FXニュース:日米金利差拡大で146円台

2023年8月17日
FXニュース:日米金利差拡大で146円台

 

東西FXニュース – 2023年8月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FOMC議事要旨発表受け
  • 米FRB追加利上げの可能性
  • 米長期金利が一時4.3%台
  • 堅調な米経済指標を背景に
  • 日本政府の為替介入警戒も

今日2023年8月17日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の146円56銭前後から円の高値でドルの安値の146円20銭前後の値幅約36銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円21~22銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の145円36~38銭付近の前東京終値比では約85銭の円安ドル高であった。

今日の日本市場では、今年最大の一時146円56銭付近の円安ドル高の記録を更新した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の7月の米国住宅着工件数の前月比が前回の-8.0%と前回修正の-11.7%と市場予想の1.1%に対し3.9%と前回と市場予想以上に大幅な改善を見せ、年率換算件数も前回の143.4万件と前回修正の139.8万件と市場予想の145.0万件に対して145.2万件に上昇し、7月の米国建設許可件数の前月比は前回の-3.7%と市場予想の1.5%に対し0.1%および年率換算件数でも前回の144.0万件と前回修正の144.1万件と市場予想の146.3万件に対し144.2万件と、一部は市場予想ほどではなかったものの、いずれも前回よりは改善し、米国金利先高感の市場予想を支える米国経済の堅調さを示したことではドルが円相場で上昇を始めた。

続いて、昨夜22時15分に発表された7月の米国鉱工業生産の前月比も、前回の-0.5%と前回修正の-0.8%と市場予想の0.3%に対し1.0%と前回のマイナス圏からプラス圏に転じて市場予想を上回ったことで、堅調な米国経済指標のデータを背景にした米国金利高止まり予想が強まり、ドルは円相場で上昇を続けたが、この後に最新の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨の発表イベントを控えていることでは早期の利益確定売りの持ち高調整の一時抵抗も入り、昨夜22時35分頃の一時145円65銭付近が米国市場での円の高値でドルの安値になった。

そこに、同米国市場で注目度が最も高かった米国連邦準備制度理事会 (FRB) が前回の米国の追加利上げを決定した7月25〜26日開催分の最新の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨が今朝未明の午前3時に発表され、「参加メンバーは、米国のインフレ率を目標の2%に抑制するというコミットメントに対して、断固とした姿勢を崩さなかった」ことが明らかになり、「参加メンバー達の大部分は、米国のインフレに大きな上振れリスクがあり、更なる追加利上げが必要となる可能性があると引き続き見ている」という内容があり、その一方で、「一部の参加メンバーは、米国の経済活動が底堅く労働市場が好調を維持していたとしても、経済活動に対する下振れリスクや失業率の増加リスクは引き続き存在すると主張した」という一部の意見の食い違いが示唆されたものの、「大部分」の参加者達が米国追加利上げの可能性を考えていたことから、米国利上げ長期化予想が再燃し、米国長期金利が上昇し、一時4.28%付近の昨年2022年10月24日以来の高利回りを記録したことを受け、日米金利差拡大による円売りドル買いが強まり、今朝午前4時50分頃から55分頃にかけてドル円は一時146円40銭付近の2022年11月上旬以来のこの時点での今年最大の円安ドル高を記録し、米国市場の円の安値でドルの高値も記録した。

同時進行中の米国ニューヨーク株式市場では、米国の高金利の長期維持や金利上昇への警戒感からリスク回避の株売りで米国株安時の低リスク通貨の円買いの抵抗が混ざったものの、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが今年の最高値に上昇した一方で、欧州ユーロ圏の主要国のドイツの長期金利の指標となる独10年債の利回りは一時2.65%台に低下しており、欧米金利差拡大によるユーロ売りドル買いの影響も主要通貨に対するドル上昇圧として円相場に波及しており、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスも、一時103.53付近と今年7月6日以来の高値を記録した。

