FXニュース:米FOMC議事要旨発表控え
2024年5月22日東西FXニュース – 2024年5月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRB高官タカ派発言続く
- 米追加利上げ警戒感は緩和
- 米主要株価三指数が堅調に
- 日経平均株価は大幅に下落
- 国内長期金利が一時1%超え
- 欧ECB総裁6月利下げ可能性
- 英インフレが市場予想以上
今日2024年5月22日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の156円14銭付近から、円の安値でドルの高値の156円47銭付近の値幅約33銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は156円39〜40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円20〜21銭付近の前東京終値比で約19銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場後半の昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円23銭付近であったが、昨夜22時頃に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事の発言があり、米国のインフレについて、「データが今後3〜5カ月間に渡り正しい方向に鈍化を続ける十分なデータを得られた場合には、我々は年内または来年初めの米国利下げを考えることができる。最新の4月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は米国のインフレが加速していないという良い兆候で、消費と労働市場データが米国インフレを抑制するための圧力を加えるという意味では、米国金融政策が適切に設定されていることを示唆していると、私には見受けられる」と発言した。
また、昨夜22時10分頃から米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁の発言は、米国インフレが更に今後も緩やかに鈍化するとの予想を示し、「今年10〜12月の第4四半期に米国利下げを開始できる可能性が高い」と発言していた。
米国政策金利が少なくとも今後3〜5カ月間は現在の高金利のままで維持されるという米国高金利長期化予想を継続させるタカ派発言が続いたことでは、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.43%台付近に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で昨夜22時2分頃に一時156円43銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、先日に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のミシェル・ボウマン理事が米国追加利上げの可能性について示唆したタカ派発言については、本来はタカ派と考えられており同調の市場予想があった前述のクリストファー・ウォラー理事は、講演後の質疑応答で「米国追加利上げは、恐らく不要だろう」と、やや意外性があるハト派寄りの発言もしていたことは話題になり、米国政策金利上昇への警戒感の緩和により、米国ニューヨーク株式市場で米国主要株価三指数が揃って上昇に向かった一方で、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が一時4.40%台付近に反落したため、債券利回りを受けた日米金利差トレードでは日米金利差縮小時の円買いドル売りで対ドルの円相場が一時反発し、昨夜23時55分頃に一時155円84 銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国政策金利の高金利維持の長期化により、高金利通貨のドルに対して低金利通貨の円が売られやすいという傾向が続くということは市場で意識されており、利益確定売りや持ち高調整でドルは円相場で反発したほか、前述の米国主要株価三指数の上昇を受けた米国株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円が売られていた。
深夜24時45分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のマイケル・バー副議長の発言もあり、「以前に考えられていたよりも長期間、金融引き締めを維持する必要がある」と米国高金利長期化予想を高めるタカ派寄りの発言であったことでは、ドルは円相場で再び156円台に戻していたが、連日で同様のタカ派発言が相次いだことでは市場予想では織り込み済みになってきていた。
また、同米国市場では翌市場にあたる今夜この後の米国市場では、4月30日~5月1日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の発表イベントを控えているため、米国市場では市場予想だけでなく様子見のドル円の持ち高調整も入り始めており、イベント前のイベントリスクによるドルのポジション調整と買い控えの抵抗が入り始めたことでは、円相場でのドルの買い戻し幅は限られていた。
米国ニューヨーク債券市場では、イベントリスク回避で安全資産の米国債も買われており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は終値時点でも4.409%付近と、前日比でやや低下していたことも、債券利回りを受けた日米金利差トレードに影響を与えていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の156円43銭付近から、円の高値でドルの安値の155円84銭付近の値幅約59銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は156円17銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円26銭と比べて約9銭の小幅な円高ドル安をつけていた。
今朝8時50分には日本の最新経済指標の4月の日本貿易統計が発表され、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は、通関ベースの季調前が前回の3665億円と前回修正の3870億円と市場予想の-3395億円に対し-4625億円2カ月ぶりの赤字で、赤字幅は前年同月比で7.6%増加し、市場予想よりも弱かった。ただし、季調済では、前回の-7015億円と前回修正の-6819億円と市場予想の-7340億円に対し-5608億円と、市場予想よりも強かった。
同時発表の3月の日本機械受注も、前月比が前回の7.7%と市場予想の-2.2%に対し2.9%と、前回よりは低下したものの市場予想よりは堅調で、前年同月比では前回の-1.8%と市場予想の1.4%を上回る2.7%に上昇していた。
