東西FXリサーチ – 英国EU離脱を控え不安視されるヨーロッパ市場

2018年7月16日



文/安藤麻矢 – 東西FXリサーチチーム

英国の欧州連合(EU)離脱まであと8ヶ月。世界経済がユーロとポンドの行方を探っている。英政府による欧州連合(EU)からの離脱方針への白書が発表され、2019年3月29日までの短期間で今後の貿易や移民など様々な問題を密接な経済関係を続けることでの解決を期待し協議が加速される。

依然、離脱問題に関しては 賛成派と反対派が政党内での意見を対立させているが、今後党内の強硬派からの反発が強まる恐れもあることからFXトレーダーにとってはリスクへ高への警戒的な姿勢が見られている。

一部のオブザーバーは、不安定な離脱問題解決への引き伸ばしがついに崩壊する時を迎えたとも見ている。また、UBSグローバル・ウェルス・マネジメントでは、 ユーロに対する英ポンドの売却を短期的に勧告している。その理由としてあげられる要素の一つとして、イングランド銀行の次の措置の失望への可能性を指摘している。英国の中央銀行は離脱への国民投票後の2016年8月に利下げと量的緩和の再開し緩和を再拡大しており、2017年11月には、およそ10年ぶりの利上げに転じた。2018年3月22日公表の直近の金融政策委員会(MPC)でも、9名の委員のうち、2名が25ベーシス・ポイントの利上げに票を投じている。

しかしながら、UBSウェルスの英国のエコノミスト、ディーン・ターナー氏は、国内企業はEU離脱の不確実性の中でも回復力があったが、これ以上は厳しいだろうという見方を示している。また、英国とEU間で進められている未解決事項への交渉が長引くことも市場へのリスクにつながると見ている。そこで同行では今後数カ月間は市場への抵抗があると予測し、さらにUniCreditでは市場の崩壊を示唆している。

2016年に英国のEU離脱の可能性が見られた時に、著名投資家のジョージ・ソロス氏が、1992年のポンド危機「ブラック・ウェンズデー」時に起こった 欧州為替相場メカニズム(ERM)からの脱退を余儀なくされた際に、ポンドを売り浴びせて巨額の利益を上げた例と比べ、今回のEU離脱は1992年よりも大きな混乱を招くとメディアに語ったことが当時話題になった。また、物価が上昇するとも見た。それに対して離脱派を率いる政治ストラテジストのマシュー・エリオット氏はイギリスの経済成長の低迷はEU加盟とそれにともなく介入が物価高につながったことによるものとして、離脱による週毎の3億5000万ポンドが無くなることから経済的負担も軽減すると述べていた。

2018年1月から3月までの英国経済は0.1%の成長となり、2017年のペースを守持続している。インフレは2016年6月以降に上昇しているが、その後2.4%に落ち着いている。 今年1月の失業率は4.23%が記録され1971年2月から2018年1月までの564つの値での平均失業率は6.30 %である。さらにブラックウェンズデーが起こった1992年時の9.95%の半分以下である。

3月のEU首脳会議で決定した2020年末までの現状維持の合意によって一時的に市場の変動は緩和されているが、ニッセイ基礎研究所では移行期間の合意には来年3月に迎える離脱前に、企業が離脱対応計画実行を急ぎ、景気が失速するリスクを低減させる効果があるだろうと見ている。

しかしながら、英国離脱が信用の低下につながりポンドが下落する可能性があることは否めない。そしてスコットランドの独立問題の過熱化への可能性もある。ヨーロッパの経済ハブであるイギリスの通貨が不安定化することでニューヨークそして中国の市場にどのように影響を与えるのかを予測」分析する必要もある。