日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融政策継続が意識される中での米国利上げ長期化予想の再燃は日米金利差拡大予想の円安要因でもあるが、146円台の昨年の秋の日本政府と日銀の為替介入警戒域では、以前の日本政府のコメントなどから、「特定の価格というよりは、市場の急激なボラティリティ (価格変動性) が為替介入のトリガー (引き金) となる」という市場での見解もあったために、市場高値後のドルの利益確定売りや安値の低リスク通貨の円の持ち高調整の抵抗もやや入ったが、やや横ばいに近い値動きに転じた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の145円65銭前後から円の安値でドルの高値の146円40銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円35銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約78銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の7月の通関ベースの貿易統計が発表され、季調前は前回の430億円と前回修正の431億円と市場予想の246億円に対して-787億円の2ヶ月ぶりの赤字で、季調済も前回の-5532億円と前回修正の-5402億円と市場予想の-4609億円に対し-5572億円の市場予想よりも大幅な赤字であったことから、主要通貨に対する「低リスク通貨」の円の貿易赤字のリスク増加がやや意識された。資源価格の高騰は落ち着きを見せてきたものの、半導体等製造装置などの輸出の不調が影響を及ぼした。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場でも、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨発表後の米国市場トレンドを受け継いだ米国利上げ長期化予想による日米金利差拡大の円売りドル買いが先行し、今朝9時12分頃に一時146円55〜56銭付近の今年最大の円安ドル高の記録を更新した。

ドルが円相場で今朝までの米国市場での上値の146円40銭を超えて更に上昇し、昨年秋の9月に日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) がおよそ24年ぶりの円買い為替介入を実施した時の市場価格に達していたことでは、日本政府と日銀の為替介入への警戒感による高値のドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整の抵抗も入り始め、為替介入の引き金となる「急激なボラティリティ (価格変動性) 」に注意したやや小動きで横ばいに近い値動きに転じた。

今日の午後14時43分頃には、時間外の米国債券市場で米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが更に上昇して一時4.313%を記録し、ドル円は146円台での推移が続いた。

ただし、午後15時15分になると、今朝までの米国ニューヨーク株式市場での米国金利上昇警戒感の米国株価下落後の影響もあり、今日の日本の東京株式市場で日経平均株価が下落し、3万1626円0銭の前日比140円82銭安の大幅安で大引けしたことでは、日本株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いが強まり、円相場が反発した。

午後には日本の財務省が本日実施した日本の20年物の国債入札が不調だった影響もあり、日本の長期金利が一時0.655%付近に上昇したため日米金利差縮小時の円買いがやや入ったほか、午後からの欧州英国市場の参入では、時間外の米国10年債の利回りが4.3%付近でしばらく高止まりをした後に、夕方に買われて一時4.285%付近に向けて一時低下した時間があったこともあり、16時57分頃に一時146円20銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録したが、前東京終値比では円安ドル高の範囲内であった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円21~22銭付近で、前日同時刻の昨夜17時の145円36~38銭付近の前東京終値比で約85銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の今夜21時半に前週分の米国新規失業保険申請件数および米国失業保険継続受給者数と8月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、23時に7月の米国景気先行指標総合指数、23時に週間の米国天然ガス貯蔵などの発表予定がある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円5~6銭付近と、昨夜17時の158円79~80銭付近付近の前東京終値比では約26銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、対ドルや対ポンドでの日本円との金利差による円売りの影響が、日欧金利差もあるユーロにも波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0878~1.0882ドル付近と、昨夜17時の1.0922~1.0924ドル付近の前東京終値比で約0.44セントのユーロ安ドル高だった。

主な要因は、前述の欧州ユーロ圏主要国のドイツの国債利回りの低下に対し、米国債の利回りが上昇したため、欧米金利差拡大によるユーロ売りドル買いが影響を及ぼした。

また、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのラトビア中銀のカザークス総裁の発言もあり、「欧州に追加利上げがあるとしても、利上げ幅は小幅になる見通し」という内容で、米国利上げ長期化予想とやや拮抗していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は186円16~ 22銭付近と、昨夜17時の185円21~27銭付近の前東京終値比で約95銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、昨日同様に、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) が今世紀最大の英国の賃金インフレや、根強いサービス・インフレ圧により、英国利上げ継続予想と日英金利差拡大予想により、円相場で英ポンドが連日で続伸し、一時は186円台の円安ポンド高も記録後であったが、一方では、英国の歴史的なインフレ圧の根強さや英国失業率増加などの景気懸念はやや抵抗要因になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月17日の日本時間(JST)19時17分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時17分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 146.17 〜 146.18 +0.81 (円安)
ユーロ/円 159.01 〜 159.03 +0.22 (円安)
ユーロ/ドル 1.0877 〜 1.0879 -0.0045 (ドル高)
英ポンド/円 186.09 〜 186.15 +0.88 (円安)
スイスフラン/円 166.28 〜 166.34 +0.83 (円安)
豪ドル/円 93.86 〜 93.90 +0.73 (円安)


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