東西FXリサーチ – 続く米中貿易摩擦、投資意欲の抑制とドルレート

2019年5月22日



文/安藤麻矢 – 東西FXリサーチチーム

トランプ大統領の中国に対する断固とした姿勢は今後も 投資意欲に影響を与える。米国大統領の貿易戦争に「非常に満足」とし、自身が任期中は世界経済第二位の中国を一位にはさせない、といった発言が二国の貿易摩擦の緩和への先行き不透明感を高めている。

トランプ氏が事実上禁じたファーウェイ(華為)製品供給の禁止措置による今後米中のITビジネスへ暗雲が立ちこもる。

ファーウェイの創設者レン・ツェンフェイ氏は、同社がGoogleやQualcommなどとの米国企業とコラボレーション機会を損なう可能性があるとメディアに発言している。ITなくしての現代のビジネス成長はあり得ない。米国の ファーウェイへの措置を皮切りにさらに経済摩擦に巻き込まれる企業がないとは言い切れない。二国間の政治的緊張の終わりは今のところ見えそうにない。

アナリストは米中貿易摩擦が長引くことで、今後の米国の小売売上高に影響する可能性があるとも見ている。事実、4月の小売売上高は、主要13項目のうち7項目で減少している。商務省の発表では4月の米小売売上高は市場予想外の減少となっている。自動車ディーラーは1.1%減と、1月以来の大幅減少。前月は3.2%増だった。石油価格の上昇を背景にガソリンスタンドは1.8%増。自動車とガソリンを除いた小売売上高は0.2%減。前月は1.1%増。個人消費の伸びが抑制された状態が第二四半期まで続く可能性が示唆されている。

一方で、一部のアナリストは5月には消費意欲が回復すると見ている。アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏によると、小売売上高は近い将来の経済見通しにとってはややマイナス材料だが、全体像を変えるようなものでもないとし、報告書で最近の増減パターンを見ると5月に急回復する可能性があるとの見方を示した。

今週月曜日20日のニューヨーク外国為替市場では、今週水曜日に予定されているパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演もあって投資家は様子見の姿勢に。ドルは小幅安隣、狭いレンジ内での動きにとどまった。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数では、ニューヨーク時間午後4時33分時点で0.2%低下。結果、ドルはスウェーデン・クローナを除く主要10通貨全てに対して値下がりとなった。ドルは対ユーロで0.1%安の1ユーロ=1.1165ドル。対円では0.1%下げて1ドル=110円03銭。

野村證券のレポートによると、 2019年末のドル円レートはFRB(米連邦準備理事会)の 利上げなしという前提で1米ドル=115円と予想している。2019年に利上げがないという前提では円安は進みにくいと言う。米国金利が上昇しない、あるいはやや低下気味で年初の1米ドル=104円台から同111円台まで反発した背景には、FRBの景気を配慮したスタンスへの変更が株式市場などにおけるリスク選好度を改善させたことがあると推察されると説明。仮に、追加利上げがなくとも、米国株価が堅調に推移すれば、110~112円の水準は維持できる可能性が高いとコメントしている。

しかしながら、貿易摩擦は投資意欲の抑制もしくは減退を導く可能性があるために今後の株価の動きも注意して観察する必要がある。