FXニュース:日銀マイナス金利解除期待圧

2024年3月07日
FXニュース:日銀マイナス金利解除期待圧

 

東西FXニュース – 2024年3月7日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB議長年内利下げに言及
  • 米利下げ前の慎重姿勢は継続
  • 米ADP雇用者数が予想下振れ
  • 米雇用動態調査求人数も減少
  • 日経平均株価金利警戒大幅安
  • 日米国債利回りの金利差縮小
  • 今夜の欧ECB新政策金利発表

今日2024年3月7日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の149円26銭付近から、円の高値でドルの安値の147円93銭付近の値幅約1円33銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円93銭~148円0銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円55~56銭付近の前東京終値比で約1円62銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、今週の欧米のイベントを控えていた昨夕の英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.17%台に上昇後には世界的な安全資産でもある米国債買いの影響で、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で低下を続けていたものの、まだ4.14%台付近で推移していた昨夜22時頃に始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、一時149円63銭付近の始値であった。

同米国市場では、この後の昨夜深夜頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の2日間に渡る米国議会証言での要人発言イベント初日の予定を控えていたこともあり、様子見でやや小動きな市場の値動きのではあったものの、昨夜22時15分に発表された最新米国重要経済指標の2月の米国ADP (Automatic Data Processing / 世界最大規模の給与計算代行会社の米国オートマティック・データ・プロセッシングの略称) 雇用統計の前月比が、前回の10.7万人と前回修正の11.1万人と市場予想の15.0万人に対し14.0万人と、前回よりは増加したものの、市場予想を下回ったことを受けては、低リスク通貨の円に対して明日の米国雇用統計発表前のイベントリスクもあるドルが売られ始めた。

ただし、昨夜22時30分には米国の近隣国の北米カナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) の新政策金利発表を昨夜23時45分後に控えていたカナダの昨年10〜12月の前四半期労働生産性指数の前期比が前回マイナス圏だった-0.8%と市場予想の0.2%を上回るプラス圏の0.4%であったことを受けては、米国のADPも市場予想以下であったものの前回よりも増加していたことが意識されてドルの買い戻しに抵抗も入り、昨夜22時33分頃に米国長期金利が一時4.15%手前付近に再上昇し、日米金利差拡大を受けた為替トレードでは、ドルは円相場で一時149円70銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、イベントリスクもあり、早期の利益確定や持ち高調整が入ったことでは、すぐに反落した。

なお、昨夜23時45分にカナダ銀行 (BoC) は、カナダの新政策金利を5.00%の高金利で現状据え置きを決定し、近隣国である米国政策金利の市場予想にも影響を与え、高金利で据え置きされる可能性が改めて意識されてややドルの買い戻しも入って円相場で上昇した一方で、産油国通貨でもあるカナダドルが世界的に流動性の高いドルに対して買われた影響の波及では、円相場ではドル下落圧になったことでは横ばいに近い抵抗も混ざった。

明日の夜の米国雇用統計を控えた米国市場では、深夜24時に同時発表された最新米国経済指標の中でも米国雇用市場関連の1月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が前回の902.6万件と前回修正の888.9万件と市場予想の890.0万件を下回る886.3万件であったことや、1月の米国卸売売上高の前月比が前回の0.7%と前回修正の0.3%と市場予想の0.5%に対し-1.7%に低下したことでもドル売りの反応を示し始めていたが、深夜24時頃からは、市場がより注目していたイベントの米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の要人発言が始まったことで、市場の反応は半期に一度の二日間に渡る議長の米国議会証言の初日の冒頭に移っていった。

パウエル議長は、米国下院金融サービス委員会での冒頭の挨拶で、米国のインフレが目標の2%にはまだ達していないというこというデータ重視姿勢からは、米国の利下げ転換前の慎重な姿勢を引き続き強調しており、米国の利下げ転換をする以前に、「インフレに関するさらなる確信が必要」と、当面はデータ重視で従来通りの中道の姿勢を示していた時には、ドルが買われて一時149円64銭付近まで反発した。

しかし、インフレデータやこれまでの堅調な米国雇用市場のデータによる米国のインフレ圧を踏まえて、「今年の米国利下げ開始時期やペースは、今後のデータ次第」であり、「慎重かつ思慮深く、米国利下げ転換時期の決定を下すべき」とした一方で、選挙区民達から高金利によるカードローン負債などの苦情の数々を受けていることを主張して選挙票の獲得や支持を狙う議員達による質疑応答に対し、「年内のいずれかの時点で、米国利下げが適切になる可能性が高い」との考えも示していたことでは、長時間に渡る質疑応答では、利下げを求める市民の声が多いことなどの主張や要求圧が強く、やや配慮した回答などもあったため、特にタカ派姿勢による市場サプライズもなかったこともあり、利下げが早すぎるリスクに対して遅すぎるリスクとのリスクバランスにも言及され、遅かれ早かれ今年の年内の米国利下げ開始予想により、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が更に低下を続け、午前2時過ぎに一時4.09%台にまで低下したため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りや、主要通貨に対するドル売りが進んだことで、午前2時2分頃にドルは円相場で一時149円9銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、同じ午前2時過ぎ頃には、英国ロンドン外国為替市場終了直後のユーロドルも、一時1.0915ドル付近と1月24日以来のユーロ高ドル安を記録していたほか、主要通貨全般に対するドルの値動きのドルインデックスも一時103.20付近と2月2日以来の安値を記録した影響も、一部報道を受けて日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) のマイナス金利解除期待圧が高まっていた円相場にドル下落圧として波及していた。

