FXニュース:米雇用統計が市場予想上回る

2024年4月08日
FXニュース:米雇用統計が市場予想上回る

 

東西FXニュース – 2024年4月8日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米景気要因のインフレ圧意識
  • 米FRB高官達にタカ派発言も
  • 米長期金利上昇で日米金利差
  • 日米株価反発リスク選好市場
  • 日銀が指し値オペを3本通知
  • 152円手前の為替介入警戒感
  • 今週の米消費者物価指数控え

今日2024年4月8日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の151円67銭付近から、円の安値でドルの高値の151円88銭付近の値幅約21銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円86〜88銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円34〜36銭付近の前東京終値比で約52銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日の日本市場終了後の先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円37銭付近であったが、先週金曜日は21時30分に米国連邦準備制度理事会 (FRB/ Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国新政策金利や金融政策を決める上で重視している最新米国重要経済指標の3月の米国雇用統計の発表イベントを控えていたため、発表直前の先週金曜日21時29分頃にはイベントリスクにより一時151円27銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、先週金曜日21時30分に発表された3月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP/ Non-Farm Payrolls) の前月比が前回の27.5万人と市場予想の20.0万人を大きく上回る30.3万人と堅調で、3月の米国失業率も前回と市場予想の3.9%から3.8%に改善されていたため、発表の瞬間にドルは円相場で151円台前半から151円台後半に急騰した。

3月の米国雇用統計の中でも3月の米国平均時給は、前月比が前回の0.1%と前回修正の0.2%に対して市場予想通りの0.3%で、前年同月比では前回の4.3%に対し市場予想通りの4.1%にやや鈍化していたものの、市場予想通りまたは市場予想を上振れした強い3月米国雇用統計データと米国景気要因のインフレ圧を受けて、市場では米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今年の米国利下げ開始時期を先送りする可能性が意識されたため、米国政策金利の先高感から米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、先週金曜日の夜22時過ぎには一時4.40%台に乗せた日米金利差拡大により円売りドル買いが起きたほか、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても金利差トレードでドルが買われて上昇したため、先週金曜日22時12分頃にドルは円相場で一時151円75銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、151円台後半になり、米国市場の前日高値の151円77銭付近のレジスタンスラインが意識されたほか、152円台手前付近では日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感も高まり、週末を控えた早期の利益確定売りやポジション調整の抵抗も入り始めたことでは、対ドルの円相場は下げ止まった。

また、米国ニューヨーク債券市場でも、米国長期金利の上昇時には米国債の利回り上昇と共に米国債券価格が低下するため、最近の中東情勢への警戒感などもあり、世界的な安全資産でもある米国債のまとまった安値買いによる米国債券価格の反発上昇に伴う利回り一時低下の抵抗が入り、先週金曜日の23時台に米国長期金利は一時4.34%台に一時反落したことを受けては、円相場は先週金曜日の23時44分頃に一時151円44銭付近まで反発した。

しかし、前回の東西FXニュースでも予告していた通り、先週金曜日の夜には米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言があり、最近は利下げに慎重なタカ派発言が多数続いていた影響もあり、その後は米国長期金利が反発して再び4.40%台に向けて戻し始め、ドルも円相場で再び反発上昇を始めた。

先週金曜日の深夜24時0分頃からの米国ダラス連銀のローリー・ローガン総裁の発言は、今年1〜2月の米国インフレデータは予想外に上振れしたことを指摘し、「米国インフレの上振れリスクに対する懸念が高まっている」ことから、「米国の利下げについて検討するのは、時期尚早」としており、上昇後の現行の高金利による借入コストが、「以前に考えられていたほどの米国景気抑制効果は発揮していない可能性を示す兆候がある」ことも理由に挙げており、「主なリスクは、インフレ上昇というよりは、インフレ抑制が失速し、予想された軌道を辿ってタイムリーに目標の2%に戻らないことであり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) はインフレ率を目標の2%に戻すために行動する必要がある」と追加利上げを示唆するようなタカ派寄りの発言を混じえていた。

続いて、先週土曜日の午前1時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のミシェル・ボウマン理事のタカ派発言もあり、「米国のインフレ率が2%目標に向かって持続的に低下していることが今後のデータで引き続き示唆されれば、金融政策が過度に抑制的にならないよう米国政策金利を徐々に引き下げるのがいずれは適切になるだろう。しかし、米国政策金利を引き下げるのが適切な時期には、まだ至っていない。複数のインフレ上振れリスクが引き続き見られる」と、まだ米国の利下げを検討する時期ではないことを指摘したほか、可能性は低いとしながらも、「米国インフレ抑制の進展が停滞もしくは反転した場合には、今後の米国政策金利を追加利上げする必要が出てくる可能性はある」と、追加利上げの可能性がゼロではないことにも言及していた。質疑応答でも、「米国インフレ抑制に向けた大きな進展が見られていたが、最近のデータでは、進展が停滞している」と発言していた。

なお、先週末の米国市場からは翌週にあたる今週の4月10日の水曜日には、米国重要経済指標の中でも重要度の高い米国インフレ指標の最新米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントの予定も控えていることにも注目が集まり始めていたことでは、週末を控えた利益確定売りには持ち高調整買いも混ざっていた。

