一時買われて始まったため、午後16時頃にドルは円相場で一時147円90銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、時間外の米国債券市場では、今夜この後の米国イベントを控えたイベントリスク回避もあり、世界的な安全資産でもある米国債が再び買われていたため、米国債の債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国長期金利が一時3.99%台付近まで大幅に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するイベントリスクのドルの利益確定売りが円相場の抵抗になり、日本市場終盤には円相場は一時の下げ幅を縮めた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円62~63銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円24~25銭付近の前東京終値比では約38銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場では、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国政策金利の発表予定や、今世界的な注目を集めている米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言予定の大イベントを控えているが、その前にも最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間のファンダメンタル分析用の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜22時15分に 1月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計、今夜22時30分に 昨年10〜12月の前四半期の米国雇用コスト指数、今夜23時45分に 1月の米国シカゴ購買部協会景気指数、深夜24時30分に米国週間原油在庫、28時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国新政策金利発表と声明文公表、28時30分頃から前述の市場注目度の高い米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言予定が定例記者会見にて行われる予定である。

また、米国株式市場でも、今週は現地明日付けでアイフォーン (iPhone) やマック (Mac OSX) などで有名な米国アップル社 (Apple Inc.) や、アマゾン (Amazon) やメタ (Meta) などの米国主要企業の決算報告予定等を控えている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円65〜67銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円42〜44銭付近の前東京終値比で約23銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバー達の発言を受けて、今年早期の欧州利下げ予想がやや弱まっていたことや、主要通貨のドル円の影響もクロス円に波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0815〜1.0817ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0826〜1.0827ドル付近の前東京終値比で約0.11セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、時間外債券市場での米国債買いで米国長期金利低下時にはドルが売られた一方で、欧州市場で今夜16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の今月1月仏消費者物価指数 (CPI) 速報値は、前月比が前回の0.1%と市場予想の0.0%に対し-0.2%に鈍化しており、前年同月比では前回の3.7%と市場予想の3.3%に対し3.1%であったが、同時発表だった先月12月の仏卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比も前回の2.4%と前回修正の2.3%に対し0.1%のインフレ鈍化を示した。昨夜のスペインと比較するとフランスの市場規模の方が欧州ユーロ圏では大きいため、一時低下していた早期の欧州利下げ予想が、今日の午後のドイツの輸入インフレ鈍化や欧州景気懸念もあり再び燻っていた。

ただし、今夜その後の17時55分に発表されたドイツの最新経済指標の今月1月の独失業者数は、欧州ユーロ圏では欧州連合 (EU / European Union) のシェンゲン域内で自由に労働者が移動可能なこともあるが、前月比で前回の0.50万人と前回修正の0.20万人と市場予想の1.10万人に対して-0.2万人に大幅に低下し、同1月の独失業率は前回の5.9%が5.8%に下方修正されたほか、市場予想の5.9%を下回る5.8%に減少したことでは、賃金インフレ圧もやや意識され、対ドルの欧州ユーロにはイベント前の買い戻しも入っており、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、ユーロドルは前日比横ばいレンジ圏から小幅なユーロ高ドル安にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は187円11〜17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の187円0〜6銭付近の前東京終値比で約11銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今週2月1日には、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) も新英国政策金利と金融政策を決める予定の英国金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) やベイリー総裁の発言予定のイベントを控えており、持ち高調整も入っていたが、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の今月1月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比は、前回の0.0%と市場予想の0.1%を上回る0.7%に上昇し、想定以上の英国の住宅インフレが観測されたことで、日英金利差拡大予想の円売りポンド買いも影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月31日の日本時間(JST)20時50分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:50の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.77 〜 147.78 +0.53 (円安)
ユーロ/円 160.15 〜 160.16 +0.73 (円安)
ユーロ/ドル 1.0836 〜 1.0837 +0.0010 (ドル安)
英ポンド/円 187.40 〜 187.46 +0.40 (円安)
スイスフラン/円 171.21 〜 171.27 +0.17 (円安)
豪ドル/円 97.21 〜 97.25 -0.20 (円高)


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