FXニュース:最新米消費者物価(CPI)が7.7%でドル円一時139円台

2022年11月11日
FXニュース:最新米消費者物価(CPI)が7.7%でドル円一時139円台

 

東西FXニュース – 2022年11月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米物価高鈍化で連邦準備理事会(FRB)利上げ減速予想
  • 米長期金利が3.8%台に低下し金利差縮小時のドル全面安も
  • 米インフレ警戒緩和で株高時のリスクオンのドル売りも影響

今日2022年11月11日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の142円48銭前後から高値の140円89銭前後の値動き幅約1円59銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円19〜20銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約5円12銭の大幅な円高ドル安であった。また今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、20時台に139円台のより大幅な円安ドル高になっている。

原因はやはり、世界市場が注目し、米連邦準備制度理事会 (FRB) がインフレ対策での利上げ幅などの今後の米金融政策を決めるためのデータとして重視している最新の米国重要経済指標の10月米国消費者物価指数 (CPI) の結果発表の影響で、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、発表前に146円台だったドル円相場が、発表後に一時140円台に約6円近くも変動し、他の主要通貨に対してもドル急落と円急騰の影響を与えた。

市場トレンドの動きを追うと、日本時間で昨夜22時半に米国市場で発表された10月の米消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比が前回の8.2%と市場予想の8.0%に対し7.7%で、前月比でも前回の0.4%と市場予想の0.6%に対して0.4%の上昇率といずれも市場予想を下回り、米国のインフレ上昇率のピークアウト感と市場予想以上の鈍化傾向が見られた。

エネルギー・食品を除く米消費者物価指数 (CPI) のコア指数も、前年同月比が前回の6.6%と市場予想の6.5%に対して6.3%で、前月比でも前回の0.6%と市場予想の0.5%に対して0.3%の市場予想以下に鈍化していたことなどから、米国の高インフレ対策で米連邦準備制度理事会 (FRB) が、次回11月の米連邦公開市場委員会 (FOMC) で利下げ幅を減速する市場予想が優勢になり、それまで4%以上だった米長期金利が一時3.8%台に急落し、日米金利差縮小時のドル売り円買いが起きて、円相場が急騰した。

米長期金利低下により、米欧英金利差縮小時のドル売りとユーロ買いやポンド買いも起き、主要通貨に対して一時ドルが全面安と円が全面高にもなった。

同時発表だった最新の米国経済指標の前週分の米新規失業保険申請件数も、前回の21.7万件〜21.8万件と市場予想の22.0万件に対して22.5万件に増加しており、米失業保険継続受給者数も前回の148.5万人〜148.7万人と市場予想に対して149.3万人に増加していたことも、堅調な雇用市場を背景としたインフレ対策のための米金利の大幅利上げ継続条件の抵抗と考えられ、ドル売り増加の一因となった。

米国ニューヨーク株式市場でも、米利上げ減速予想を受けて、大幅利上げ継続による企業などへの貸付金利上昇の警戒が緩和されて米株価が三指数ともに大幅高で上昇し、米株高時のリスクオンでもリスク回避で買われていた安全資産のドルが売られた。

米インフレ緩和による企業の消費景気の期待でも、米ダウ工業株30種が前日比で一時1000ドル高に高騰し、安全資産のドルを売って株などを買う動きがドル安を更に加速させた。

前日までにバイナンスのFTXの買収撤回などで安値に暴落していた仮想通貨市場でもドルから買われて上昇し、米CPI発表直後にビットコインが安値から回復し、イーサリウム (ETH) も前日比で一時10%超えに回復していたことも、全般的なドル売り傾向を増加させた。

更に、その後に米連邦公開市場委員会 (FOMC) メンバーの発言予定があったが、米利上げペース減速予想が継続する形に取られてドル下落継続で全面ドル安が目立った。

ただし、その後の今朝未明4時に発表された10月の月次の米財政収支は、前回の-4297億ドルと市場予想の-900億ドルに対して-878億ドルに赤字額が減少していたことでは、急落後に数ヶ月ぶりの安値になったドル買いやショートカバーの抵抗も一時入っていた。

しかし、米国ニューヨーク外国為替市場では、その次の11月11日の夜からの市場は米国の祝日の復員軍人の日 (退役軍人の日とも呼ばれるVeterans Day) の休場予定であったために、利益確定売りなどでポジションを連休前に早めに片付けておく動きがあったために、米国市場ではドル売りの影響が強く出ており、ショートカバーでドルを買う動きは弱かった。その動きがより出たのは、後述の今朝早朝までの米国ニューヨーク外国市場の直後の日本市場の開場前のアジア・オセアニア市場と日本市場になる。

また、米国市場の終盤に米長期金利が更に低下したことでも、多通貨に対するドル売りで円相場が上昇した。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は140円90銭~141円0銭付近で、前日同時刻比では約5円40銭の大幅な円高ドル安であった。一時は140円20銭付近の9月以来の約2カ月ぶりの円高ドル安も記録した。

