FXニュース:米卸売物価指数が予想上振れ

2024年3月15日
FXニュース:米卸売物価指数が予想上振れ

 

東西FXニュース – 2024年3月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 前週米雇用指標も予想比堅調
  • 米利下げ予想時期が更に後退
  • 米長期金利上昇で金利差拡大
  • 日銀の早期修正期待報道続く
  • 春闘第1回集計賃上げ5.28%
  • 来週の日米金融政策会合控え

今日2024年3月15日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の148円66銭付近から、円の高値でドルの安値の148円3銭付近の値幅約63銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は148円58~59銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円84~85銭付近の前東京終値比で約74銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間で昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時147円70銭付近であったが、昨夜22時30分に複数が同時発表された最新米国経済指標の中でも、米国のインフレ関連の指標で市場の注目度が高かった2月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) が、前月比は前回と市場予想の0.3%を上回る0.6%で、前年同月比も前回の0.9%と前回修正の1.0%と市場予想の1.1%を上回る1.6%であったことから、円や主要通貨に対してドルが買われて上昇した。

2月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) から食品とエネルギーを除いて物価基調を見る米国PPIコア指数は、前回の0.5%と市場予想の0.2%に対して0.3%と、前回よりは鈍化したものの、市場予想ほどのインフレ鈍化の「確信」は見せず、前年同月比では市場予想の1.9%を上回る前回と横ばいの2.0%と、米国の根強いインフレを示し、先日にも市場予想を上回る米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の最新データが発表された後であったため、市場では米国の根強いインフレ・データを受けて、来週に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えている米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の早期の米国利下げ時期の市場予想がさらに後退したほか、夏から今年後期にずれ込むなど、米国の高金利の据え置きが長期化する可能性が指摘されたことから、米国長期金利の上昇を伴う日米金利差拡大による円売りドル買いや、主要通貨に対するドル買いの影響で、ドルは円相場で発表後には148円台方向へと上昇を始めた。

同時発表だった最新米国重要経済指標の2月小売売上高は、前月比が前回の-0.8%と-1.1%と市場予想の0.8%に対し0.6%と市場予想以下であったことは一時抵抗要因となったが、市場予想ほどではなかったものの、前回のマイナス圏からプラス圏に改善されていたことは、根強いインフレの中でも、米国の個人消費の底堅さが好感されていた。

同じく発表された前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の21.7万件と前回修正の21.0万件と市場予想の21.8万件に対し20.9万件に改善されたことや、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の190.6万人と前回修正の179.4万人と市場予想の190.0万人に対し181.1万人と市場予想より堅調で強い米国雇用指標となり、発表後のドルは米国長期金利の上昇に伴い円相場で昨夜22時9分頃から148円台に乗せ始めた。

ただし、昨夜22時20分頃には、日本の時事通信社 (Jiji Press) が、「日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が、来週の3月18〜19日に開く日銀金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で調整に入った」というニュース報道をしたことが話題になり、先日から続いていた日銀の早期のマイナス金利解除圧報道が再び意識されたことでは、円買いドル売りの抵抗が入り、ドルは円相場で一時147円43銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、市場では先日から連日で織り込み済みの部分もあったため、日本の場合はマイナス金利解除でも緩和的な金融政策で超小幅利上げ幅や欧米と比較して低金利の市場予想も出ており、大きなサプライズにはならなかったことでは一時的な抵抗に留まった。

その一方で、米国ニューヨーク債券市場では、米国インフレ指標を受けた米国政策金利の先高感等により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が大幅な上昇を続けて一時4.30%台に乗せたため、日米金利差拡大による円売りドル買いと、欧州ユーロなどの主要通貨に対しても金利差トレードでドルが買われて上昇した影響の波及で、午前3時30分頃にドルは円相場で一時148円36銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

欧州ユーロや英国ポンドなど、日本よりも金利が高い主要通貨を含めた主要通貨全般に対するドルの値動きを示したドルインデックス (ドル指数) も、一時103.40付近に上昇しており、一時はドル全面高方向になっていた影響も円相場に波及していた。

しかし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が持続的な2%の目標に向けた米国インフレ抑制に確信が持てない場合には、米国利下げ開始時期が今年11月などに更に遅れて米国の高金利が長期化する可能性への高金利警戒感などから、企業への貸付ローン金利や消費者ローン金利が持ち株企業の今後の決算利益等に影響を与える警戒感も出て、米国主要株価三指数が揃って下落し、ナズダック総合 (NASDAQ Composite) とS&P500種 (Standard and Poor’s 500) は前日比で小幅安であったものの、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は前日比で大幅安の終値に向かったため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円が買われる抵抗もやや混ざり、米国10年債の利回りも一時4.302%付近をピークに4.292%に戻してニューヨーク債券市場の終値を迎えた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円43銭付近から、円の安値でドルの高値の148円36銭付近の値幅約93銭で、米国夏時間になり日本時間で今朝6時頃になったニューヨーク終値は148円33銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円76銭付近と比べて約57銭の円安ドル高をつけていた。

続いて、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドルの円相場の始値は一時148円30銭付近であったが、昨夜の米国インフレ指標の発表後のトレンドの影響を受けた日米金利差拡大による円売りドル買いが先行した。

