FXニュース:米PCE物価コア指数が市場予想を上回る

2022年12月26日
FXニュース:米PCE物価コア指数が市場予想を上回る

 

東西FXニュース – 2022年12月26日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 経済指標で米長期金利上昇の日米金利差拡大予想
  • 日本企業の仲値売買と黒田日銀総裁発言の影響
  • 欧ECBオランダ中銀のクノット総裁がタカ派発言

今日2022年12月26日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値の132円87銭前後から高値の132円32銭前後の値幅55銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円71~73銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約19銭の円安ドル高であった。

今日の日本市場は通常営業であるが、欧米市場を始めとする海外市場の多くがクリスマスの振替休日で休場中であるために、先週末の米国市場から始まった世界市場トレンドの日本市場への影響と、今日の日本企業の大口取引が世界FX市場に影響を与えやすくなっていた。

今日の為替相場の値動きの原因はまず、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で金曜の夜22時半に発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注視している最新米国重要経済指標の11月の米個人消費支出 (PCE) 物価指数のエネルギーと食品を除くPCEコア・デフレーターの前年同月比が、市場予想の4.6%を上回る4.7%の上昇率で、前月比では市場予想通りの0.2%上昇であったものの、前回の上昇率も0.3%に上方修正され、米国の根強いインフレ抑制のための米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ継続予想が高まって米長期金利が上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きた。

米国の利上げ継続への抵抗要因には金利上昇の影響に対する景気懸念があるが、同時発表の11月の米国個人所得も市場予想の0.3%に対して0.4%に増加しており、続いて24時に発表された11月の米新築住宅販売件数も市場予想以上に増え、また12月の米ミシガン大学消費者態度指数の確報値も前回と市場予想の59.1に対して59.7に上昇したことで、米利上げ抵抗要因の景気懸念の後退により、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が今後も利上げ継続をしやすくなるという市場予想から、円安要因の日米金利差拡大予想が優勢になった。

これらの米国インフレ率と堅調な景気を示す経済指標の結果を受けて、米利上げ継続予想により米長期金利が3.74%と前日終値比で0.06%上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いの原因になり、一時133円13銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

クリスマス休暇前のポジション調整では高値圏のドルに利益確定売りの抵抗も入ったものの、先週末の土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は132円80~90銭付近で、前日同時刻比の前ニューヨーク終値比で約45銭の円安ドル高であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今日はクリスマスの振替休日で米国、英国、フランス、ドイツ、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、カナダ、ポーランド、スウェーデン、ノルウェー等の海外市場が休場で、今日は日本市場での値動きが世界FX市場に影響を与えやすくなっていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表もあり、11月の企業向けサービス価格指数の前年同月比は、前回の1.8%に対して市場予想通りの1.7%であった。

今朝9時の日本市場の開場時には、前述の米国市場トレンドの日米金利差拡大による円安ドル高の影響で、今日の日本市場の円の安値でドルの高値の132円87銭付近から始まったが、今朝9時55分の仲値決済では、日本の輸出企業のまとまったドル売り円買いの影響が海外市場の休場により大きく値動きに出ており、一方で輸入実需の円売りドル買いは主要取引先の米国等が休日中のために今日は需要が少なかったために、今朝10時前に一時132円32銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、今日の日本市場での円の高値でドルの安値からは、前述の日米金利差拡大予想によるドル買いと、今日の円の利益確定売りや持ち高調整等が入り、10時半頃には132円60銭付近に反発した。

また、今朝のニュースでは岸田文雄政権の世論調査での支持率が前回の37%から低下し、政権発足以来最低の35%を記録したが、為替市場での反応は一時的なものに留まった。

今朝は岸田文雄首相の講演発言機会もあり、「日本政府と日本銀行(日銀)のアコード(政策協定)の見直しについて言及するには時期尚早で、黒田東彦日銀総裁の任期終了予定の2023年4月8日までに、4月の時点で最もふさわしい(新しい)日銀総裁を選んだ上で、その総裁と共に、状況をしっかりと判断して物事を考えていく」と質疑応答に応えた。