その後に始まった今日のアジア・オセアニアの世界市場と日本の東京外国為替市場でも、10月の米消費者物価指数 (CPI) の結果を受けた米長期金利低下による日米金利差縮小時のドル売り円買いと、米利上げ減速予想の市場トレンドを受け継いだが、その一方で、金利抑制の大規模緩和継続予想の日本銀行 (日銀 / BoJ) と比較すると、次回の米連邦公開市場委員会 (FOMC) では米CPI発表後に通常の3倍の0.75%大幅利上げから2倍の0.5%に利上げ幅が減速する市場予想が優勢になったとはいえ、依然として利上げ幅が縮まっても日米金利差拡大予想は継続するために、今朝は前述の安値のドル買いやショートカバーのドルの買い戻しの抵抗が入った。

今朝9時からの日本市場の開場10分前には日本の最新経済指標の10月の国内企業物価指数が発表されたが、前年同月比は前回の9.7%と前回修正の10.2%と市場予想の8.8%に対して9.1%で、日本の企業物価指数は市場予想ほどのピークアウトはまだしていなかった。ただし、前月比では、前回の0.7%と前回修正の1.0%に対して市場予想通りの0.6%に低下したことでは、景気懸念に至るほどではなかったものの、円買いの勢いはやや弱まった。

今朝10時前の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需で数ヶ月ぶりの安値のドルが買われて下げ幅を縮め、10時頃には今日の日本市場のドル円相場の円の安値でドルの高値の142円48銭付近を一時記録した。

しかし、その後には米CPIを受けた米利上げ減速予想と米長期金利低下時のドル売り円買いが再開し、日本市場の午後に時差で朝の欧州英国市場が参入すると、米長期金利低下を受けたドル売り円買いに加えて、ユーロやポンドなどの他の主要通貨に対するドル売りも再び強まったことが円相場にも波及した。

そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円19〜20銭付近で、前日同時刻比で約5円12銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場は祝日休場予定ではあるが、世界FX市場や米国ニューヨーク株式市場などの通常通りに開く予定の市場もあるために、日本時間の今夜の深夜0時には最新の米国経済指標の11月の米ミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表される予定があり、世界のFXトレーダー達が注目している。また、接戦で長期化している米中間選挙の結果などにも注意が必要である。

一方、今日のユーロの円相場は、先述の米CPI発表後のドルに対する大幅な円高が他の主要通貨にも波及しており、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円の終値は144円61~64銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約1円65銭の大幅な円高ユーロ安であった。

ユーロドルもドル安の影響が多通貨に及んでおり、17時の今日の東京外国為替市場のユーロドルの終値は1.0243~1.0244ドル付近で、前日同時刻比で約2.46セントの大幅なユーロ高ドル安だった。

また、今日の日本市場では一時1.0254ドル付近の8月中旬以来の数ヶ月ぶりのユーロ高ドル安も記録していた。これには、今日の日本市場の午後の欧州市場で米長期金利低下に加えて時間外の米株先物が上昇しており、リスクオンのユーロ買いドル売りなども影響した。

今日の午後16時には欧州ユーロ圏の主要国のドイツの10月の独消費者物価指数 (CPI) も発表されたが、前回と市場予想通りの横ばいであった。そのため、欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続予想は続いていた。

今日の英国ポンドは、米CPIを受けて今日はポンドドルもユーロ同様に8月末以来の一時高値の1.1759ドル付近のポンド買いドル売りのポンド高があった影響で、今夜17時の東京外国為替市場のポンド円相場の終値時点では165円82〜88銭付近で、前日同時刻比では約43円の円安ポンド高に一時転じていたのだが、その後は利益確定売りなどで円高ポンド安に転じた。

原因は、今日の夕方に発表された英国の最新重要経済指標の7〜9月四半期の英国内総生産 (GDP) の速報値が、前年同期比は前回の4.4%と市場予想の2.1%に対して2.4%であったが、前期比では前回の0.2%と市場予想の-0.5%に対して-0.2%で、前月比では前回の-0.3%〜-0.1%と市場予想の-0.4%に対して-0.6%に低下しており、欧州市場では高値になっていたポンド売りの円買いで円相場が上昇した。

同時発表の経済指標などでも、英国のリセッション (景気減速) 懸念により、低リスク通貨の円が買われたことも影響していた。そのため、20時台にはより大幅な円高ポンド安になっている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月11日の日本時間(JST)20時31分(英国時間(GMT)11時31分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:31の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 139.58 〜 139.64 +0.88(円安)
ユーロ/円 143.45 〜 143.48 -2.81 (円高)
ユーロ/ドル 1.0277 〜 1.0279 +0.0280 (ドル安)
英ポンド/円 163.95 〜 164.01 -1.44 (円高)
スイスフラン/円 145.65 〜 145.71 -0.58 (円高)
豪ドル/円 93.10 〜 93.14 -0.28 (円高)


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