早朝のアジア・オセアニア市場では、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルは円相場で前ニューヨーク終値レベル付近に戻す「往って来い」になっていたため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円27銭付近であったが、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ予想が燻っていた今日の東京株式市場では、朝から日経平均株価が大幅に下落して始まったことでは、国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しが入り、対ドル円相場は今朝9時41分頃に一時156円14銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、国内債券市場では、その日銀の追加利上げ予想の影響もあり、新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が一時1.000%超えに向けたおよそ11年ぶりの高水準への上昇を始めており、今朝の米国長期金利が米国市場の影響を受けたイベントリスクで一時低下していた時間には、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りに影響を及ぼしていた。
しかし、昨夜にも米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言が続いていた影響もあってドルは円相場で反発したほか、一時低下後の米国長期金利も午後に向けた反発と上昇を始めて低金利通貨の円を売って高金利通貨のドルを買う金利差トレードの影響が再び優勢になり、日本市場時間の午後には国内長期金利が今日の午後15時台の1.000%付近の終値に向かう一方で、米国長期金利は午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入後の一時4.449%付近に向けて更に上昇していたため、午後15時32分頃にドルは円相場で一時156円47銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
市場高値後のドルには、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨を公開するイベント前の利益確定売りや持ち高調整と様子見の抵抗も混ざったものの、米国長期金利は高止まりを見せるような推移を続けたため、日本市場の後も続く今夕の欧州英国市場では、日本市場でのドルの高値を円相場で再び更新する勢いがあったため、ドルの下値は堅かった。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円39〜40銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円20〜21銭付近の前東京終値比で約19銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定と米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨発表などがあり、日本時間の経済カレンダーのスケジュールは、今夜23時に4月の米国中古住宅販売件数、今夜23時30分に米国週間原油在庫、26時に米国20年債の入札予定、27時に市場注目度の高い4月30日~5月1日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨と議事録の公表予定のイベントを控えている。
また、決算報告シーズンの影響が続く米国株式市場では、今夜から明日早朝までの米国ニューヨーク株式市場の株引け後の時間になる予定であるが、今年のAIブームで話題性が高い半導体メーカーの米国エヌビディア (NVIDIA / NVDA) の決算報告などが予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円80〜85銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の169円70〜72銭付近と比べると約10銭の円安ユーロ高であったが、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、円高ユーロ安にも転じている。
主な要因は、日欧金利差トレードの影響はあるものの、昨夜に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁が、「入手するデータが、我々の目標、使命、義務である中期的に2%のインフレ目標を達成することへの確信度合いを強めるのであれば」、次回6月6日に予定されている欧州中央銀行 (ECB) 理事会で欧州利下げ転換への行動を起こす「可能性が高い」とハト派発言をしていたことでは、欧州ユーロは先述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言が相次いでいたドルに対して売られたため、他の主要通貨である円相場にも影響が波及してユーロの上値を抑えていた。
そのため、ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0856〜1.0860ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0863〜1.0865付近と比べると約0.07セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円29〜35銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の198円56〜62銭付近と比べると約73銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国インフレ指標の4月の英国消費者物価指数 (CPI) が、前月比は前回の0.6%と市場予想の0.2%に対し0.3%で、前年同月比は前回の3.2%と市場予想の2.1%に対し2.3%で、4月の英国消費者物価指数 (CPI) のコア指数も前年同月比が前回の4.2%と市場予想の3.6%に対し3.9%と、前回よりは鈍化したもののいずれも市場予想を上振れしており、想定よりも根強い英国インフレが意識された。
ただし、同時発表の4月小売物価指数 (RPI / Retail Price Index) は、前月比が前回と市場予想通りの0.5%の横ばいで、前年同月比も前回の4.3%に対し市場予想通りの3.3%であった。
なお、今日は、今朝11時にオセアニア市場のニュージーランド中央銀行のニュージーランド準備銀行 (RBNZ / Reserve Bank of New Zealand) が、ニュージーランドドルの新政策金利を、前回と市場予想一致の5.50%で据え置きする決定をしたことを発表した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月22日の日本時間(JST)19時42分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時42分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:42の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 156.42 〜 156.43 | +0.22 (円安) |
ユーロ/円 | 169.59 〜 169.60 | -0.11 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0841 〜 1.0842 | -0.0022 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.06 〜 199.12 | +0.50 (円安) |
スイスフラン/円 | 171.19 〜 171.25 | -0.36 (円高) |
豪ドル/円 | 104.26 〜 104.30 | +0.18 (円安) |
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