東西FXリサーチ – 日銀の期待に反し続く円高

2018年7月23日



文/安藤麻矢 – 東西FXリサーチチーム

7月第3週の米ドル/円は今年1月の1ドル112円代近くまで円安が進み、一時期113.14円まで米ドル高・円安が進行した。日銀の期待に沿ってこのまま円安が続くかと期待が寄せられたが、それもつかの間、相場は米ドル安・円高に向かった。米ドル安の背景にはアメリカの実質金利が、反対に円高には ゼロ金利政策が大きく影響している。

円市場は日本銀行が期待していた通りに円安には向かわず、持続する円高に市場の先行き不安が見られる。今月末、日本銀行では2日かけて金融政策決定会合を開き、 超金融緩和の長期化からもたらされる現在の不健康な経済状態を改善するべく議論される。現状が続けば、物価低迷から超低金利政策がさらに継続することが見えている。一部の報道によると長期金利目標や ETF(上場投資信託)買い入れ手法の柔軟化などが選択肢になると報じられている。ちなみにETFは日銀が大型投資家であることは周知の事実だが、ETFは国内の金融市場に流動性をもたらすことを目的に設立された取引市場であることはあまり知られていない。

一連の報道では今会合では改善策への結論は出されずに長短金利操作付き量的・質的金融緩和の副作用を配慮した政策への検討を示す文言を盛り込む可能性などが報じられた。その影響から、20日の米国市場で国債先物相場が下落している。いずれにしても、現在の日銀の金融政策では物価が伸びず、目標とした2%の物価安定には程遠い状態である。物価の低迷が改善されない中で金融緩和に逆行する政策を取れば、円相場が急伸してデフレ脱却がおぼつかなくなるとも言われている。関係者の予想では日銀は現在の緩和政策を粘り強く続けていく方針であろうと見ている。

日銀が会合用にまとめた経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、4月時点の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しは今年度が前年比1.3%上昇、19年度と20年度が消費増税の影響を除き1.8%。6月の実績値は0.8%上昇と4カ月ぶりに伸びを高めたが、エネルギーを除くコアコアCPIは0.2%と伸びが鈍化しており、このレポートの分析期間の最終年度の2020年度を含めて下方修正は必至と言われている。

三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチでは日銀の金融緩和も安定的な円安トレンドを形成する材料とはなっていないといい、伝統的な円高材料の影響から極めて緩やかにもドル円は下落トレンドを辿ると述べている。同行の調査報告書では円安が進まない理由に、為替市場のボラティティー高により多くの場合は、為替にヘッジをつけていることにより、日米金利差の拡大からドル円のヘッジコストが上昇した為、ドル建証券へのヘッジ比率が低下し、一定の円売りを招いたことを挙げている。例え日本の対外証券投資が活発化しても、 円売りが継続的でないことから、円安要因にはならないだろうと同レポートでは述べている。