午前4時に発表された2月の米国消費者信用残高の前月比は、前回の195.0億ドルと前回修正の176.8億ドルと市場予想の150.0億ドルに対し141.3億ドルに低下した。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、イスラエル軍がガザ地区南部から一部部隊を撤収するというニュース報道で中東情勢警戒感がやや緩和され、前日の中東情勢緊迫化の時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では前日に下落していた米国主要株価三指数がこの日には回復し、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅高になったほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も前日比小幅高の終値に向けたため、前日の反動のリスク選好のリスクオン (Risk-on) では、再び安全資産の米国債が売られて米国長期金利が再上昇し、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言の影響もあり、米国ニューヨーク債券市場の終値時点では米国長期金利は4.402%台であったため、低リスク通貨の円も日米金利差再拡大や週末を控えた利益確定や持ち高調整で売られ、ドル円は151円62銭付近のニューヨーク終値に向かった。

このため、先週金曜日の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円27銭付近から、円の安値でドルの高値の151円75銭付近の値幅約48銭で、先週末の土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は151円62銭付近と、前営業日の前ニューヨーク終値の151円34銭付近と比較すると、約28銭の円安ドル高をつけていた。

週が明けて月曜日になり、今朝8時30分には日本の最新経済指標の発表があり、2月の日本毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は、前回の2.0%に対し市場予想通りの1.8%であった。今年の春闘賃上げ交渉前の日本の賃金鈍化は市場の想定通りであった。

8時50分には2月の日本の国際収支が発表され、季調前の2月の国際収支の経常収支は前回の4382億円と前回修正の4570億円と市場予想の3兆1125億円に対し2兆6442億円と前回よりは増加したものの市場予想を下回り、季調済の2月の国際収支の経常収支は前回の2兆7275億円と前回修正の2兆7463億円と市場予想の1兆9950億円を下回る1兆3686億円で、2月の国際収支の貿易収支は、前回の-1兆4427億円と市場予想の-1927億円に対し-2809億円と、前回よりは大幅に改善したものの、更なる改善を想定していた市場予想には届かなかった。

今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円68銭付近で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時151円67銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、その後には先週末の強い米国経済指標の米国雇用統計や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言を受けて、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が今朝から一時4.42%台に乗せて更に上昇トレンドであったため、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で上昇した。

また、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いに続いて、日本銀行 (日銀 / BoJ) が、マイナス金利解除後にも前回と同じ買い入れ規模で日本国債の金利抑制のための公開市場操作の国債買い入れオペの指し値オペを複数通知したため、今朝10時22分頃にはドルは円相場で一時151円82銭付近に上昇していた。

イスラエル軍のガザからの一部撤退の中東情勢の緊迫感がやや緩和したニュースを受けて、日本市場の主要取引先でもある米国市場で先週末の米国主要株価三指数が揃って上昇して終値をつけていた影響もあり、今日の日本の東京株式市場でも日経平均株価が大幅に反発上昇したことでも、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られて、ドルだけでなく欧州ユーロなども買われた影響が円相場に波及した。

午後15時台に今日の日経平均株価は、3万9347円4銭の終値をつけ、前営業日比354円96銭高の大幅高で大引けした。

午後からの欧州英国市場の参入でも、米国長期金利が夕方には一時4.45%台に向けて大きく上昇していたため、日米金利差拡大による円売りドル買いの影響が続き、今夜17時の東京終値に向けた値動きの中で瞬時記録した一時151円88銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値になったが、その後の今夜18時0〜2分頃の英国ロンドン外国為替市場ではドルは円相場で一時151円92銭付近の数分間の高止まり天井を見せたほか、今夜18時28分頃にも同価格のダブルトップ (Double Top) の毛抜き天井を叩いている。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円86〜88銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の151円34〜36銭付近の前東京終値比では約52銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、先週末のイベント後であるために、特に重要度が高い最新米国重要経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言予定はないが、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今週水曜日の最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) 発表予定などの次のイベントが注目されている。また、米国株式市場でも、今週金曜日にJPモルガンチェースやシティグループなどの大手米国金融系の決算報告予定もあることには注意が必要である。

一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円50~51銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の164円2~4銭付近の前東京終値比で約48銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、今日の日経平均株価の大幅な反発上昇を受けたリスク選好市場では、低リスク通貨の円が売られて、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどが買われていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0830〜1.0832ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0838〜1.0840ドル付近の前東京終値比では約0.08セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、堅調な米国雇用統計や経済指標を受けたインフレ圧による欧米金利差や、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会に対する米国利下げ時期に関する市場予想も影響を与えていた。

なお、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の2月の独鉱工業生産は、前月比が前回の1.0%と前回修正の1.3%と市場予想の0.3%を上回る2.1%で、前年同月比も前回の-5.5%と前回修正の-5.3%と市場予想の-6.7%よりも改善された-4.9%であったが、同時発表の2月の独貿易収支は前回の275億ユーロと前回修正の276億ユーロと市場予想の255億ユーロ以下の214億ユーロであった。

前述の英国ポンドも、欧州ユーロ同様にリスクオンや金利差で低リスク通貨の円から買われた影響があり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円74〜80銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の191円8〜14銭付近の前東京終値比では約66銭の円安ポンド高であった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月8日の日本時間(JST)19時45分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時45分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:45の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.84 〜 151.85 +0.50 (円安)
ユーロ/円 164.47 〜 164.49 +0.45 (円安)
ユーロ/ドル 1.0830 〜 1.0832 -0.0008 (ドル高)
英ポンド/円 191.80 〜 191.86 +0.72 (円安)
スイスフラン/円 167.66 〜 167.72 +0.31 (円安)
豪ドル/円 100.05 〜 100.09 +0.47 (円安)


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