FXニュース:米FRBのブレイナード副議長が利上げ減速ハト派発言

2022年11月15日
FXニュース:米FRBのブレイナード副議長が利上げ減速ハト派発言|

 

東西FXニュース – 2022年11月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米連邦準備理事会(FRB)利上げ減速予想で米長期金利低下
  • 7〜9月の日本国内総生産(GDP)速報値は年率換算1.2%減
  • 米欧金利差縮小予想で7月以来のユーロ高ドル安も一時記録

今日2022年11月15日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の140円61銭前後から高値の139円20銭前後の値動き幅約1円41銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円37〜39銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると、約12銭の円高ドル安であった。

昨夜から今朝までの米連休明けの米国ニューヨーク外国為替市場では、先週発表された米消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けた海外FX市場での一時138円台の円高ドル安の影響を受け継いでいたが、昨日朝の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事のタカ派発言を受けた米長期金利の3.9%台付近の再上昇では、昨夜の欧州英国市場でドル買い円売りが再び起きており、その欧州市場の午後から時差で朝の米国市場が参入したために、市場前半には米金利上昇時の一時140円70銭付近の米国市場時間のドルの高値も記録していた。

しかし、昨日の東西FXニュースでもお知らせしていた通り、日本時間の昨夜の深夜1時半から米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード副議長の発言があり、「おそらく、米利上げペース減速への移行が、近いうちに適切になるであろう」とハト派発言をしたことが原因となり、ドルの持ち高調整売りの要因だった米利上げ減速予想が再び強まり、米長期金利が3.9%台付近から3.85%台付近に低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いで、今朝6時頃に米国市場時間のドルの安値で円の高値の一時139円65〜66銭付近を記録した。

世界的に流動性の高い基軸通貨で安全資産のドルの安値買いや持ち高調整等で少し戻したものの、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でのドル円相場の終値は139円92~93銭付近で、前営業日同時刻比で約1円5銭の大幅な円高ドル安であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝の開場直前の8時50分に内閣府が日本の最新重要経済指標の7〜9月の四半期実質国内総生産 (GDP) の1次速報値を発表した。日本の最新GDPは、物価変動の影響を除いた実質年率換算が前回の3.5〜4.6%増と市場予想の1.0〜1.1増に対してマイナス1.2%で、前期比でも前回の0.9〜1.1%と0.3%の市場予想の0.3%に対して-0.3%で、約1年ぶりのマイナス成長になった。

GDPの過半数を占める個人消費が、新型コロナウイルス第7波の影響等で前期比で0.3%増に留まったことなども、総合的なマイナス成長の一因となった。

これによって、日本銀行(日銀)が企業などへの貸付ローン金利抑制の景気回復支援として、円安要因でもある金利抑制の大規模緩和金融政策を長期化させる可能性が高まった。 そのため、今朝は米長期金利低下時のドル売りの後の安値のドル買いやショートカバーが、円売り注文からも入っていた。

今朝10時前の仲値決済に向けては、今日は15日で日本の貿易企業の決済日の集中しやすい「5と10のつく五十日」で、輸入実需の円売りドル買いも入り、ドル円相場は再び140円台で推移していた。

また、今朝の米中首脳会談のニュースでは、米中対立を回避するための対談を今後も続けることに両国が同意したことで、米中関係の深刻化への懸念がやや緩和され、米ドルのリスク低下では、アジア・オセアニアと並ぶ日本市場時間には、安全資産としてのドルはやや買われやすくなっており、朝の140円台前半から昼過ぎの今日の日本市場のドルの高値で円の安値の140円61銭付近へと、緩やかにドルが上昇推移していた。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では市場が一転し、再び先述の今朝未明の米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード副議長のハト派発言を受けて、米利上げ減速予想による米長期金利低下の影響によるドル売りが再開し、米長期金利低下を受けてドルが今日の日本市場安値の一時139円20銭付近に急落し、相対的に対ドルの円相場が急上昇した。

