FXニュース:日銀意見で早期修正予想後退

2023年12月27日
FXニュース:日銀意見で早期修正予想後退

 

東西FXニュース – 2023年12月27日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米住宅価格指数市場予想以下
  • 連休明けの米株価指数が上昇
  • 日経平均株価続伸リスクオン
  • 日銀の国債買入れ予定の減額
  • 米早期利下げ予想でユーロ高

今日2023年12月27日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の142円85銭前後から円の高値でドルの安値の142円43銭前後の値幅約42銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円69~71銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円31~32銭付近の前東京終値比で約38銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因は、欧米のクリスマス・ホリデー明けや日本の年末調整期などで市場流動性が減少する中で、今朝発表された日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合の「主な意見」で、マイナス金利解除などの大規模緩和金融政策の修正を急がない姿勢が見られたが原因で、来年早期の日銀修正期待が減退し、今日の日本市場で円が売られた値動きの影響が大きかった。

時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析ではまず、昨夜の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場はクリスマス翌日のボクシングデー (Boxing Day) の大型連休で休場であったが、昨夜22時頃からクリスマス明けの米国ニューヨーク外国為替市場では対ドル円相場は一時142円37銭付近で始値をつけていたが、米国のクリスマス連休前の先週末の米国経済指標を受けた来年早期の米国利下げ予想によるドル売りが先行し、昨夜22時24分頃にドルは円相場で一時142円24銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、連休明けの米国ニューヨーク株式市場では、金利警戒感の緩和や年末調整などから米国主要株価三指数が上昇し、リスクオン (リスク選好 / Risk-on) 市場で安全資産の米国債が売られた影響で、債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜22時頃の3.89%台から昨夜23時頃には3.91%台に上昇していたため、日米金利差拡大時の円売りのドル買い戻しに加えて、企業ローン金利の影響を受けやすい米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が大幅高に向かったため、低リスク通貨の円売りが起き、ドルは円相場で反発した。

ただし、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の10月の米国住宅価格指数の前月比が前回の0.6%と前回上方修正の0.7%と市場予想の0.5%を下回る0.3%で、同時発表だった10月の米国ケース・シラー住宅価格指数の前年同月比も前回の3.9%と市場予想の5.0%に対し4.9%と、前回ほどではないものの市場予想以下であったことから、想定よりも米国の住宅インフレ鈍化したことを受けた市場では、来年早期の3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国政策金利の利下げを開始するという市場予想が優勢さを保ち、市場予想値で有名なフェドウォッチ (CME FedWatch Tool) では、今日も0.25%の小幅利下げ予想が73.5%で、0.50%の大幅利下げ予想が12.0%、金利据え置き予想が14.5%の割合で、市場で確定値と考えられている70%を超える来年2024年3月の早期の米国利下げ予想により、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の利下げ開始の方が遅れるという市場予想により欧州ユーロに対しドルが売られた影響の波及があり、円相場のドル買いには抵抗も混ざったが、日欧金利差予想により対円でも欧州ユーロが上昇し円相場が下落したため、対ドル円相場の値動きへの波及は限られていた。

また、午前3時には米国2年債の入札があり、米国2年債の利回りはこの日の上昇幅を縮めたものの、前営業日の終値を上回って推移しており、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りも3.9%台であったことから、日米金利差拡大による低リスク通貨の円売りドル買いで円相場ではドルが上昇し、午前3時2分頃にドル円は一時142円63銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、安全資産の米国債売りにより米国債券価格が低下すると、年末調整前に今年のトレード成績を上げておきたい投資系などから短期の利益確定目的の安値の米国債買いが入り、米国長期金利が3.91%台のピーク後に一時3.88%台付近に低下すると、日米金利差縮小時の円買いドル売りに抵抗も入ったが、米国債価格の反発後には市場終盤には目的の短期の利益確定売りが入ったため、再び米国長期金利が3.90%台に反発すると、対ドルの円相場の反発域も限られた。

また、米国主要株価三指数も、前述の米国ダウ工業株30種が大幅高のまま終値をつけたほか、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) とナズダック (NASDAQ Composite) も軒並み揃って上昇して終値を迎えていたことも、安全資産の米国債や低リスク通貨の円売りの一因となっていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の142円24銭前後から円の安値でドルの高値の142円63銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値を142円40銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約5銭の小幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝には連休明けのオセアニア市場が世界FX市場に参入していたが、今朝8時50分に先述の日本銀行 (日銀 / BoJ) が12月18〜19日開催分の前回の日銀金融政策決定会合の「主な意見」を公開し、日銀が大規模緩和金融政策を継続する必要性が指摘される中で、2%物価目標実現への確度が高まってきているとして「金融正常化のタイミングは近づいている」とする意見が出た半面で、早期の政策修正には慎重な意見も多く、「慌てて利上げしないとビハインド・ザ・カーブ (Behind the curve) になってしまう状況にはなく、少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」と、来年の金融修正を急がない姿勢が示されたことなどを受けて、来年早期の日銀修正期待が後退し、ドルや欧州ユーロなどの主要通貨に対して円相場が急落を始めた。