また、先月の黒田総裁との会談時に、「政府と日銀が緊密に連携しつつ、経済と物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続的かつ安定的な実現を図っていくことで一致した」と言及し、「今月の日銀金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大した措置も、こうした政策運営の一環であり、現在の金融緩和の修正や出口といったものではなく、金融緩和の効果を円滑に普及させ、持続性を高めるための運用の見直し」であるとも説明していた。

今日は午後に日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁の発言もあり、経団連の審議員会の講演で、「20日に決めたイールドカーブ・コントロール (YCC) の運用見直しは、企業金融まで含めて、金融緩和の効果がより円滑に波及するようにするための措置」であるとした上で、「(大規模緩和金融政策の)出口の一歩ということでは全くない」と再び強調し、「金融緩和で企業が賃上げをしやすい環境整備が必要」とし、「バブル崩壊以降、長期にわたって続いた低インフレと低成長の流れを転換できるかの、重要な岐路に差し掛かっている」と語り、「金融緩和を維持していくことで、企業の前向きな取り組みを最大限、後押ししていく」と発言しており、市場では日銀が金利抑制の大規模緩和の金融政策転換により、来年は円高に転じるかもしれないという一部期待もあったために、今日の午後の日本市場では日米金利差拡大予想による円売りドル買いで再び円相場が下落した。

また、今日の午後15時15分には、日経平均株価が上昇し、26,405円87銭の前営業日比170円62銭高で大引けしたことから、低リスク通貨の円が売られた影響もあった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円71~73銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約19銭の円安ドル高になった。

今夜この後の欧米市場はクリスマスの振替休日等の休場で、欧米経済指標などの発表予定は特にないが、東西FXでも扱う海外FXでは日本からも世界市場時間のFX取引が可能であるため、今夜17時の東京終値後も日米金利差拡大予想による円売りドル買いが継続し、今夜19時台には133円台に達する、より大幅な円安ドル高になっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円6〜11銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約25銭の円安ユーロ高であった。

原因は、主要通貨のドルに対する日米金利差拡大予想の円安の影響がユーロにも波及したことに加え、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いと、今日の日本株上昇時のリスクオン市場で低リスク通貨の円が売られた際にはユーロも買われていた。

今日の英国経済誌のフィナンシャル・タイムズ (Financial Times) の記事で、欧州中央銀行( ECB) 理事会メンバーのオランダ中央銀行のクノット総裁が、2023年7月までの5回の理事会での0.5%の利上げ継続などの「かなりしっかりとしたペースの引き締めを、達成することになるだろう」と、来夏頃までに欧州政策金利がピークに達するという見通しを示しており、「我々は後半戦をスタートしたばかりだ」とタカ派の発言をしていたことから、欧州利上げ継続による日欧金利差拡大予想による一部の円売りユーロ買いもあった。

ただし、お互いに利上げ継続予想のユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0627〜1.0631ドル付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約0.02セントの横ばいレンジに近い僅差のユーロ高ドル安で、その後の今夜19時台には日米金利差拡大予想などによる円相場でのドル上昇に伴い、レンジに近い僅差でのユーロ安ドル高にも転じたが、20時台には再び0.01セントの僅差のユーロ高ドル安にも転じたり、今夜20時15分には前営業日比0.00セントの横ばいレンジ圏になっている。

英国ポンドは、17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は160円14〜20銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約25銭の円安ポンド高であった。

日米欧金利差拡大予想によるドルやユーロに対する今日の円安の影響は、同じく利上げを継続してきた英国ポンドに対しても波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年12月26日の日本時間(JST)20時15分(英国時間 (GMT) 11時15分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:15の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.60 〜 132.62 +0.65 (円安)
ユーロ/円 133.14 〜 133.16 +0.62 (円安)
ユーロ/ドル 1.0625 〜 1.0629 ±0.0000 (レンジ)
英ポンド/円 160.81 〜 160.87 +0.92 (円安)
スイスフラン/円 142.75 〜 142.81 +0.50 (円安)
豪ドル/円 89.47 〜 89.51 +0.23 (円安)


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