今日の午後16時頃の欧州英国市場では、来月12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では米利上げ幅が縮小される予想が優勢になり、米長期金利の指標となる米10年債の利回りが3.83%台付近に低下し、連動する様にドル売りが強まったほか、欧州中央銀行 (ECB) にも利上げ予想があるために、欧米金利差縮小時のユーロ買いドル売りでユーロドルが7月以来のユーロ高ドル安を記録した影響も、その時間のドル安として円相場に波及した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は139円37〜39銭付近で、前日同時刻比較で約12銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも、米国経済指標の発表や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者達の発言予定があり、世界のFXトレーダー達が今後の値動き予想材料とし注目している。

発表スケジュールは、日本時間の今夜22時半に11月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数、10月の米卸売物価指数 (PPI) と米PPIコア指数、23時から米連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言と米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言、24時からは米FRBのバー副議長の発言などが予定されている。

また、今日15日と明日16日にはG20首脳会議も開催されている。

一方、今日のユーロは、前述の午後の欧州市場参入の米長期金利低下時のドル売りユーロ買いの影響で16時台にユーロドルが一時1.0418ドル付近の7月以来のユーロ高ドル安を記録し、円相場にもユーロ高として波及しており、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は145円3~5銭付近で、前日同時刻比で約96銭の円安ユーロ高であった。

ユーロドルも、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0404~1.0405ドル付近で、前日同時刻比で約0.77セントのユーロ高ドル安だった。今日の米利上げ減速予想の米欧金利差縮小時のドル売りユーロ買いが、影響を与えていた。

ただし、昨夜の欧州英国市場では、欧州中央銀行 (ECB) のパネッタ専務理事が、「欧州ユーロ圏の利上げの金融引き締めは、あくまで欧州のインフレ長期化を防ぐためで、決定的な根拠のない積極的な金融引き締めを行うことは見当違いである」と発言したことでは、ハト派と受け止められてユーロが一時売られた時間もあった。

しかし、その後の米国市場では先述の米連邦準備制度理事会 (FRB) のブレイナード副議長もハト派発言をしたことで、ドルが再び売られ始めた。

また、欧州主要株価指数上昇時には、リスクオンで安全資産のドルが売られて、ドルに続く低リスク通貨の円も売られてユーロが買われる機会があった。

今日の午後には、フランス中銀のビルロワドガロー総裁の発言もあり、「欧州中央銀行 (ECB) は2%を超える高い水準になっても欧利上げを継続する見通しではあるが、大幅な利上げは単なる新習慣にはならない見込みである」と、今後の欧利上げについて述べた。

今日の夕方には欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表もあり、ユーロ買いの一因となった。欧州ユーロ圏のフランスの最新重要経済指標の10月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前回と市場予想と同じ横ばいで、インフレが高止まりしており、欧州のインフレ対策での大幅利上げ継続予想が強まった。

欧州ユーロ圏のGDPは横ばいで、11月ZEW景況感調査や9月貿易収支の季調済はマイナス圏内ではあるが、前回や市場予想よりもやや改善されていたことで、欧州中央銀行 (ECB) がインフレ対策での利上げ継続をしやすくなる予想も出ていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は164円80〜86銭付近で、前日同時刻比で約45銭の円安ポンド高であった。

今日の日本市場の午後には、英ポンドも欧州通貨のユーロ同様に、米長期金利低下時の米英金利差縮小予想で、ポンド買いドル売りが優勢となり、円相場にポンド高として波及した。

また、今日の夕方には英国最新経済指標の英失業率が発表され、9月英失業率のILO方式は前回と市場予想の3.5%に対して3.6%に増加していたが、同日発表の10月の英失業率は前回と同じ3.9%の横ばいであった。10月の英失業保険申請件数は前回の2.55万件と前回修正の0.39万件から0.33万件に減少した。ボーナスを除く英賃金の上昇率は加速しており、市場では英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の利上げ予想が継続し、日英金利差拡大予想が継続した。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月15日の日本時間(JST)20時26分(英国時間(GMT)11時26分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:26の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 139.13 〜 139.15 -0.36 (円高)
ユーロ/円 145.07 〜 145.08 +1.00 (円安)
ユーロ/ドル 1.0426 〜 1.0428 +0.0099 (ドル安)
英ポンド/円 165.16 〜 165.22 +0.81 (円安)
スイスフラン/円 148.07 〜 148.13 -0.24 (円高)
豪ドル/円 93.96 〜 94.00 +0.23 (円安)


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