そのため、今朝9時頃から今日の日本の東京外国為替市場が始まり、対ドル円相場は9時頃には一時142円49銭付近の始値であったが、日銀意見を受けた円相場の急落により、今朝9時25分頃にはドルは円相場で一時142円85銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、日本市場でも来年早期の米国利下げ予想が優勢だった影響があり、今朝9時台に3.90%台だった米国長期金利が、今日の日本市場の時間外の米国債券市場で昼頃の一時3.87%付近に向けて低下したことでは、日米金利差縮小時の円の買い戻しも入り、昼の12時28分頃に対ドル円相場が反発し、一時142円43銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、来年のマイナス金利解除による日本の金利上昇への警戒感の緩和や、日本企業の主要取引先の米国株価上昇の影響と、日本企業のコーポレートガバナンス (企業統治) 改革による株価上昇などから、今日の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が一時450円近い大幅な上昇を見せて今年7月3日に記録したおよそ33年ぶりの高値を一時上回ったことでは、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン市場では低リスク通貨の円売りが入りやすくなっており、今日の日経平均株価が大幅高で大引けした午後15時15分の後には、ドルは円相場で一時142円84銭付近にまで再上昇したが、今朝の日本市場の高値の天井を上抜けできなかったことでは、日本市場終了直後の大型連休明けの英国ロンドン外国為替市場では今日の日本市場の安値手前付近まで反落した。

また、この反落の原因には、夕方に日本銀行 (日銀 / BoJ) が来年2024年1〜3月の公開市場操作の国債買い入れオペの運営方針を発表し、5年超10年以下の1回あたりの予定額を従来レンジ下限から500億円減額した4000億〜9000億円にしたほか、超長期対象の定例オペの月あたりの通知回数も減らしたことから、円が買い戻される値動きに影響を及ぼした。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円69~71銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円31~32銭付近の前東京終値比で約38銭の円安ドル高であった。

今夜の英国ロンドン外国為替市場では、今夜17時5分頃にドルは円相場で一時142円44銭付近まで反落したが、その後には対円のドルには安値圏からの買い戻しも見られた。

しかし、日本よりも長期ホリデーの取りやすい英国やフランスなどの欧州では、旅行などの移動時間も含めた長期ホリデーを申請しているトレーダー達も多く、今日の世界最大規模の英国市場の市場流動性は平常時よりも減少していたことでは、今夜17時37分頃のドルの買い戻しは一時142円76銭付近と、今日の日本市場の高値以下となっている。

今夜この後には最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜の深夜24時に12月の米国リッチモンド連銀製造業指数が発表され、27時に米国5年債の入札予定がある。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円57〜59銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円87〜88銭付近の前東京終値比で約70銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の今日公開された日銀の主な意見を受けた来年早期の日銀修正期待の後退で円が売られた影響や、来年早期の米国利下げ予想が優勢を保っていることにより、欧州利下げ時期の方が米国よりも遅れるという市場予想が優勢で、対ドルのユーロ高が円相場に波及した。また、日米株価上昇による低リスク通貨の円売りユーロ買いも影響を及ぼした。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1041〜1.1043ドル付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1022〜1.1024ドル付近の前東京終値では約0.19セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、前述の通り、市場予想よりも米国の住宅インフレ鈍化が見られたことで、来年3月の米国公開市場委員会 (FOMC) から米国連邦準備制度理事会 (FRB) が早期の米国利下げを開始する予想が市場で優勢で、欧州中央銀行 (European Central Bank) の方が来年の利下げ開始時期が遅くなるという市場予想で、欧米金利差予想の欧州ユーロ買いドル売りで欧州ユーロが対ドルで続伸の東京終値をつけていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は181円54〜60銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の180円64〜70銭付近の前東京終値比で約90銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、欧州ユーロと同様に、今日の日銀の主な意見を受けて来年早期の日銀修正期待が後退し、主要通貨に対して円が売られた影響が出ていたことや、来年の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の利下げ開始時期に関する市場予想でも、米国よりも欧州や英国の方が遅くなる市場予想もあり、日英金利差予想でも大型連休開けで実需もある英国ポンドが買われていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年12月27日の日本時間(JST)20時33分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時33分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:33の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 142.58 〜 142.60 +0.27 (円安)
ユーロ/円 157.56 〜 157.58 +0.69 (円安)
ユーロ/ドル 1.1049 〜 1.1051 +0.0027 (ドル安)
英ポンド/円 181.48 〜 181.54 +0.84 (円安)
スイスフラン/円 167.14 〜 167.20 +0.88 (円安)
豪ドル/円 97.49 〜 97.53 +0.66 (円安)


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