ただし、世界的に流動性が高いドルは、市場安値からのショートカバーなどの買い戻しも入り始めたほか、今年の米国金利警戒感の緩和からは、米国主要株価三指数が上昇したため、安全資産の米国債の価格上昇後の利益確定売りで米国長期金利が一時4.11%台に反発し、市場高値後の低リスク通貨の円にも、米国株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の利益確定売りも相まって抵抗が入り始めたことからは、ドルは円相場で反発した。

午前4時には、最新の米国地区連銀経済報告のベージュブックが発表され、今回は、12地区連銀が2月26日までに集めたデータを基に米国サンフランシスコ連銀がまとめ、「1月初旬以降、米国の経済活動は均衡を改善し、わずかに増加した。8つの地区が若干から緩慢な経済活動の伸びを報告したほか、3つの地区が変化なし、1地区がわずかな軟化を報告した」とあり、米国景気を背景としたインフレ警戒感を意識させる一方で、「消費支出、特に小売商品への支出は、ここ数週間に若干減少した。消費者は価格の変更に一段と敏感になっており、企業はコストの上昇分を価格転嫁するのが、より困難になったと感じている」ことや、メーカーや建設会社が扱う原材料の費用はこの数週間で多く下落したとことも指摘しており、モノの物価高が沈静化しつつあり、賃金インフレなどに関しても、米国の雇用は大半の地区で引き続き増加したものの、増加ペースは緩慢だった点も指摘し、「全般的に、米国労働市場の逼迫感はさらに緩和した。ほぼ全ての地区が労働力確保と従業員の引き留めに一定の改善があったと述べた」と、賃金インフレの上昇圧はやや緩和しているという複数の報告もあったが、米国景気を背景とした根強いサービスインフレや住宅インフレなどの他の要素もある点からは、ドルの買い戻しが続き、発表後の午前4時12分頃にはドルは円相場で一時149円47銭付近まで反発して、下げ幅を縮めていた。

ただし、同米国市場の翌市場にあたる今夜この後にも、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国議会証言の二日目や最新米国経済指標発表予定や、明日の米国雇用統計発表イベントなどを控えていることもあり、早期の利益確定と持ち高調整やイベントリスクの様子見の買い控えなどはドルの上値を抑えた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円70銭付近から、円の高値でドルの安値の149円9銭付近の値幅約61銭で、今朝7時前頃のニューヨーク終値は149円38銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円5銭付近と比べると約67銭の円高ドル安をつけていた。

今朝8時30分には、日本の最新経済指標の発表があり、1月の日本の実質賃金上昇率は-0.6%と22カ月連続でマイナスを記録したものの、1月の日本の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は、前回の1.0%と前回修正の0.8%と市場予想の1.2%を上回る2.0%に上昇し、市場予想を上回っていたことからは、日本銀行 (日銀 / BoJ) が今年の春闘での賃上げ状況次第では、早期のマイナス金利解除に向かうという市場予想が、昨日にも一部報道を受けて高ぶっていた影響もあり、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、円売りドル買いが先行し、今朝9時頃の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値の一時149円26銭付近が、今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、その後には対ドルの円相場が上昇を続けた。

また、今朝の日本市場の債券市場では今日は30年債の入札を控えていたことや、今朝までの米国長期金利の低下の一方で、国内長期金利は一部報道を受けた日銀マイナス金利解除期待圧もあり上昇したため、日米の国債や長期債の債券利回りを受けた日米金利差縮小も、今日の日本市場時間の円買いドル売りの要因となった。

今朝のニュースでは、3月18~19日の次回の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合を控えた市場に向けて、ブルームバーグ通信 (Bloomberg) も、「一部の日本政府の関係者が、3月か4月の日銀金融政策決定会合で、マイナス金利を解除することへの容認姿勢を示している」と報じたことも市場予想に影響を与えた。