また、今日は日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日(ごとおび / ゴトーび)」であることに加えて、来週の日米の金融政策決定会合のイベント週の五十日の前倒し分もあり、今朝の仲値決済でも円売りドル買いが優勢であった。

今日の日本市場の時間外の米国債券取引で一時4.28%台に一時低下した米国長期金利が、再び4.29%台に上昇した債券利回りの日米金利差拡大の影響もあり、今朝11時16分頃に、ドルは円相場で一時148円66銭付近の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今日は今年2024年の春闘の春季労使交渉の第1回集計結果発表予定を控えていたため、先日も日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が、日銀のマイナス金利解除などの金融正常化に向けて、賃金上昇を伴う2%のインフレ目標の達成が、「大きなポイントとなる」と話していたことも意識されており、市場では早期の利益確定や持ち高調整と様子見の値動きが円相場の抵抗要因となった。

今日の東京株式市場でも、今朝までの米国主要株価三指数下落の影響もあり、日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が下落し、午後15時台に3万8707円64銭で終値をつけ、前日比99円74銭安で大引けしたため、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフでも、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻されて、円相場が反発した。

今日の夕方16時前頃から、連合発表の今年2024年の春闘 (春季労使交渉)の第1回集計結果の中間集計結果のニュースが話題になり、基本給を底上げするベースアップ(ベア / Base up)の1.37ポイント増加した3.70%と定期昇給分を合算した今年の平均賃上げ率は、前年同期比で1.48ポイント増加した5.28%と、1991年の5.66%以来、33年ぶりに5%を超えたことで、日銀の早期のマイナス金利解除予想が高まり、ドルや主要通貨に対して円相場が上昇し、16時5分頃に対ドルの円相場一時148円3銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、夕方には英国ロンドン外国為替市場の参入があり、日本の大企業の賃金動向や日銀のマイナス金利解除予想は市場では既に連日の観測報道である程度は市場で既に織り込まれていたこともあり、一時4.27%台に低下後の米国長期金利が再び一時4.29%台に上昇した債券利回りの実質的な日米金利差拡大の影響もあり、日本市場の高値後の円の利益確定売りと、再び主要通貨に対するドル買いが再開してドルは円相場で反発上昇し、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時35分頃には一時148円83銭付近に上昇する途中で、今夜17時の日本市場の東京終値を迎えた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円58~59銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円84~85銭付近の前東京終値比では約74銭の円安ドル高になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に 3月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数と2月の米国輸入物価指数と米国輸出物価指数、22時15分に2月の米国鉱工業生産と米国設備稼働率、23時に3月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表される予定である。また、週末や来週の日米イベントを控えた持ち高調整の影響などにも注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円67~68銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円69~70銭付近の前東京終値比では約2銭の小幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨夕に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 関係者のギリシャ中銀のストゥルナラス総裁のハト派発言があったほか、オランダ中銀のクノット総裁も、最初の欧州利下げが6月になるという自身の考えを示したことで、米国のインフレ指標を受けた米国長期金利上昇により欧州ユーロが売られた影響も、円相場に波及したほか、今日の夕方の春闘第1回集計賃上げ5.28%報道を受けた円買いで、ドルは買い戻されたものの、欧州ユーロは円相場で小幅安の終値をつけた。

ただし、欧州中央銀行 (ECB) のレーン専務理事は、米国CNBCテレビのインタビューで、「制約的な方針からの巻き戻しは、時間をかけて進める必要がある」と、やや慎重な姿勢を示していたことなどでは、欧州ユーロ買いの抵抗もあり、小幅域に留まった。

また、今日の午後16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の2月の仏消費者物価指数 (CPI) 改定値も、前月比が前回と市場予想の0.8%を上回る0.9%で、前年同月比も前回と市場予想の2.9%以上の3.0%に上方修正されたことでは、欧州インフレの根強さも意識されたため、東京終値後の今夜18時台には円安ユーロ高に市場反転も見せている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0880〜1.0881ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0935〜1.0937ドル付近の前東京終値比で約0.55セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、先述の米国インフレ指標を受けた米国長期金利の上昇による、欧州ユーロなどの主要通貨に対するドル買いの影響が大きかった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円27〜33銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の189円27〜33銭付近の前東京終値比と同じ横ばいレンジであった。

主な要因は、今日の夕方の春闘第1回集計賃上げ5.28%報道を受けた円買いの影響があったが、実質的な債券利回りなどの日英金利差の影響やドルなどの主要通貨に対する円安の影響の波及もあり、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、円安ポンド高に転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月15日の日本時間(JST)20時49分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時49分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今月末の3月31日からであるが、米国市場では先週末に米国冬時間が終了し、今週から米国夏時間 (EDT / JST-13) で日本市場や英国市場との時差が1時間変わったことには注意が必要である。)

通貨ペア JST 20:49の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 148.59 〜 148.60 +0.75 (円安)
ユーロ/円 161.90 〜 161.92 +0.21 (円安)
ユーロ/ドル 1.0895 〜 1.0896 -0.0040 (ドル高)
英ポンド/円 189.56 〜 189.62 +0.29 (円安)
スイスフラン/円 168.45 〜 168.51 +0.49 (円安)
豪ドル/円 97.64 〜 97.68 -0.21 (円高)


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