今日の日本市場の午前中の国内ニュースでも、日銀 (BoJ) の中川順子審議委員が、島根県の金融経済懇談会にて、日銀の2%の物価安定目標の実現に、「着実に歩を進めている」と発言していた報道を受けて、市場では日銀のマイナス解除圧を高める報道が相次いだことを受け、日米金利差縮小予想の円売りドル買いも続いたことで、対ドルの円相場はストップロスも引っ掛けながら148円台へと大幅に上昇した。

今日の東京株式市場では、日銀のマイナス金利解除期待圧の報道の高まりや、国内債券利回りを受けた日本の国内金利上昇への警戒感などから日経平均株価 (Nikkei Stock Average / Nikkei 225 / JP 225) が日本市場時間にも大幅な反落に向かったほか、午後から参入した海外投資家達も、以前の円安時に買った日本株を、今日の円高と株価反落を受けて利益確定売りし始めたため、今日の日経平均株価は大幅に下落し、午後15時台に3万9598円71銭の終値と、前日比で492円7銭安の大幅安になったことでも、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われて、主要通貨に対して円相場が上昇した。

午後15時過ぎから、参院予算委員会における日銀 (BoJ) の植田和男総裁の発言もあり、「賃金物価の好循環の強まりを確認できれば、大規模緩和策の修正を検討」と発言したことでも、日銀のマイナス金利解除期待圧が高まり、円買いドル売りが続いた。

また、今年の春闘の賃上げ要求が、昨年の平均4.49%に対し平均5.85%に上昇したと連合が明らかにしたというニュースも伝わり、日銀の早期のマイナス金利解除期待圧が高まり、午後からの欧州英国市場参入前や参入時には米国長期金利が一時4.12〜4.11%台の時間があったにも関わらず、日本の国債利回り上昇による日米金利差縮小の影響もあり、夕方17時頃の日本市場の東京終値直前の17時0分の値動き中に、ドルは円相場で瞬時147円93銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円93銭~148円0銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円55~56銭付近の前東京終値比で約1円62銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長と高官の発言予定などが続き、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に2月の米国チャレンジャー人員削減数、今夜22時30分に昨年10〜12月の前四半期の米国非農業部門労働生産性と米国単位労働費用の確報値と、前週分の米国新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数と、1月の米国貿易収支が同時発表され、深夜24時頃からは昨日の初日も数時間に及ぶライブ中継があったパウエル議長の議会証言の2日目が上院銀行委員会で行われ、25時30分頃から次回のFOMC投票権を持つ米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定、29時に1月の米国消費者信用残高が発表される予定である。

また、米国市場では、明日金曜日の米国雇用統計の発表予定も注目のイベントである。

一方で、欧州ユーロも、今夜この後の22時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の新欧州政策金利発表予定や、今夜22時45分頃からラガルド総裁の要人発言予定のビッグイベントを控えていることには注意が必要である。

今日は欧州ユーロも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円18~19銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円41~43付近の前東京終値比では約1円23銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述の通り、今夜の欧州中央銀行 (ECB) 定例理事会のイベントを控えたイベントリスク回避の影響に加えて、対ドルでも大幅高となった今日の日銀マイナス金利解除期待圧による主要通貨に対する円買いや、日経平均株価低下時の低リスク通貨の円買いと欧州ユーロ売りがユーロ円の為替相場にも影響を与えていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0893〜1.0895ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0858〜1.0860ドル付近の前東京終値比で約0.35セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、欧米共にイベントリスクがある中でも、先述の昨夜の米国長期金利の大幅な低下を受けた主要通貨に対するドル売りの影響で、ユーロドルで欧州ユーロが上昇したほか、他の主要通貨である円相場に対する基軸通貨のドルの下落圧も、ユーロドルに波及した。

一方で、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の1月の独製造業新規受注は、前月比が前回のプラス圏だった8.9%と前回修正の12.0%と市場予想の-6.0%を下回るマイナス圏の-11.3%に低下し、前年同月比も前回の2.7%と前回修正6.6%に対し市場予想通りの-6.0%に悪化した欧州景気懸念からは、欧州にも年内利下げ予想が出ていることでは、ユーロドルは対円よりも比較的小幅域な推移になった。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円45〜51銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の190円11〜17銭銭付近の前東京終値比で約1円66銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも、今日の日銀マイナス金利解除期待圧の報道を受けた市場予想や、今日の日経平均株価の大幅下落や国内長期金利上昇などを受けた主要通貨に対する低リスク通貨の円買いの影響が波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月7日の日本時間(JST)20時51分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時51分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:51の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.84 〜 147.86 -1.71 (円高)
ユーロ/円 161.07 〜 161.08 -1.34 (円高)
ユーロ/ドル 1.0893 〜 1.0895 +0.0035 (ドル安)
英ポンド/円 188.55 〜 188.61 -1.56 (円高)
スイスフラン/円 168.11 〜 168.17 -1.01 (円高)
豪ドル/円 97.63 〜 97.67 +0.18 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。